近年聞く機会が増えた「NISA」(ニーサ)。
日本では2014年から開始されていますが、今年2024年から「新NISA」に生まれ変わりルールも変更になったことで…
「この機会に私もNISAを始めよう!」
「NISAを勉強してみよう」
このように考えている人も多いと思います。
一方で、「新NISAって何?」「今さら聞けない…」「簡単に教えて欲しい」と思っている人も多いのではないでしょうか?
このコラムはそんな人のために作りましたので、是非ご覧ください!
【このコラムで知れること】
・新NISAとは?
・新NISAのポイント
・NISAと新NISAの違い
・新NISAのメリット・デメリット
・新NISAでシミュレーション
新NISAとは?
そもそも、「NISA」は金融庁が推進している少額投資非課税制度です。
年金や貯蓄だけでなく株式や投資信託などの金融商品を用いた資産形成を促すために、イギリスの「ISA(Individual Savings Account)」を参考に日本に導入。
2014年から「一般NISA」、2018年から「つみたてNISA」が開始されました。
投資で利益を得る場合、通常は約20%の税金が課されますがNISAの利用に必要な専用口座(NISA口座)で投資した分は非課税となり、利益が全て手元に残ります。
新NISAのポイント4つ
新NISAには以下4つのポイントがあります。
1.口座は原則的に1人1口座
2.NISA口座には2種類ある
3.新NISAには投資上限額がある
4.非課税枠は復活する
ポイント1.口座は原則的に1人1口座
NISA口座は原則1人1口座しか開設できません。
例えば、証券会社でNISA口座を開設した場合、他の証券会社はもちろんのこと銀行や信用金庫でNISA口座の開設はできないのです。
万が一、NISA口座を複数開設してしまった場合は、金融機関に申請することで取り消しが行えます。
なお、以前は2024年1月から新NISAに移行することもあり口座の開設期限が2023年いっぱいと限られていましたが、新NISAでは期限がなくなりました。
ポイント2.NISA口座には2種類ある
NISA口座には、選べる商品が多い「成長投資枠」と毎月積み立てを行う「つみたて投資枠」の2種類あります。
以前のルールでは、「一般NISA(成長投資枠)」または「つみたてNISA(つみたて投資枠)」のどちらかを選択する方式でしたが、新NISAでは併用可能になったため、これからはNISA口座を利用した投資戦略が行えるわけです。
ポイント3.新NISAには投資上限額がある
新NISAでは投資できる上限額が定められています。
成長投資枠は240万円、つみたて投資枠は120万円と、年間で合計360万円が投資上限額です。
以前のルールでは、一般NISA(成長投資枠)が120万円、つみたてNISA(つみたて投資枠)が40万円でしたので、投資上限額はそれぞれ2倍・3倍に増えているのが嬉しいポイントと言えます。
ポイント4.非課税枠は復活する
新NISAでは「生涯非課税限度額」という考え方が導入されたことから、一生涯にわたって最大1,800万円まで投資できます。
ポイント3でお伝えしたように年間の合計投資額は360万円と決まっているため、毎年満額を投資する場合は5年目に1,800万円に達し、6年目以降は新NISA口座での買い付けが行えません。
しかし、新NISAで運用していた資金を5年目に全て売却した場合、非課税枠が復活し翌6年目の使用可能残高が1,800万円になり、6年目以降も年間360万円の投資が可能になります。
要するに、売却をすれば累計購入金額が1,800万円を超えて、新NISAを継続できるというわけです。
上でご紹介した新NISAのポイントを表にまとめましたので、お取り組みを検討している人は参考にしてください。
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
年間投資枠 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 | 1,800万円 (成長投資枠は1,200万円まで) |
|
非課税保有期間 | 無期限 | |
口座開設期間 | 恒久化 |
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旧NISAと新NISAの違い
ここまでは新NISAのポイントについて解説してきました。
ただ、「以前と比較して良くなったの?」「何が違うの?」といった疑問を抱いている人も少なくないと思います。
ここでは、旧NISAと新NISAの制度を比較してみましょう。
旧NISA | 新NISA | |||
一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
制度の併用 | 不可 | 可能 | ||
年間投資上限額 | 120万円(一般NISAの場合) | 360万円 | ||
120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 | |
生涯非課税限度額 | 600万円 | 800万円 | 1,800万円 (成長投資枠の場合は1,200万円) |
|
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限 | |
買付方法 | スポット/積立 | 積立 | スポット/積立 | 積立 |
対象商品 | 株式/投資信託/ETF | 投資信託 | 株式/投資信託/ETF | 投資信託 |
