建築基準法
近年、ニュースや新聞でもマンションの欠陥問題が多く取り上げられていますが、一際目を引いたものが今から15年前に発生した「姉歯事件」です。
今回は「姉歯事件」を経て、見直された建築基準法についてみていきたいと思います。
耐震偽装問題の「姉歯事件」とは
「姉歯事件」とは、2005年11月に分譲マンション「グランドステージ北千住」で発覚した構造設計の構造計算書偽装問題です。
「グランドステージ北千住」の施工管理会社が鉄筋量の異常に気づき、「震度5強」程度の揺れで倒壊する恐れがあるとされ、建設会社が調査に入ったところ、構造計算書の偽装が発覚しました。
姉歯建築設計事務所の姉歯一級建築士が構造計算書を偽装したと、最終的には姉歯氏を含めた関係者が懲役5年、罰金180万円の有罪判決を受けました。
また、構造設計に携わった他の物件でも同様に偽装が行われ、マンション20棟、ホテル1棟が被害にあっており、建築基準法に定められた耐久基準を満たさないマンションやホテルが建築されたことで、人の命や資産、財産に関わるものとされ、大きな社会問題になりました。
事件の原因は?
構造計算書偽装問題が起きた主な原因は、以下の3つとされています。
1)一部の建築士・設計士とマンション販売会社の職業倫理の欠如
2)国交省が偽装が行いやすい構造計算プログラムを認定したこと
3)確認申請のチェック体制が機能していなかったこと
そもそも建築基準法とは何なのでしょうか。
建築基準法とは、建物を建築するうえで最も基本となる法律です。
1950年に「国民の生命、健康および財産の保護」を目的に制定され、都市計画法や消防法などの他の法律と関連しながら、守るべき最低限の基準を示しています。しかし、「姉歯事件」を受けて2007年6月20日に改正建築基準法が施行されました。
改正後は?
改正後、マンション需要の後退により、販売戸数の見直しを余儀なくされたディベロッパーは少なかったため、改正直後の2007年7月は新設住宅着工件数が前年より2割減、8月9月も前年より4割減など建築業界に多くの影響を与えました。
改正後の最大のポイントとされているのは、確認審査の二重チェックが義務付けられたことです。
高さ20メートル以上のマンションなど、一定以上の高さのある住宅は、自治体や民間企業の確認審査に加えて構造計算適合性判定機関による工学的な観点からのチェックが必要となりました。
建築の段階で、より一層確認作業の工数を増やすことで人々が安心して住める住宅の提供に力を入れています。
最近では大規模火災をめぐる状況や防火関連の技術開発を踏まえて、建築物、市街地の安全性の確保、既存建築ストックの活用、木造建築物の整備などの規制が見直され、2018年9月25日と2019年6月25日の2回に分けて再度建築基準法の一部を改正する法律が施行されました。
最後に
建築基準法は「国民の生命、健康および財産の保護」を目的としているため、時代の変化とともに少しずつ改正されています。
不動産を持つにあたり、建物の耐久性は非常に重要になってきます。
どんなに良い場所にあっても、建物が基準を満たしていなければ建物の価値や需要はなくなってしまいます。
地震大国と言われている日本だからこそ、できるだけ最新の建築基準で建てられた物件を選ぶことで、先々安心して持ち続けることのできる資産となるのではないでしょうか。
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