いきなりですが、1月31日が「生命保険の日」なのをご存知でしょうか?
1882(明治15)年1月31日の新聞紙面で、日本で初めて生命保険の保険金が支払われたことが報じられたことによって制定されました。
そこで今回は、生命保険の日直前ということもあり、多くの人に関りがある生命保険料の控除率や、生命保険と不動産投資の比較について解説していきます。
なお、生命保険については以下の動画でも解説していますので、あわせてご覧ください(約6分)
■リヴトラストが不動産投資について解説|生命保険より〇〇〇〇〇!?
生命保険料の控除
会社員や公務員の人であれば、毎年行われる年末調整の「生命保険料の控除」がお馴染みですよね?
生命保険料の控除は、支払った生命保険料に応じて一定の金額が契約者の所得から差し引かれる制度で、所得控除の1つです。
この制度によって所得税や住民税の負担軽減が可能ですが、制度には以下の2パターンがあります。
・2011年12月31日以前に結んだ契約を対象とする制度(旧制度)
・2012年1月1日以降に結んだ契約を対象とする制度(新制度)
旧制度対象になっていた契約でも、2012年以降に更新・転換・特約の中途付加などを行った場合は新制度の対象になります。
旧制度と新制度の違い
大きな違いとしては、旧制度では「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類だったのに対し、新制度では「介護医療保険料控除」が新設され最大控除額も引き上げられました。
※引用元:生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」より
旧制度と新制度では控除限度額や計算式が若干異なりますが、個人年金保険料控除の対象商品については共通です。
なお、ご自身で加入している生命保険に生命保険料控除が適用されるかや、旧制度・新制度のどちらに該当するかは、加入している生命保険会社から10月頃に送られてくる「生命保険料控除証明書」で確認できます。
給与所得控除後の金額
控除の中で私たちの生活に大きく影響するのが「給与所得控除」ですが、このような疑問をお持ちの人も多いと思います。
・いくら控除されるの?
・給与所得控除後の金額はいくら?
そもそも、「給与所得控除」とは所得税を計算する基盤の給与所得額を確定させるために、1年間の収入額(給与など)に応じて差し引かれる控除のことで、「給与所得控除後の金額」は支払金額から給与所得控除額を引いた金額のことを指します。
■給与所得控除額=支払金額-給与所得控除額
簡単に言うと、一定額を経費として年収から差し引きし納める税金を抑えくれるのが給与所得控除です。
では、いくら控除されるのか?…
給与所得控除額は給与などの収入金額によって異なります。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
~1,625,000円 | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円 | 収入金額×0.4-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円 | 収入金額×0.3+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円 | 収入金額×0.2+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円 | 収入金額×0.1+1,100,000円 |
8,500,001円~ | 1,950,000円(上限) |
引用元:国税庁「No.1410 給与所得控除」より
医療費控除の計算方法
給与所得控除の次に関わりがあるのが「医療費控除」ですが、こちらは年末調整での申請が行えません。
医療費控除を受けるためにはご自身で確定申告を行う必要があります。
医療費控除はその年1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が対象で、納税者本人だけでなく納税者と生計を共にする配偶者や親族のために支払った医療費も対象です。
■医療費控除額=(その年に払った医療費-医療費補填金額)-所得金額の5%(上限10万円)
上記の計算方法によって算出された金額が「医療費控除額」になりますが、上限額は200万円で定められています。
医療費補填金とは、医療費の補填を目的に支給される保険金・給付金(傷害費用保険金や入院費給付金など)のことを指し、他には健康保険法によって支給される療養費・出産育児一時金・家族療養費・高額療養費も該当します。
なお、医療費控除は支払った全てが対象になるわけではなく、対象外の医療費もありますので注意しましょう。
医療費控除の対象に❝なる❞主な費用 | 医療費控除の対象に❝ならない❞主な費用 |
・病気の治療に必要な費用 ・薬代 ・出産費用 ・入院費 ・検査費 ・介護費用(一部を除く) ・交通費(タクシー代は対象外) |
・健康増進を目的としたビタミン剤やサプリの代金 ・美容整形費用 ・病院まで車で行った際のガソリン代 ・駐車場代 ・一部の介護費用 |
上記以外にも医療費控除を受けられる医療費があるので、詳しくは国税庁の「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」でご確認ください。
生命保険と不動産投資の比較
近年は生命保険の代わりに不動産投資に取り組むケースも増えてきました。
実際に、「不動産投資は生命保険代わりになる」と聞いて、不動産投資を検討している人も多いのではないでしょうか?
一見すると生命保険と不動産投資では全く異なる印象ですが、実は共通点があり…
それは、❝残された家族に資産を引き継げる❞点です。
不動産投資を始めるにあたり一般的には不動産投資ローンを組みますが、その際に「団体信用生命保険」(通称:団信)という保険に加入します。
この保険は、債務者に万が一のことがあり重篤の病気にかかったり死亡してしまった場合に家族にローンを引き継がずに保険会社が肩代わりしてくれる制度で、不動産投資の場合は所有権も相続可能です。
要するに、「不動産投資による現物資産を残す」ことが「生命保険の死亡保障金」代わりになる、というわけです。
生命保険と不動産投資でシミュレーション
生命保険と不動産投資では、家族に資産を引き継げる点が共通していることがお分かりいただけたと思いますが、それぞれにどういう効果があるかイメージしづらいですよね?