前項のポイントでも解説しましたが、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能になり、年間投資額の上限も360万円まで拡大するなど、以前よりも幅広い投資が行えます。
以前のルールでは「一般NISA(現行:成長投資枠)」または「つみたてNISA(現行:つみたて投資枠)」どちらかの選択式になっていたことから、不便さを感じていた人もいるかもしれません。
しかし、新NISAでは枠の併用が可能になったため、ハイリスクハイリターンの金融商品から比較的リスクが低い投資信託まで、幅広い分散投資が行えるようになりました。
年間投資額は120万円(一般NISAの場合)から3倍の360万円に拡大しましたが、個人的にはこの改正が今回の目玉と思っています。
例えば、以前につみたてNISAを利用していた場合、年間の投資上限額は40万円でしたので毎月の投資額は33,333円でした。
しかし、新NISAでは3倍の120万円に拡大したため、毎月最大10万円まで積み立て可能になった点は魅力と言えるでしょう。
さらに、非課税保有期間が無期限になったことで非課税保有限度額が拡大されたりと、“より多くの資産”を“より長期”にわたって非課税という大きなメリットを受けながら資産運用に取り組めるようになったのです。
新NISAのメリット・デメリット
では、次に新NISAのメリット・デメリットを見てみましょう。
ここまでの内容では「新NISAにはデメリットがない」ようにも思えますが、全くないわけではありません。
新NISAを検討している人は、メリット・デメリットの両方をきちんと把握しておきましょう。
新NISAのメリット3つ
まずはメリットについてですが、新NISAには以下3つのメリットがあります。
1.投資額や非課税保有限度額の拡大により投資に幅ができる
2.非課税枠が復活する
3.非課税保有期間が無期限になる
メリット1.投資額や非課税保有限度額の拡大により投資に幅ができる
新NISA最大のメリットとも言えるのが投資額や非課税保有限度額の拡大で、これによって今までよりも投資に幅ができます。
以前のルールでは限度額が小さかったため、超過分は課税対象の口座で運用する必要がありました。
投資を長期で行う場合は資産額も雪だるま式にどんどん大きくなっていきますので、約20%かかる税金も決して軽視できない金額です。
投資額の大きさは資産形成のスピードに直結することから、より多くの資金を投入できる人にとってはメリット以外の何物でもありません。
メリット2.非課税枠が復活する
新NISAでは非課税枠の復活が可能です。
非課税保有限度額は1,800万円と上限が決まっていますが、売却をすることでその枠に空きができるため、累計購入金額が1,800万円を超えも投資を継続できます。
そのため、売却し現金化しても売却によって非課税枠が復活するため、新NISAになったことで使い勝手の良さを実感できるのではないでしょうか。
ただし、“年間投資枠は360万円まで”に変わりはありませんので、その点にはご注意ください。
メリット3.非課税保有期間が無期限になる
新NISAでは非課税保有期間が無期限になりました。
以前のルールでは、一般NISA(成長投資枠)が5年、つみたてNISA(つみたて投資枠)が20年と期限が定められていましたが、新NISAでは期限が撤廃されました。
投資を長期的に行う場合、投資額が増えるほど節税を行えることの重要度は大きいため、この点も大きなメリットと言えます。
新NISAのデメリット2つ
一方で、新NISAにはデメリットも2つあります。
1.他の口座との損益通算ができない
2.元本割れのリスクがある
デメリット1.他の口座との損益通算ができない
新NISAのデメリット1つ目は、他の口座との損益通算ができないことです。
「損益通算」とは、一年分の利益と損出を相殺し税金を減らすことを言います。
一般口座や特定口座などの課税口座では損益通算が認められていることから、損失が発生した際は他の取引で得た利益と相殺が可能です。
しかし、非課税制度であるNISAでは利益を得る際に税金を払っていないため、損益通算ができません。
デメリット2.元本割れのリスクがある
NISAの対象になっている株式や投資信託は元本保証がないことから、投資した元本が割れるリスクがあります。
そのため、投資は必ず資金に余裕がある際に行うなどして、万が一損失が出てしまっても日常生活に影響を及ぼさない範囲で取り組むようにしましょう。
補足としてお伝えすると、長期投資で取り組むことで元本割れのリスクは軽減できますので、NISAを行う際は短期売買ではなく長期保有を見据えて取り組むのがおすすめです。
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新NISAでシミュレーション
では最後に、新NISAでシミュレーションを行ってみましょう。
今回は
・毎月の投資額別
・目標金額別
の2パターンで試してみます。
※金融庁の「資産運用シミュレーション」を基に算出。下記表内の金額は約です。
新NISAシミュレーション:毎月の投資額別
まずは投資額別で見ていきます。
毎月の積み立て投資額が1万円・3万円・5万円で取り組む場合、10年後・20年後・30年後にはいくらになっているのか見てみましょう。
毎月1万円を積み立て投資する場合
投資期間 | ||||
10年 (元本:120万円) |
20年 (元本:240万円) |
30年 (元本:360万円) |
||
利回り率 | 3% | 140万円 (+20万円) |
328万円 (+88万円) |
582万円 (+222万円) |
5% | 155万円 (+35万円) |
