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不動産投資で節税|経費として計上できる費用とできない費用

2023/01/18
2023/03/16
不動産投資コラム

(追記:2023年1月18日)

不動産投資にかかる税金を減らしたい人もいるはずです。それなら、節税の効果がある「経費」に関する知識を蓄えましょう。

このコラムでは、不動産所得において「経費にできる費用」「経費にできない費用」をご紹介します。また、不動産所得は確定申告が必要です。申告の基礎知識や注意点についても詳しく解説しているので、不動産投資の節税策としてご参考ください。

また節税策の詳細を知りたいなら以下の記事もおすすめです。大きく節税できる税制措置について詳しく学べます。
>『マンション投資と不動産取得税|節税方法を詳しく知る』

不動産投資で経費にできる費用

不動産投資では、物件を運用する費用として税金や管理費、管理委託料、修繕費などが発生します。このうち経費計上できる費用を以下に整理しました。

ここでは、不動産投資における代表的な経費項目を取り上げます。

・税金(固定資産税など)
・減価償却費
・管理費/管理委託料
・修繕費
・広告宣伝費(入居者募集に関する費用)
・仲介手数料
・ローンの金利
・火災/地震保険料
・専門家への報酬
不動産投資の勉強や情報収集に関する費用
・旅費/交通費/交際費
・通信費

不動産投資で経費にできる費用.税金

不動産投資では、物件の購入や維持において税金が発生します。

主な税金は「物件購入時に発生する税金」と「毎年発生する税金」の2種類がです。具体的には以下のような税金が該当します。

不動産投資で経費にできる費用.物件購入時に発生する税金

・不動産取得税
登録免許税
印紙税

不動産投資で経費にできる費用.毎年発生する税金

・固定資産税
都市計画税
個人事業税(一定以上の規模と認められた場合)
法人事業税(法人化した場合)
利子税
自動車税や重量税(不動産投資のために利用している場合に限る)

不動産投資で経費にできる費用.減価償却費

減価償却費とは、不動産を取得した際に取得費用を一定年数に分け、毎年の経費として計上する経費処理の方法です。

不動産投資の場合は、物件の法定耐用年数を基準に配分して、減価償却費として計上することが必要経費として認められています。

物件の構造ごとの法定耐用年数は以下のとおりです。

■構造ごとの法定耐用年数( 参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
・木造/合成樹脂造:22年
金属造:34年
鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造:47年
木骨モルタル造:20年
れんが造/石造/ブロック造:38年

不動産投資で経費にできる費用.管理費/管理委託料

不動産投資を行う方の多くは、家賃集金や入居者募集、入居者対応業務などを管理会社に任せています。
ここで発生する管理費・管理委託料は、経費計上が可能です。

管理会社によっては、確定申告にあたって管理を委託している範囲の経費に関する資料をまとめて作成してくれるところもあるため、事前に確認しておきましょう。

そういったサービスがない場合でも、確定申告時には一年分の管理委託の明細があれば対応ができますので、後からそのコピーをもらうことでも対応が可能です。

管理費の中には、管理会社を通さずに費用を支払うケースもあります。その場合は請求書を取っておきましょう。

不動産投資で経費にできる費用.修繕費

不動産投資の修繕費は、経費として計上が可能です。日々発生する設備故障に伴う費用や原状復帰に伴うリフォーム費用がこれにあたります。

注意点として、あくまでも修繕が目的の費用が対象であり、不動産価値を上げるためのリフォーム・リノベーションの工事費用は含めることはできません。

不動産投資で経費にできる費用.広告宣伝費(入居者募集に関する費用)・仲介手数料

不動産投資では、家賃収入の柱となる入居者を集めるため、広告を打つことがあります。

不動産管理会社や不動産仲介会社に入居者募集を依頼するケースがよくある例です。その際の広告宣伝費や仲介手数料は経費として計上できます。

不動産投資で経費にできる費用.ローンの金利

一般的な家屋とは違い、不動産投資で所有する物件は収益用の不動産です。

収益を得るための不動産投資では、住宅ローンではなく不動産投資ローンを組むことになります。不動産投資ローンの金利分は、経費計上が可能です。

利用している金利のタイプが固定金利であれば、金利が動かないため計算は簡単です。一方、変動金利の場合は金利が増減するため、毎月こまめに管理しておくことをおすすめします。

不動産投資で経費にできる費用.火災・地震保険料

一般的に、金融機関は担保である物件を守るために火災保険の加入を義務付けます。この火災保険料は経費計上することが可能です。

火災保険に加入すると、地震保険にも加入できます。地震保険料に関しても、同様に経費計上が可能です。

不動産投資で経費にできる費用.専門家への報酬

不動産投資は専門的な知識が求められるため、各種専門家へ対応を依頼することも考えられます。

例えば、登記を司法書士に依頼した場合や、税理士へ確定申告を依頼した場合などが該当します。

■不動産投資の勉強や情報収集に関する費用

不動産投資のための勉強に伴い発生した以下の費用は経費として計上可能です。
・新聞代
・書籍代
・セミナー代
・コンサルティング代

ただし、資格取得費用は認められないため注意しておきましょう。

不動産投資で経費にできる費用.旅費・交通費・交際費

不動産投資に関連する目的で使った旅費・交通費・交際費は、経費として計上可能です。

例として以下の費用があります。
・ホテル代
バスや電車の運賃
駐車場代
ガソリン代
不動産会社の担当者との飲食代

不動産投資で経費にできる費用.通信費

不動産会社や管理会社との連絡手段として、スマホやパソコンを使うケースがあります。また、新たな不動産購入や勉強のための情報収集にも使用することが想定されます。これらの通信費は経費として計上が可能です。

