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【連載コラム:地震から住まいと暮らしを守る 第1回】地震が起きたら何をする?発生直後から自宅に戻るまでの行動

2026/08/22
連載

大きな地震が発生したとき、「まず何をすればいいのか」「すぐに家へ帰るべきなのか」「自宅に戻ったら何を確認すればいいのか」と迷う人は少なくありません。

地震では、強い揺れそのものだけでなく、火災、停電、落下物、交通機関の停止、そして帰宅途中の二次被害などにも注意が必要です。特に東京のような大都市では、大勢の人が一斉に移動すること自体が新たな危険につながる場合があります。

連載「地震から住まいと暮らしを守る」の第1回では、地震発生の瞬間から揺れが収まった後、避難、帰宅、自宅の確認まで、「地震が起きたら何をするのか」を時系列で整理します。

地震が起きた瞬間は「逃げる」より、まず身を守る

大きな揺れを感じたとき、最優先すべきなのは自分の身を守ることです。

慌てて屋外へ飛び出そうとすると、割れたガラスや看板、外壁などが落下してくる可能性があります。室内でも家具の転倒や照明器具、食器などの落下が考えられます。

机など丈夫なものの下に入れる状況なら頭部を守り、倒れそうな家具や窓ガラスから離れます。

特に注意したいのが、「地震が来たらすぐ火を消さなければ」と考えて、強く揺れている最中にキッチンへ移動することです。

現在のガス機器には安全装置が備わっているものも多く、激しい揺れの中を無理に移動して火を消そうとする方が危険になる場合があります。

まず自分の安全を確保し、揺れが収まってから火元を確認することが基本です。

揺れが収まったら「出口」と「火元」を確認する

大きな揺れが収まったら、次の行動に移ります。

まず周囲にけが人がいないか、自分自身がけがをしていないか確認します。

そのうえで火元や電気設備、建物の状況を確認します。

大きな地震では建物がゆがみ、玄関ドアなどが開きにくくなることも考えられます。避難が必要になったときに外へ出られるよう、安全を確認したうえで出口を確保しておくことも大切です。

一方、地震直後は余震が起こる可能性があります。

棚から物が落ちそうになっている、家具が傾いている、窓ガラスが割れているといった場合には、不用意に近づかないようにします。

「最初の揺れが終わったから安全」と考えないことが重要です。

地震後に怖い「通電火災」にも注意

住宅と地震を考えるうえで、忘れてはいけないのが火災です。

消防庁によると、地震に伴う火災では電気に起因するものが多く、地震直後だけでなく、停電後に電気が復旧した際に火災が発生することもあります。いわゆる「通電火災」などの危険です。 (防災科学技術研究所)

例えば、地震で倒れた電気ストーブの近くに可燃物がある状態で停電し、そのまま避難したとします。

その後、電気が復旧すると、誰もいない室内で火災につながる可能性があります。

消防庁は、停電中には電化製品のスイッチを切ってプラグを抜き、避難するときにはブレーカーを落とすことを地震火災対策として挙げています。電気が復旧した後も、電化製品から煙や異臭などがないか注意が必要です。 (防災科学技術研究所)

ただし、夜間などブレーカーを落とすことで照明まで失われ、避難行動に危険が生じる状況も考えられます。まず身の安全を優先してください。

一定以上の揺れを感知して自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」もあります。 (防災科学技術研究所)

こうした設備については、今後の防災グッズ編でも詳しく取り上げます。

「地震が起きた=すぐ避難所へ行く」ではない

大きな地震が発生すると、「とにかく避難所へ行かなければ」と考えるかもしれません。

しかし、自宅が安全であれば、必ずしも避難所へ行く必要があるとは限りません。

重要なのは、今いる場所が安全なのかを判断することです。

建物に大きな損傷がある。

火災が発生している、または延焼の危険がある。

津波や土砂災害などの危険がある。

自治体から避難に関する情報が出ている。

このような場合は、自治体や消防、警察などの情報を確認し、安全な場所へ避難する必要があります。

逆に、建物の安全性が保たれ、周辺にも差し迫った危険がない場合には、自宅にとどまる「在宅避難」が選択肢になることもあります。

避難所には収容人数にも限りがあります。

「地震が起きたら全員が避難所へ行く」のではなく、自宅で安全に生活を継続できるかを考えることが大切です。

マンションではエレベーターに注意する

マンションやオフィスビルで被災した場合、特に注意したいのがエレベーターです。

地震ではエレベーターの運転休止や閉じ込めが発生する可能性があります。国土交通省でも、過去の地震を踏まえて、エレベーターの閉じ込めや故障・損傷を抑えるための地震対策が進められています。 (国土交通省)