411万円 (+171万円) |
832万円 (+472万円) |
|
7% | 173万円 (+53万円) |
521万円 (+281万円) |
1,220万円 (+860万円) |
毎月僅か1万円の積み立てであっても、20年で328万円、30年で582万円まで拡大します。
利回り率が上がると収益も拡大しますが、1万円で取り組んで利回り率が3%の場合でも30年で222万円プラスになりますので、毎月の積み立て額(支出)を考えると現実的と言えそうです。
毎月3万円を積み立て投資する場合
投資期間 | ||||
10年 (元本:360万円) |
20年 (元本:720万円) |
30年 (元本:1,080万円) |
||
利回り率 | 3% | 420万円 (+60万円) |
985万円 (+265万円) |
1,748万円 (+668万円) |
5% | 466万円 (+106万円) |
1,233万円 (+513万円) |
2,497万円 (+1,417万円) |
|
7% | 519万円 (+159万円) |
1,563万円 (+843万円) |
3,660万円 (+2,580万円) |
毎月の積み立て額を3万円で取り組んだ場合、10年間ですでに60万円もプラスになります(利回り率が3%の場合)。
仮に利回り率が5%でしたらこの時点で早くも100万円のプラスです。
毎月5万円を積み立て投資する場合
投資期間 | ||||
10年 (元本:600万円) |
20年 (元本:1,200万円) |
30年 (元本:1,800万円) |
||
利回り率 | 3% | 699万円 (+99万円) |
1,642万円 (+442万円) |
2,914万円 (+1,114万円) |
5% | 776万円 (+176万円) |
2,055万円 (+855万円) |
4,161万円 (+2,361万円) |
|
7% | 865万円 (+265万円) |
2,605万円 (+1,405万円) |
6,100万円 (+4,300万円) |
奮発して毎月の積み立て額を5万円で取り組む場合、投資期間を30年で見た時に利回り率が3%でもプラス1,100万円超え。
利回り率が5%であれば2,300万円超えと“老後2,000万円問題”も解消できますし、仮に7%だった場合は配偶者の老後2,000万円問題も解消できることになります。
新NISAシミュレーション:目標金額別
次は目標金額別でシミュレーションを行っていきます。
目標金額を500万円・1,000万円・2,000万円で設定した場合、毎月いくらの積み立て額が必要なのでしょうか?
目標金額を500万円に設定する場合の毎月の積み立て金額
投資期間 | ||||
10年 | 20年 | 30年 | ||
利回り率 | 3% | 35,800円 | 15,200円 | 8,600円 |
5% | 32,200円 | 12,200円 | 6,000円 | |
7% | 28,900円 | 9,600円 | 4,100円 |
目標金額を500万円に設定する場合、投資期間が10年ですと毎月の積み立て金額は35,800円とやや高額ですが、20年計画であれば毎月15,200円と現実味を帯びます。
30年の長期計画で見ると、利回り率が3%でしたら毎月8,600円、5%でしたら毎月6,000円と、お小遣いから少しずつ積み立てる感覚で取り組めそうです。
目標金額を1,000万円に設定する場合の毎月の積み立て金額
投資期間 | ||||
10年 | 20年 | 30年 | ||
利回り率 | 3% | 71,600円 | 30,500円 | 17,200円 |
5% | 64,400円 | 24,300円 | 12,000円 | |
7% | 57,800円 | 19,200円 | 8,200円 |
目標金額を倍の1,000万円に設定する場合ですが、投資期間を短期の10年間で見た時は、仮に利回りが7%でも毎月57,800円、3%では71,600円と結構高額です…
投資期間を長期の30年間とすれば、利回り率が3%で毎月17,200円、5%で毎月12,000円と、生活に大きな影響を及ぼさない金額で積み立てができます。
よって、目標金額を1,000万円にする場合は30年計画が妥当と言えそうです。
目標金額を2,000万円に設定する場合の毎月の積み立て金額
投資期間 | ||||
10年 | 20年 | 30年 | ||
利回り率 | 3% | 143,100円 | 60,900円 | 34,300円 |
5% | 128,800円 | 48,700円 | 24,000円 | |
7% | 115,600円 | 38,400円 | 16,400円 |
目標金額を2,000万円に設定する場合、額が額ということもあり毎月の積み立て額もかなり高額です。
30年の長期計画であれば、利回り率が3%時で毎月34,300円、5%時で24,000円とまだ現実的ですが、10年または20年計画は資金に結構な余裕がある人以外は厳しいように思えます^^;
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まとめ
今回は2024年1月からルール変更された新NISAについて解説してきました。
ルール変更に伴い、年間の投資上限枠が拡大し2種類の枠が併用可能になったことから、この機会に取り組み開始を検討している人も多いことでしょう。
新NISAには魅力ポイントがいくつもありますし、目立ったデメリットもないため、検討している人はシミュレーションを参考に始めてみはいかがでしょうか?
NISAの取り組みを検討している人にとって、当コラムが参考になったら嬉しいです^^