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【連載コラム:東京「陸の孤島」の住みやすさ 第5回】江戸川区・鹿骨/新堀は駅から遠くても住める?バス・自転車生活を検証

2026/09/02
連載

東京23区で住まいを探すとき、多くの人が最初に設定するのが「駅徒歩10分以内」という条件です。

しかし、その条件を外すと見えてくる住宅地があります。

今回取り上げるのは、江戸川区の鹿骨・新堀周辺です。

このエリアには鉄道駅がなく、場所によっては都営新宿線の篠崎駅や瑞江駅、JR総武線の新小岩駅・小岩駅などへバスで移動することになります。

そのため、一見すると「車がないと暮らしにくい街」に思えるかもしれません。

しかし実際には、バスと自転車を使うことで生活圏を広げることができ、駅近エリアとは違った住まいの選び方ができます。

今回は、鹿骨・新堀周辺の交通、家賃、買い物、生活利便性、水害リスクまで含めて、「駅から遠い街」の暮らしを検証します。

鹿骨・新堀には鉄道駅がない

鹿骨は1丁目から6丁目、新堀は1丁目・2丁目からなる住宅地です。

どちらも町内に鉄道駅はありません。

鹿骨周辺で利用候補になりやすいのは、

都営新宿線の篠崎駅・瑞江駅。

JR総武線の小岩駅・新小岩駅。

などです。

ただし、どの駅が最寄りになるかは住所によって異なります。

例えば江戸川区の鹿骨事務所へのアクセスでは、小岩駅から京成バス、あるいは新小岩駅から新小71系統を利用する方法が案内されています。鹿骨事務所の所管区域には鹿骨1~6丁目だけでなく、新堀1・2丁目も含まれています。

つまり鹿骨・新堀では、

「最寄り駅まで歩く」より「どの駅へバスで出るか」を考える街

といえます。

鹿骨の特徴は「複数の駅を使い分けられる」こと

駅がないことは確かにデメリットです。

しかし鹿骨周辺では、一つの鉄道駅しか選べないわけではありません。

江戸川区の施設案内を見ると、鹿骨周辺からは京成バスを使って小岩駅、新小岩駅、篠崎駅などへアクセスできることが分かります。鹿骨健康サポートセンターについても、篠崎駅から新小71、小岩駅から小76を利用する方法が案内されています。

そのため勤務地によって、

都営新宿線を使うなら篠崎方面。

JR総武線なら小岩・新小岩方面。

というように使い分けることができます。

駅徒歩住宅とは違い、

「一番近い駅」ではなく「一番便利な駅を選ぶ」

という生活スタイルです。

ただしバスの本数は必ず確認したい

バスを生活の中心にする場合、「バス停徒歩3分」という情報だけでは十分ではありません。

2026年2月には京成バス東京の江戸川営業所管内でダイヤ改正が行われ、篠崎線・鹿骨線の一部区間では運行本数の見直しも実施されています。

これは駅遠住宅を選ぶときに非常に重要です。

バス路線は鉄道と比べて、

運行本数。

系統。

経由地。

最終時刻。

などが変更されることがあります。

そのため物件を検討するときは、

「バス停があるか」

だけではなく、

朝7~8時台に何本あるか
帰宅時間帯は何本あるか
土日はどうか
最終バスは何時か

まで確認しておきたいところです。

自転車が使えると「駅遠」の印象はかなり変わる

鹿骨・新堀で暮らすなら、自転車との相性も重要です。

東京の駅遠住宅地では、

徒歩なら25分。

バスなら10分。

自転車なら10~15分。

というケースもあります。

この違いは大きいでしょう。

自転車を使えば、

駅。

スーパー。

病院。

図書館。

公園。

などの生活施設へ移動しやすくなります。

特に江戸川区のような比較的平坦な地域では、自転車を日常の交通手段として考える人も多いでしょう。

もちろん実際には、

交通量。

歩道・自転車走行環境。

交差点。

夜間の明るさ。

などを確認する必要があります。

物件の内見時には、駅から歩くだけでなく、自転車で生活する前提で周囲を見てみるのがおすすめです。

「車がないと住めない街」ではない

では鹿骨・新堀は、車がなければ暮らせないのでしょうか。

結論としては、

バスと自転車を使える人なら、必ずしも車は必須ではありません。

小岩駅、新小岩駅、篠崎駅などへのバスがあります。

自転車を使えば、さらに行動範囲を広げられます。

一方で、

子どもの送り迎え。

週末のまとめ買い。

高齢の家族との外出。

雨の日の移動。

大きな荷物の買い物。

などでは、車がある方が便利です。

そのため鹿骨・新堀は、

車必須というより「車があると暮らし方の自由度が上がる街」

と考えるのが近いでしょう。

鹿骨の家賃相場は?