もしエレベーターに乗っている最中に強い揺れを感じた場合、国土交通省は、すべての階のボタンを押すなどして早めに降り、停止して閉じ込められた場合にはインターホンなどで外部へ連絡して救助を待つよう案内しています。 (国土交通省)

また、一度停止したエレベーターを自己判断で利用するのは避け、管理会社や施設管理者などからの案内を確認しましょう。

高層マンションの場合、エレベーターが停止すると「建物は無事なのに生活が難しい」という問題が発生します。

20階、30階まで階段で水や食料を運ぶのは簡単ではありません。

マンションの地震対策では、耐震性だけでなく、被災後に生活を続けられるかという視点も必要なのです。

外出中に地震が起きても、すぐ自宅へ向かわない

東京で特に重要なのが「帰宅困難者」の問題です。

会社で地震が起きた。

家族が心配だからすぐ帰りたい。

電車が止まっているなら歩いて帰ろう。

そう考えるのは自然なことです。

しかし、大規模地震発生直後に大勢の人が一斉に移動すると、道路や歩道が混雑し、救急車や消防車などの活動を妨げる可能性があります。

さらに徒歩帰宅中に余震や火災、落下物などに遭う危険もあります。

東京都は、大規模災害時には**「むやみに移動を開始しない」**ことを呼びかけています。職場や学校など安全な場所にいる場合はその場で待機し、外出中で行き場がない場合には一時滞在施設を利用することが基本となります。 (防災東京)

東京都では、救命・救助活動が優先される発災後およそ72時間について、一斉帰宅を抑制する考え方を示しています。 (防災東京)

つまり、

「電車が止まったから歩いて帰る」

とすぐ判断するのではなく、

「今いる場所と帰宅経路のどちらが安全なのか」

を考える必要があります。

家族への連絡は「電話だけ」に頼らない

大きな地震の直後には、多くの人が家族へ電話をかけます。

そのため通信が集中し、電話がつながりにくくなることがあります。

東京都も、災害時には災害用伝言ダイヤル、災害用伝言板、SNSなどを活用するよう案内しています。 (防災東京)