では、生命保険に加入する場合と不動産投資を行う場合では、どのような違いがあるかシミュレーションしてみましょう。
生命保険 (男性・終身保険・定額型) |
不動産投資 (団体信用生命保険) |
|
契約時期 | 25歳 | 50歳未満で開始する方が多い |
払込期間 | 35年 | 最長35年 |
月々の支払い額 | 46,850円 | 0~20,000円 |
万が一の時 | ・年齢に制限なく、死亡時に保険金2,500万円が払い戻される | ・約2,500万円相当のローンが免除 ・年間約100万円の家賃収入が得られる |
※支払い期間や金額などはあくまでも例です。
生命保険(終身保険)の場合、60歳または65歳までの加入期間が終了したのちに払い戻しされ、支払った金額よりも多く受け取れます。ただし、月々の支払い額が不動産投資を行うよりも高額です。
不動産投資の場合、不動産(資産)+家賃収入が家族に残せますし、不動産投資ローンの返済期間中に万が一のことがあっても団体信用生命保険で保障され、ローン残債は実質ゼロになります。
完済後は、毎月安定した家賃収入を得たり、物件を売却して売却益を得ることも可能です。
団体信用生命保険は月々いくら?
不動産投資ローンを組む際、万が一のことがあっても「団体信用生命保険」によって家族に負担を残さずに済みますが、その団体信用生命保険の保険料がいくらなのか気になりますよね?
「ローンが実質ゼロになるぐらいだから、保険料もきっと高いはず」と思っている人も多いかもしれません。
実は、民間の金融機関で不動産投資ローンを組む場合、団体信用生命保険の保険料は金融機関が負担してくれるため契約者が負担する保険料はないのです。
また、昨今は死亡や高度障害だけでなく、様々なリスクをカバーしてくれる❝特約付き団体信用生命保険❞を選択するケースが一般的になってきました。
この特約付きの場合は、通常金利に年0.2~0.3%ほど上乗せされるケースが多く借入金額や借入期間によって負担が必要です。
なお、特約付き団体信用生命保険の内容は金融機関によって様々で、キャンペーンなどによって上乗せ分の金利も負担してくれる金融機関もあります。
生命保険代わりに不動産投資はあり?
結論としては❝あり❞ですが、❝絶対❞とは言えません。
不動産投資の場合、保有している資産価値によって左右されるケースもあります。また、不動産投資はあくまでも❝投資❞になるため「利益」を重視するのであれば適していますが、「安心」を重視するなら生命保険の方が向いているかもしれません。
個人的には併用がおすすめですが、生命保険と団体信用生命保険の内容が重複していると掛け捨て金が発生し損をしてしまう可能性もあるため、生命保険を選ぶ際はよく考える必要があります。
以下に生命保険と不動産投資(団体信用生命保険)のメリット・デメリットを簡単にまとめましたので、検討材料の一つとして参考にしてください。
生命保険 (終身保険の場合) |
不動産投資 (団体信用生命保険) |
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メリット | ・所得税や住民税を節税できる ・相続税対策ができる ・万が一の保障になる |
・所得税や住民税を節税できるケースもある ・団体信用生命保険で万が一の時に返済がゼロになる ・掛け捨て金が発生しない |
デメリット | ・保険料がかかる(割高) ・インフレのリスク |
・維持費や運用費が必要 ・保険料の所得控除がない ・家賃下落や災害などのリスクが伴う |
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不動産投資が生命保険代わりになるか?の判断基準
ご紹介してきたように、不動産投資は生命保険としての役割はあるものの、生命保険のように決まった金額が❝確実❞に残せるわけではありません。
しかも、不動産は希望価格で売却できるか?や継続して十分な家賃収入が得られるか?が確実ではありません。
そのため、不動産投資を行う場合、購入予定の物件が以下の3点すべてに当てはまるかを確認した上で取り組むようにしましょう。
1.入居者からの需要が高い
2.資産価値が高く、将来高値で売却できそう
3.長期間にわたり家賃収入が得られそう
この3点に該当するのが、東京都心部にある単身者向けのマンションです。
日本は少子化による人口減少に歯止めがかかっていないことから、不動産投資への影響が心配されていますが、都心部の単身者向けマンションは今後も需要が見込めます。
その理由は、東京都の総世帯数は2030年にピークを迎えその後は緩やかに減少していきますが、単独世帯数は2060年までに大きな変化がないと予測されているからです(東京都発表の数値による)。
東京の単独世帯(一人暮らし)は総世帯数の約半分を占めていますが、一人暮らしはマイホームを購入するよりも賃貸物件に住むことがほとんどですよね?
そのことからも、単独世帯が多い東京では今後も単身者向け賃貸マンションの需要が見込める、というわけです。
東京の人口推移については以下の動画で詳しく解説しています(約4分)。
■リヴトラストが不動産投資について解説|人口減少による不動産投資への影響は?
まとめ
今回は1月31日が「生命保険の日」ということもあり、生命保険料の控除率や計算方法、生命保険と不動産投資の比較を解説してきました。
不動産投資には生命保険の役割を担う部分はあるものの、必ずしも生命保険代わりになるわけではないのが正直なところです。
生命保険は生命保険の良さ、不動産投資には不動産投資の良さ、があるため、どちらか一択にするのではなく併用することが賢い将来設計と言えるでしょう。
皆さんも、生命保険と不動産投資の併用で安心した将来設計を考えてみてください^^