公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)および全宅保証は、全国の男女5,000名を対象に実施した意識調査をまとめた「2026年 住宅居住白書」を公開しました。今回の公表データでは、金利上昇や物件価格の高騰といった経済環境の変化を受け、消費者の住まいに対する購入意欲に慎重な姿勢が強まっている状況が浮き彫りとなっています。
調査結果によると、不動産について「買い時だと思わない」と回答した割合が前年比で拡大した一方、情報収集の現場では20代を中心に生成AIを活用する動きが急速に広まっていることが分かりました。住宅購入を検討する一般層の心理変化とともに、住まい探しのデジタル化が進展している様子が示されています。
この記事のポイント
- 全宅連と全宅保証が全国5,000人を対象とした「2026年 住宅居住白書」を公表しました。
- 不動産を「買い時だと思わない」と答えた層が37.7%となり、前年比で3.0ポイント増加しました。
- 金利引き上げや物件価格の高騰が消費者の購入心理に影響を与えている様子が示されています。
- 20代の53.4%が物件探しに生成AIを活用しており、若年層でのテック利用が急速に進展しています。
- 需要の慎重化と情報収集ツールの進化が今後の不動産流通に影響を与える可能性があり注視が必要です。
ニュースの概要と背景
全宅連が公表した「2026年 住宅居住白書」は、毎年9月23日の「不動産の日」に合わせて実施されている全国規模の定点調査です。今回の調査対象は全国の男女5,000名にのぼり、住宅取得に対する意識や住まい探しの行動様式について詳細な集計が行われました。その結果、現在は不動産の「買い時だと思わない」と答えた層が37.7%に達し、前年の調査と比べて3.0ポイント増加していることが明らかになりました。
購入に慎重な姿勢が強まっている背景には、近年の金利引き上げ傾向や物件価格の高止まりが影響していると考えられます。毎月の住宅ローン返済額や初期費用の負担感が増す中で、消費者の間では物件の取得タイミングを慎重に見極めようとする心理が働いており、購入マインドの冷え込みが数値として表れた形です。
一方で、今回の調査では住まいを探す際の手法において顕著な変化が捉えられています。特に20代の若年層では、回答者の半数以上にあたる53.4%が物件探しに生成AI(質問に応じて文章や情報を自動で生成する人工知能技術)を活用している実態が確認されました。インターネットの検索サイトやポータルサイトの利用にとどまらず、新たな技術を取り入れた効率的な住まい選びが若者の間で浸透しています。
不動産市場・投資家への影響
消費者の「買い時でない」という見方が約4割に迫る水準まで増加したことは、今後の不動産売買市場における実需の動きに影響を与える可能性があります。価格高騰と金利負担に対する警戒感が根強いことから、買い手の選別志向が一層強まり、相場にそぐわない高価格帯の物件や魅力の乏しい物件は販売期間が長期化する懸念も想定されます。住宅販売に関わる実務や取引動向においては、需要の変化を注視していく必要があります。
また、20代の過半数が生成AIを用いて物件を探しているというデータは、今後の住まい探しにおける情報提供のあり方に変革を迫るものといえます。これまでの物件検索方法だけでなく、対話型のAIツールなどを通じた情報取得が一般化することで、希望条件の整理や物件比較のスピードが格段に早まることも考えられます。
このように、購入マインドの後退という慎重な心理が広がる一方で、デジタル技術の浸透による新しい探し方が定着しつつあります。不動産市場に関わる事業者や資産形成を考える読者にとっては、金利動向や購入者の心理変化だけでなく、情報収集ツールの変化を踏まえた市場の動向について、今後も冷静に見極めていく姿勢が求められます。
出典:≪9月23日は不動産の日≫全宅連、全国の男女5,000名へ調査、「2026年 住宅居住白書」公開 | 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)