一方で、不動産投資以外の目的にも同じスマホを使用している場合は、家事按分が必要です。不動産投資に使った部分のみを計算して費用に計上しましょう。

不動産投資の経費にできない費用

多数の費用を経費にできる一方、不動産投資の経費にできない費用もあります。

想定外の事態にならないよう、以下の項目を必ず確認しましょう。
・住民税/所得税/法人税
・不動産投資ローンの元本
リフォームやリノベーションにかかった費用
不動産投資目的以外の通信費/交際費など

経費にできない費用.住民税・所得税・法人税

所得税や住民税は不動産投資に関係なく発生する税金のため、経費に計上ができません。また、法人で不動産投資をしている場合に課せられる法人税も、経費の対象外です。

経費にできない費用.不動産投資ローンの元本

不動産投資ローンを組んで収益物件を購入した際の元本部分も、経費に認められません。一方、金利部分は経費計上できるため、混同しないように注意しましょう。

経費にできない費用.リフォームやリノベーションにかかった費用

原状回復のための工事費は修繕費として経費計上できることは前述したとおりですが、物件や部屋の価値をあげるためのリフォームやリノベーションの工事費用は含めることはできません。

経費にできない費用.不動産投資目的以外の通信費・交際費など

不動産投資目的であれば経費計上できますが、私用の分は含めることができないため、注意しましょう。

例えば、主に次に示す項目などは経費として計上できません。
・スーツ代
コンタクトレンズ代
ビジネスバッグ
時計
・福利厚生費(ジム/スポーツクラブ)
反則金/罰金
慰安旅行費

全ての経費に共通することですが、領収書や請求書は忘れずに取っておき、不動産投資関連で使ったことがわかるように、目的や場所などを記載しておきましょう。

不動産投資の経費を知る|確定申告の準備

不動産投資では、年間の収入が20万円以上であれば確定申告が必要です。

たとえ賃貸経営が赤字だったとしても、必ず申告をしなければいけません。また、家賃収入は所得税法によって定められている10種類の所得区分のうち、「不動産所得」という区分になります。

不動産所得とは譲渡所得や事業所得以外の所得で、次のようなものを指します。( 参考:国税庁「不動産所得とは」
・土地や建物などの不動産の貸付け
地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
船舶や航空機の貸付け

確定申告の際に準備する書類は、この記事で紹介した経費など、不動産投資に関わるお金の記録すべてです。書類は多岐に渡るため、確定申告直前に焦らないようにしっかりと事前準備をしておきましょう。

不動産投資の経費を知る|確定申告申請時の注意点

ここでは、確定申告申請時の注意点を3点ご紹介します。
1.申請期間
2.
申請に必要な書類
3.
青色申告と白色申告

もし確定申告の具体的な流れを知りたい方は以下の記事がおすすめです。確定申告のメリット・デメリットや利用する流れを学べます。
>『マンション投資は確定申告が必要?|種類と流れについて解説』

注意点1.申請期間

確定申告は前年の1月1日から12月31日までの所得を合算、それに対する税金を計算した上、翌年の2月16日から3月15日までに申告する必要があります。

申請期間が限られているため、早めに準備しておくと安心です。

注意点2.申請に必要な書類

確定申告のために、以下の書類をそろえます。
提出は不要ですが、一定期間(7年間または5年間)保存する必要があります。これらの書類が申請の根拠となるためです。

・不動産売買契約書
賃貸借契約書
ローンの返済予定表
賃料入金明細書(不動産管理会社に委託している場合)
固定資産税などの納税通知書
修繕費、管理費、交際費などの見積書/請求書/領収書
火災/地震保険証券
源泉徴収票(給与所得がある場合)

確定申告の直前にすべての書類を集めることは大変です。日頃から領収証などは整理整頓しておきましょう。

また、2022年1月1日より「電子帳簿保存法」が改正されました。原則書面として保管していた領収書などは、データとして保管する必要があるため注意してください。(参考:国税庁「電子帳簿保存法の概要」)

注意点3.青色申告と白色申告

確定申告には2種類の申請方法があります。

青色申告の申請をしなければ自動的に白色申告、申請をすれば青色申告で確定申告ができます。青色申告は白色申告より計算や記帳の手間が必要です。

しかし、青色申告には税庁の公認で節税効果が生まれる「青色申告特別控除」などの特典があります。

青色申告のメリットは下記の4点です。(参考:国税庁「青色申告制度」
・青色申告特別控除
青色事業専従者給与
貸倒引当金
純損失の繰越しと繰戻し

不動産投資で確定申告を申請する場合は、青色申告をお勧めします。

まとめ:不動産投資の経費を知ることは利益獲得につながる

経費は不動産投資の収益に与える影響が非常に大きな要素です。

落とせる経費、落とせない経費を正しく理解することで、経費の全体像予測ができます。また、経費を詳しく知ることで確定申告を行う際もスムーズに準備を進めることが可能ですので、確定申告を行う際にぜひ参考にしてみてください。

一方で、不動産投資で成功するためには経費だけでなく、やはり収入を見ることも非常に大切です。不動産投資で利益を得るためには物件選びが鍵を握ります。

物件選びについては下記の記事で詳しくまとめています。併せて参考にしてみてください。
>『不動産投資用の物件の選び方│種類と目的別の選び方まとめ』

この記事を読んで不動産投資について勉強したいと思った方は、下記の記事で初心者向けに不動産投資の注意点を紹介しています。併せてご一読ください。
>『初心者必見|不動産投資で気を付けるべきポイント5選』

なお、LIV PLUSでは不動産投資に関するコラムを随時アップしています。不動産投資を検討する際にご参考いただけますと幸いです。

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