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新築より中古も高い?東京の中古マンションが1億円を超えた理由【東京のマンションはなぜ買えなくなった? 第5回】

2026/10/21
リスク・注意点

マンションを購入するとき、

「新築は高いから中古を探そう」

と考える人は多いだろう。

自動車でも家電でも、一般的には新品より中古の方が安い。

住宅も同じように、

新築マンション
↓
築10年
↓
築20年
↓
築30年

と古くなるほど価格が下がっていくイメージがある。

しかし現在の東京23区では、その常識だけでは説明しにくい状況になっている。

東京カンテイによると、2026年8月の東京23区における中古マンション70㎡換算価格は、

1億2,677万円

だった。

「中古マンション」である。

しかも一部の超高級物件だけの価格ではなく、東京23区の中古マンション市場を70㎡へ換算して比較した価格指標が1億円を大きく超えている。

一方、不動産経済研究所によると、2025年度の東京23区の新築マンション平均価格は、

1億3,784万円

だった。

東京23区では3年度連続で平均1億円を超えている。

つまり現在の東京では、

新築が高いだけではない。

中古まで億ション化している。

なぜ、すでに誰かが住んだ中古マンションがここまで高くなったのだろうか。

まず「新築1億3,784万円」と「中古1億2,677万円」は単純比較できない

最初に整理しておきたい。

2025年度の新築マンション平均価格、

1億3,784万円

と、

2026年8月の中古マンション70㎡換算価格、

1億2,677万円

は、調査時期も集計方法も異なる。

新築は実際に発売された住戸の平均価格。

一方、中古は東京カンテイが70㎡へ換算した市場価格指標である。

したがって、

「中古が新築の92%だから、ほぼ同額になった」

と単純に結論付けることはできない。

ただし、両方が1億円を大きく超えているという事実から、

「中古なら大幅に安く買える」という感覚が東京23区では通用しにくくなっている

ことは分かる。

面積を70㎡にそろえると、新築は約1億5,000万円相当

もう少し条件をそろえて考えてみよう。

不動産経済研究所によると、2025年度の東京23区新築マンションは、

平均価格 1億3,784万円

1㎡当たり平均価格 214.3万円

だった。

これを単純に70㎡へ換算すると、

214.3万円 × 70㎡

で、

約1億5,001万円

となる。

一方、2026年8月の中古70㎡換算価格は、

1億2,677万円。

単純な参考比較では、中古でも新築70㎡換算価格の約85%に達する。

もちろん年度も集計方法も異なるため厳密な価格差ではない。

それでも、

「中古だから半額」

という世界ではないことは明らかである。

なぜ中古マンションまで高くなるのか?