普段から家族で、

「連絡が取れなかったらどうするか」

「どこへ避難するか」

「子どもを誰が迎えに行くか」

「自宅に戻れない場合はどうするか」

を決めておくことが大切です。

地震が発生してから家族全員で相談するのは難しいからです。

また、スマートフォンは情報収集、安否確認、地図、ライトなどさまざまな用途で必要になります。

地震直後に動画を長時間見続けるなどしてバッテリーを消費せず、必要な情報を確認しながら電池を温存する意識も持っておきたいところです。

SNSの「○○で火災」「○○が崩壊」をすぐ信じない

大きな災害が起きると、SNSには大量の情報が流れます。

現場からの情報が役立つこともありますが、古い写真や動画、場所を誤認した投稿、根拠のない情報が拡散される可能性もあります。

避難するかどうかを判断するときには、

自治体。

気象庁。

消防。

警察。

交通事業者。

電力・ガス会社。

など、できるだけ公式情報を確認します。

特に津波や避難に関する情報は、SNS上の投稿だけで判断するべきではありません。

災害時には「早く知ること」と同じくらい、正しい情報を得ることが重要です。

自宅に戻ったら、いきなり普段通りの生活を始めない

安全を確認して帰宅できたとしても、玄関を開けた瞬間から普段通り生活できるとは限りません。

まず外から建物を見て、明らかな傾き、大きな損傷、落下しそうな外壁などがないか確認します。

室内では、

家具が倒れていないか。

ガラスが割れていないか。

壁や柱などに大きな損傷がないか。

水漏れが起きていないか。

ガス臭などの異常がないか。

電気機器が破損していないか。

などを確認します。

異常がある場合は無理に設備を使用せず、管理会社や各ライフライン事業者などへ確認します。

特にガス臭がするなど危険を感じる場合は、火気や電気スイッチを安易に操作せず、安全な場所へ離れて関係機関の指示を仰ぐことが重要です。

また、集合住宅では自分の部屋だけでなく、共用部分の被害にも注意します。

廊下、階段、エントランスなどが安全に利用できるか確認しましょう。

壁にひびが入っていても「大丈夫」と自己判断しない

地震後の住宅で多くの人が不安になるのが、ひび割れです。

壁紙だけが割れているように見える場合もあれば、建物の構造部分に影響が出ている場合もあります。

問題なのは、一般の人が見ただけでは判断しにくいケースがあることです。

「細いひびだから大丈夫」

「マンションだから大丈夫」

「新築だから大丈夫」

とは限りません。

反対に、ひび割れがあるからといって直ちに建物全体が危険とも限りません。

そのため大きな損傷が疑われる場合には、管理会社、建物所有者、自治体、建築の専門家などによる確認が必要です。

地震後に自宅へ住み続けてもよいのかをどう判断するかについては、この連載の第6回で詳しく取り上げます。

地震直後に困るのは「建物の倒壊」だけではない

不動産と地震というと、多くの人が最初に考えるのは「この建物は倒れないか」という問題でしょう。

もちろん耐震性は重要です。

しかし、実際の生活ではそれ以外にも、

停電。

断水。

ガス停止。

通信障害。

エレベーター停止。

トイレが使えない。

スーパーやコンビニで商品が買えない。

交通機関が動かない。

といった問題が起こる可能性があります。

建物そのものが大きな被害を受けていなくても、ライフラインが止まれば生活は一変します。

だからこそ住宅の地震対策は、

「倒れない家を選ぶ」だけでは不十分です。

被災後に数日間、自宅で生活を続けられる準備があるかまで考える必要があります。

「水と食料だけ」では足りない防災対策

地震への備えというと、水と非常食を思い浮かべる人が多いでしょう。

もちろん重要です。

しかし実際には、断水するとトイレの問題が発生します。

停電すればスマートフォンを充電できなくなる可能性があります。

夜なら照明も必要です。

冬なら防寒、夏なら暑さへの対策も必要になります。

特に現代の生活ではスマートフォンが、

家族との連絡。

災害情報。

避難場所の確認。

地図。

交通情報。

決済。

などを兼ねています。

そのためモバイルバッテリーやポータブル電源などの電源確保も、防災を考えるうえで重要になっています。

水・食料だけではなく、

「電気」「トイレ」「情報」「衛生」

まで含めて準備することがポイントです。

これについては第5回の「本当に必要な防災グッズ」で詳しく紹介します。

地震が起きてから調べるのでは遅いこともある

地震対策で最も重要なのは、発生後の行動を事前に決めておくことです。

避難場所はどこか。

ハザードマップでは自宅周辺にどんなリスクがあるか。

家族との連絡方法は何か。

勤務先から自宅まで歩くとしたらどのルートか。

マンションの非常階段はどこか。

ブレーカーはどこにあるか。

防災用品はどこに置いてあるか。

こうした情報を大地震の直後に初めて調べるのは簡単ではありません。

東京都も、帰宅困難への備えとして家族との連絡手段を複数用意し、徒歩帰宅経路を事前に確認することなどを案内しています。 (防災東京)

「地震が来たら考える」のではなく、平常時に一度確認しておくこと自体が地震対策なのです。

まとめ

地震が起きたとき、最初にするべきことは「すぐ逃げる」「すぐ家に帰る」ではありません。

まず、自分の身の安全を確保することです。

揺れが収まった後は、けが人、火元、出口、周囲の被害などを確認します。避難が必要な場合には電気火災にも注意し、安全を確保できる状況であればブレーカーを落として避難することも重要です。 (防災科学技術研究所)

そして外出中なら、電車が止まったからといってすぐ徒歩で帰宅するのではなく、安全な場所にとどまることも考えます。東京都も大規模災害時には一斉帰宅を抑え、「むやみに移動を開始しない」ことを呼びかけています。 (防災東京)

自宅へ戻った後も、建物やライフラインの安全を確認するまでは普段通りの生活に戻れるとは限りません。

地震では、建物の倒壊だけでなく、火災、停電、断水、エレベーター停止、帰宅困難など、さまざまな問題が連鎖します。

だからこそ、

「地震が起きた瞬間どうするか」

だけではなく、

「その後、どこで、どう生活するか」

まで考えておくことが大切です。

そして住まいという観点では、もう一つ大きな疑問があります。

そもそも、地震に強い住宅やマンションはどう見分ければよいのでしょうか。

築年数が新しければ安心なのか。鉄筋コンクリート造なら地震に強いのか。耐震・制震・免震は何が違うのか。そして物件を借りたり購入したりするとき、どこを確認すればよいのか。

次回の第2回では、**「地震に強いマンション・住宅の見分け方」**を不動産選びの視点から詳しく解説します。

引用元・参考元

東京都防災ホームページ「地震が発生したら」
東京都防災ホームページ「帰宅困難者対策」
総務省消防庁「感震ブレーカー」

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