不動産取引における資金洗浄(マネー・ローンダリング)対策が強化されます。国土交通省は、宅地建物取引業者が行政に届け出る「疑わしい取引」の参考事例を大幅に増やす方針を固めました。
今回の改定では、事例数が従来の21項目から44項目へと倍増する見込みです。暗号資産(仮想通貨)を用いた売買の希望や海外法人が絡む取引などが新たに明記され、取引現場での点検強化が求められることになります。
この記事のポイント
- 国交省が犯罪収益移転防止法に基づく「疑わしい取引」の参考事例を21から44項目へ倍増させる方針です。
- 2028年のFATF(金融活動作業部会)による第5次対日相互審査を見据えた対策強化が背景にあります。
- 暗号資産による取引希望や、不審な海外法人・外国PEPsとの取引などが新たな事例として明記されます。
- 不動産業界では社内チェック体制の見直しが進み、届出件数の底上げや厳格な確認が求められます。
- 投資実務においては本人確認や資金確認がより慎重に行われる可能性があり、実務の動向に注視が必要です。
ニュースの概要と背景
マネー・ローンダリングとは、犯罪などで得た不正な資金の出所を隠す行為を指します。宅地建物取引業者は、犯罪収益移転防止法という法律に基づき、不審な取引を察知した場合には国へ届け出る義務を負っています。
背景にあるのは、2028年に予定されている国際組織「FATF(金融活動作業部会)」による第5次対日相互審査です。国際的な基準に合わせて日本の審査体制や対策水準を引き上げる必要があり、参考事例の大幅な見直しにつながりました。
改定案では、従来の21項目から44項目へと参考事例が拡充されます。具体的には、暗号資産を利用した決済を希望するケースや、不審な海外法人、外国PEPs(外国の政府高官など重要な公的地位にある人物)との取引などが追加される方針です。
不動産市場・投資家への影響
仲介会社や不動産業者にとっては、日常の売買実務におけるチェック項目の見直しが不可欠となります。既存の社内確認フローやチェックリストの更新が進み、不審な取引に対する届出件数の底上げが図られる見込みです。
不動産投資家や売買を検討する一般の取引関係者にとっても、契約前の本人確認や資金の出所確認がこれまで以上に丁寧に行われる可能性があります。特に海外法人を活用したスキームや暗号資産が関わる取引では、確認作業に時間を要することも考えられます。
不動産取引のコンプライアンス(法令遵守)体制の強化は、市場全体の健全性を高める意義があります。今後の実務運用の変化や取引手続きの詳細について、関係者は注視が必要です。