中古価格上昇の理由は一つではない。

主に、

新築価格の上昇

新築供給の減少

都心の中古住宅の希少性

築浅・高品質マンションへの需要

土地価格の上昇

再開発

住宅取得需要

などが重なっている。

特に大きいのが、

新築価格が中古市場の基準を引き上げていること

である。

理由1 新築マンションが高くなりすぎた

2025年度の東京23区新築マンション平均価格は、

1億3,784万円。

前年から18.5%上昇した。

㎡単価は、

214.3万円

で、前年から20.9%上昇している。

つまり、

「広い高級マンションが増えたから平均価格が上がった」

だけではない。

1㎡当たりの価格そのものが2割以上上がった

のである。

こうなると、新築を検討していた人の一部は、

「1億5,000万円の新築は無理だが、1億円の中古なら検討できる」

と中古市場へ向かう。

中古物件に新しい買い手が流入すれば、中古価格にも上昇圧力がかかる。

例えば「中古8,000万円」が安く見える

価格は絶対額だけで決まるものではない。

比較対象によって印象が変わる。

例えば数年前、

新築マンションが7,000万円。

築10年中古が5,500万円。

だったとする。

中古は1,500万円安い。

ところが新築が1億2,000万円まで上昇すると、

築10年中古が8,000万円でも、

「新築より4,000万円安い」

と感じる人が出てくる。

中古価格自体は2,500万円上がっている。

それでも新築との価格差があるため、買い手から見れば選択肢になり得る。

これが、

新築価格上昇が中古価格の許容水準を押し上げる

仕組みである。

理由2 そもそも新築マンションが少ない

価格だけではない。

新築マンションそのものが減っている。

不動産経済研究所によると、2025年度の首都圏新築マンション発売戸数は、

2万1,659戸

だった。

4年連続で減少し、1973年度に統計を開始して以来の最少を更新している。

東京23区では、

7,708戸

で、前年度から6.8%減少した。

新築住宅を求める人がいるのに、新築供給が減る。

そうなれば、当然、

既存住宅=中古マンション

へ需要が向かいやすくなる。

東京23区の新築供給は数年前よりかなり少ない

2025年度の資料を見ると、東京23区の供給戸数は、

2019年度 1万3,131戸

2020年度 1万1,131戸

2021年度 1万3,169戸

2022年度 1万692戸

2023年度 1万1,100戸

2024年度 8,272戸

2025年度 7,708戸

と推移している。

2019年度と比較すると、

約41%減

である。

新築価格が上がっているだけではない。

新しく買えるマンション自体が少なくなっている。

これが中古市場の重要性を高めている。

理由3 中古なら「好きな場所にすでに建っている」

新築マンションには決定的な弱点がある。

土地がなければ建てられない。

例えば、

山手線駅徒歩5分

都心3区

駅直結

人気学区

大規模再開発エリア

など、人気条件を満たす土地は限られている。

すでにマンションやビルが建っている場所では、新築マンションを好きなタイミングで供給することはできない。

一方、中古マンションには、

過去に確保された好立地

という価値がある。

20年前、30年前には取得できた駅前の土地に、すでにマンションが建っている。

現在では同じ立地で新築マンションを造ることが難しい。

すると建物が古くなっても、

立地の希少価値

が価格を支えることがある。

建物は古くなるが「土地」は古くならない

マンションは建物だけではない。

所有者は敷地利用権も持っている。

建物部分は時間が経てば劣化する。

設備も古くなる。

しかし、

東京都心の土地そのものが築30年になるわけではない。

駅前という立地。

都心への距離。

周辺商業施設。

鉄道路線。

再開発。

こうした土地の価値は、建物の築年数とは別に動く。

土地価格が上昇すれば、

築年数が進んだマンションでも価格が上がることがあるのである。

理由4 「中古」といっても築浅ならほぼ新しい

中古マンションという言葉から、

築30年

築40年

の建物を想像する人もいるかもしれない。

しかし市場には、

築1年

築3年

築5年

築10年

といった築浅中古も存在する。

現在のように新築マンションの供給が少ない状況では、

新築に近い築浅中古

の希少性が高くなる。

東京カンテイの駅別調査でも、2026年には「築浅化」によって平均価格が大きく上昇した駅が複数みられる。

例えば高田馬場では、対象物件の平均築年数が若返るなか、平均坪単価が前年から50%超上昇した。

JR埼京線の十条でも、築浅事例の増加によって平均築年数が12.9年まで若返り、価格が大きく上昇している。

中古価格を見る際には、

築年数の構成が変わるだけでも平均価格は大きく動く

ことに注意する必要がある。

「中古マンション価格上昇=同じ物件が全部値上がり」ではない

これは非常に重要である。

東京23区の中古マンション価格が上昇しているからといって、

東京23区にある全マンションが同じ割合で値上がりしているわけではない。

例えば市場に、

築40年のマンションが多く出た月

と、

築5年のタワーマンションが多く出た月

では、平均価格が大きく変わる。

東京カンテイの駅別データでも、

築浅物件の増加によって平均価格が大きく上昇する例

が確認できる。

したがって、中古市場を見るときは、

平均価格

だけでなく、

築年数

専有面積

駅距離

物件構成

も確認する必要がある。

理由5 新築の建築費上昇が中古にも影響する

第3回では、新築マンションの建築費が大きく上昇していることを紹介した。

鉄筋。

コンクリート。

設備。

人件費。

土地代。

これらが上昇すれば、新築マンションを安く供給することが難しくなる。

そして新築価格が上がれば、

既存マンションを現在と同じ場所にもう一度造ったらいくらかかるのか

という「再調達コスト」も上昇する。

例えば築10年のマンションが8,000万円でも、

同じ場所に同等の新築マンションを造れば1億3,000万円必要なら、

8,000万円という中古価格が市場で受け入れられる可能性がある。

中古マンションは「古い建物」ではなく「もう造れない不動産」になることがある

これが中古不動産の面白いところである。

一般商品なら古いほど価値が下がりやすい。

しかし不動産では、

今では取得できない立地

を持っている場合がある。

駅前。

眺望。

大規模敷地。

公園隣接。

都心再開発地区。

人気住宅地。

こうした条件の中古マンションは、

単なる中古品ではない。

「現在では同じ条件で新しく供給しにくい資産」

になる。

その希少性が価格を支えるのである。

理由6 中古住宅市場そのものが活発になっている

中古マンションは、

「新築を買えない人が仕方なく買う住宅」

という位置付けだけではなくなっている。

東日本不動産流通機構(REINS)のデータでも、中古マンションの取引は活発である。

2025年8月には東京都区部の中古マンション成約件数が、

1,593件

で、前年同月比59.3%増。

成約㎡単価は、

133.10万円

で、前年同月比18.9%上昇していた。

2025年4~6月期についても、東京都区部ではすべての築年帯で成約㎡単価と成約価格が前年同期を上回った。

中古住宅が活発に売買される市場が形成されれば、

「将来売却できる」という流動性

も不動産価値の一つになる。

築30年以上でも取引されている

中古マンション市場では、築浅だけが売れているわけではない。

REINSの2025年4~6月期の集計では、東京都の中古マンション成約件数6,638件のうち、

築30年超が2,336件

を占めていた。

3分の1以上である。

つまり、

「築30年になったら売れない」

というわけではない。

立地。

価格。

管理。

耐震性能。

修繕状況。

こうした条件が合えば、古いマンションも十分に流通している。

中古マンションでは「管理」が価格差を生む

中古マンションで特に重要になるのが、

管理状態

である。

同じ築30年でも、

大規模修繕が適切に行われている。

修繕積立金が十分ある。

共用部がきれい。

管理組合が機能している。

というマンションと、

修繕が遅れている。

積立金が不足している。

設備が更新されていない。

というマンションでは、将来価値が大きく変わる可能性がある。

つまり中古マンションでは、

「築年数」だけで価格を判断してはいけない。

何年間使われたかではなく、

その期間にどう維持されてきたか

を見る必要がある。

理由7 再開発で「中古マンションの立地」が後から良くなる

建物は動かない。

しかし、

街は変わる。

購入したときには普通の住宅地だった場所に、

新駅

商業施設

オフィス

公園

大型再開発

などができる場合がある。

すると、その周辺の中古マンションは、

建物は古くなっているのに、立地条件は良くなる

という現象が起きる。

東京では現在も、

日本橋

八重洲

品川

高輪

渋谷

新宿

虎ノ門

などで大規模な再開発が進んでいる。

不動産価格を見るときは、

建物の築年数

だけでなく、

街の将来

を見ることも重要である。

それでも2026年夏は「上がり続けている」わけではない

ここで現在の市場についても注意しておきたい。

東京23区の中古マンション70㎡換算価格は、

2026年5月 1億2,849万円

6月    1億2,741万円

7月    1億2,724万円

8月    1億2,677万円

と推移し、

3カ月連続で下落

している。

2026年8月は前月比0.4%下落した。

東京カンテイは、都心部について流通戸数や価格改定、値下げの動きがネガティブ方向へ振れていると分析している。

つまり、

「中古は今後も必ず値上がりする」

という市場ではない。

高すぎれば買える人が減る

不動産価格には限界がある。

1億円。

1億2,000万円。

1億5,000万円。

と価格が上がっていけば、購入できる世帯は当然少なくなる。

第2回で計算したように、1億円の住宅ローンを35年間借りれば、条件によっては月30万円前後の返済が必要になる。

さらに、

管理費

修繕積立金

固定資産税

なども支払わなければならない。

価格が所得から離れすぎれば、

需要そのものが減少する。

すると売主側が値下げする必要も出てくる。

2026年夏の価格調整は、その点からも注目される。

「新築が高いから中古も上がる」には限界がある

新築価格が1億5,000万円だからといって、

築30年の中古が自動的に1億円になるわけではない。

中古には、

築年数

管理状態

耐震性

設備

修繕履歴

立地

階数

眺望

間取り

など個別性が強い。

新築価格が中古価格を押し上げる力はあるが、

最終的には、

その中古物件をその価格で買いたい人がいるか

で決まる。

不動産投資では「中古」が選択肢になりやすい理由

ここからは資産形成の視点で考えてみよう。

投資用不動産では、新築だけでなく中古マンションも大きな市場を形成している。

理由の一つが、

すでに賃貸需要を確認できること

である。

完成前の新築では、

実際にどのくらいの家賃で貸せるか

入居者がどのくらい集まるか

周辺の入居率はどうか

を予測しなければならない。

一方、中古であれば、

現在の家賃

過去の賃貸実績

周辺の賃料相場

管理状況

などを確認しやすい。

つまり、

既に存在する実績を基に投資判断できる

という特徴がある。

新築価格が上がるほど「既存資産」の意味が大きくなる

新築マンションの平均価格が1億円を超え、供給戸数も減少している。

同時に、

建築費

土地価格

人件費

も上昇している。

この状態では、

同じ場所に新しいマンションを安く大量供給する

ことが難しい。

すると、

すでに存在するマンションストック

の重要性が高まる。

住宅としても。

賃貸物件としても。

投資対象としても。

不動産市場が新築中心から、

既存住宅を長く使い、売買する市場

へ変化していく可能性がある。

「中古だから安い」ではなく「その不動産の価値はいくらか」

これからのマンション選びでは、

新築か中古か

だけで判断するのは難しくなるだろう。

中古でも、

駅徒歩3分。

再開発エリア。

管理良好。

人気ブランド。

築浅。

なら高額になる。

反対に新築でも、

駅から遠い。

賃貸需要が弱い。

周辺供給が多い。

なら、将来の資産価値が保証されるわけではない。

重要なのは、

新築か中古かではなく、その物件がその価格に見合う価値を持っているか

である。

中古不動産では「買った後」も重要

中古マンションを資産として持つ場合、

購入価格だけを見ても不十分である。

将来、

いくらで貸せるか。

何年保有するか。

修繕費はいくらか。

管理費は上がるか。

修繕積立金は足りるか。

売却するとき誰が買うか。

を考える必要がある。

不動産投資では特に、

「買える物件」ではなく「持ち続けられる物件」

を選ぶことが重要になる。

「中古1億円」は異常なのか?

東京23区の中古マンション70㎡換算価格、

1億2,677万円。

数字だけを見ると異常に感じるかもしれない。

しかし背景を見ると、

新築マンションが約1億4,000万円。

新築70㎡換算では約1億5,000万円。

新築供給は減少。

土地価格は上昇。

建築費も上昇。

都心の好立地は限られている。

という状況がある。

そう考えると、

中古マンションが単独で突然高くなったのではなく、東京の不動産市場全体の価格水準が上へ移動した結果

と見る方が分かりやすい。

まとめ

2026年8月、東京23区の中古マンション70㎡換算価格は、

1億2,677万円

だった。

一方、2025年度の東京23区新築マンション平均価格は、

1億3,784万円。

㎡単価は214.3万円だった。

70㎡へ単純換算すると、

約1億5,001万円

になる。

もちろん両者は調査時期・集計方法が異なるため直接比較はできない。

しかし、

「新築が高いから中古を買えば大幅に安い」

とは言いにくい市場になっていることは確かである。

その理由には、

新築マンション価格の上昇

新築供給の減少

土地価格の上昇

建築費の高騰

好立地の希少性

築浅中古への需要

再開発

などがある。

特に2025年度の首都圏新築マンション供給戸数は、

2万1,659戸

と、1973年度以降で過去最少を更新した。

東京23区でも、

7,708戸

に減少している。

新築が少なく、高い。

そのため中古市場へ需要が流れる。

さらに現在では同じ立地に安く新築マンションを造ることも難しい。

その結果、

既存の中古マンションそのものが希少な住宅ストック

になりつつある。

ただし中古マンション価格は上がり続けているわけではない。

2026年8月の東京23区は3カ月連続の下落となっており、都心部では値下げの動きもみられる。

だから、

「中古マンションなら買えば値上がりする」

という考え方は危険である。

見るべきなのは、

立地。

管理。

築年数。

修繕。

賃貸需要。

再開発。

購入価格。

そして将来の売却可能性である。

一方で、新しい不動産を造るコストそのものが上昇している現在、

すでに好立地に存在する不動産を保有する意味

は以前より大きくなっているとも考えられる。

住宅として住む場合でも。

不動産投資として保有する場合でも。

これから重要になるのは、

「新築か中古か」ではなく、「その不動産をその価格で持つ価値があるか」

という視点なのである。

次回は、

35年ローンでは買えない?50年住宅ローンが増えている理由【東京のマンションはなぜ買えなくなった? 第6回】

をテーマに、マンション価格の高騰によって、なぜ住宅ローンが35年から40年、50年へ長期化しているのかを具体的な返済額で比較する。

引用元・参考元

  • 東京カンテイ「2026年8月 中古マンション70㎡価格月別推移」
  • 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年度」
  • 東日本不動産流通機構(REINS)「月例マーケットウォッチ」
  • 東日本不動産流通機構(REINS)「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況」
  • 東京カンテイ「駅別中古マンション価格」

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