駅から離れるのであれば、気になるのは家賃です。

CHINTAIが2026年8月26日時点の掲載物件から算出した鹿骨の家賃相場では、築20年以内という条件で、

1Rが6.5万円。

1Kが6.6万円。

1LDKが11.1万円。

2LDKが13.5万円。

となっています。管理費や駐車場代などは含まれていません。

もちろん、掲載されている物件数や築年数、広さによって数字は変わります。

重要なのは、

「鹿骨だから必ず安い」と考えないこと

です。

駅から遠い分、家賃を抑えられる物件もありますが、築浅・広め・設備充実となればそれなりの家賃になります。

駅近エリアとの比較では、

家賃そのものよりも、

同じ予算で何㎡・何LDKまで広げられるか

を見る方が現実的です。

駅徒歩を諦めると「広さ」を取りやすくなる

例えば東京23区で、

駅徒歩10分以内。

築浅。

2LDK。

という条件を設定すると、家賃はかなり上がりやすくなります。

そこで、

駅徒歩20分以上。

バス利用可。

まで条件を広げる。

すると鹿骨・新堀のような住宅地が候補に入ってきます。

駅まで毎日歩く生活ではなくなりますが、

広いリビング。

もう一部屋。

収納。

駐車場。

などを確保できる可能性があります。

これは子育て世帯や在宅勤務をする家庭にとって大きなポイントです。

駅までの10分を取るか、家の10㎡を取るか。

東京の住宅探しでは、こうした選択になることがあります。

鹿骨は生活施設もある

駅から遠い街で重要なのは、駅前まで行かなくても生活できるかどうかです。

鹿骨1丁目には鹿骨区民館があり、鹿骨事務所や鹿骨コミュニティ図書館も併設されています。江戸川区によると、鹿骨地区には篠崎公園や篠崎図書館などの公共施設もあります。

また鹿骨1丁目には鹿骨健康サポートセンターもあります。

つまり、

「駅がない=生活施設もない」

という地域ではありません。

駅遠住宅地では、駅前商業施設よりも、

自宅からスーパーまで何分か。

病院までどう行くか。

図書館や公園を利用しやすいか。

という「生活圏」を確認する方が重要です。

ファミリー層ほど駅距離の優先順位が変わる

単身者とファミリーでは、住宅に求める条件が違います。

単身者なら、

駅徒歩。

通勤時間。

飲食店。

コンビニ。

が重要になるかもしれません。

一方、子育て世帯では、

部屋の広さ。

学校。

公園。

スーパー。

病院。

駐車場。

なども重要です。

そのため、

「毎日駅まで25分かかるのは無理」

と思っていた人でも、バスや自転車を前提にすると選択肢が変わる場合があります。

在宅勤務が週に何日かあるなら、さらに駅距離の重要度は下がるでしょう。

鹿骨・新堀は、ライフスタイルによって評価が大きく変わる住宅地です。

ただし「水害リスク」は必ず確認したい

鹿骨・新堀を検討するとき、交通や家賃と同じくらい重要なのが水害リスクです。

江戸川区は荒川や江戸川など大河川の下流に位置しており、区によると陸域のおよそ7割が満潮時の水面より低い「ゼロメートル地帯」です。

そのため区では水害ハザードマップを公開し、洪水・高潮など複数の浸水想定を確認できるようにしています。

2025年7月には水害ハザードマップ第2版が公表され、鹿骨地区についても地区別マップが用意されています。

物件を借りる場合でも購入する場合でも、必ず住所単位で確認したいところです。

「江戸川区だから危険」と一括りにしない

水害については、

「江戸川区は危険だから住まない」

と地域全体で判断するのも、

「今まで大丈夫だったから問題ない」

と考えるのも適切ではありません。

江戸川区自身も、水害ハザードマップを使って自宅周辺の状況や避難先を事前に確認するよう案内しています。

確認したいのは、

想定される浸水深。

浸水が続く時間。

避難先。

避難経路。

マンションなら住戸階。

戸建てなら上階へ避難できるか。

といった具体的な項目です。

同じ鹿骨・新堀でも、建物によってリスクの受け止め方は変わります。

1階に住むか上階に住むかでも違う

水害リスクを考えるなら、物件の階数も重要です。

例えば同じマンションでも、

1階。

3階。

5階。

では浸水時の状況が異なる可能性があります。

ただし、

「高層階だから大丈夫」

とも限りません。

マンションの電気設備が浸水すれば、

エレベーター停止。

断水。

停電。

などが発生する可能性があります。

これまでの地震シリーズでも触れたように、災害時は「建物が倒れないか」だけでなく、

その後も生活を続けられるか

を見ることが大切です。

鹿骨・新堀で物件を見るなら「雨の日」も確認したい

駅遠住宅地では、晴れた日の内見だけでは分からないことがあります。

特に確認したいのが雨の日です。

バス停まで傘を差して歩けるか。

バスは混雑するか。

自転車が使えない日はどうするか。

駅までタクシーを使う必要があるか。

夜の道路は歩きやすいか。

こうした点は、物件広告の「バス停徒歩○分」だけでは分かりません。

駅徒歩5分なら、雨の日でも大きな問題になりにくいでしょう。

しかし駅遠住宅では、

雨の日の交通手段が、その街の住みやすさを決める

ことがあります。

鹿骨・新堀が向いている人

鹿骨・新堀と相性が良いのは、

駅徒歩より家の広さを重視する人。

バスや自転車を使える人。

在宅勤務が多い人。

車を所有している人。

子育て世帯。

住居費を抑えながら23区内に住みたい人。

などでしょう。

反対に、

毎日駅まで徒歩で行きたい。

深夜帰宅が多い。

バスを使いたくない。

自転車にも乗らない。

水害リスクをできるだけ避けたい。

という人には、別のエリアの方が合う可能性があります。

まとめ

江戸川区鹿骨・新堀周辺は、町内に鉄道駅がない「駅遠住宅地」です。

しかし、

篠崎駅
瑞江駅
小岩駅
新小岩駅

など複数の駅を、バスや自転車を使って生活圏にすることができます。鹿骨周辺では実際に小岩駅・新小岩駅・篠崎駅方面へのバスアクセスが案内されています。

そのため、

「駅がないから車必須」

と単純に考える必要はありません。

バス+自転車。

自転車+電車。

車+電車。

と、自分の生活に合わせて移動手段を組み合わせる街です。

一方で、鹿骨・新堀を選ぶなら水害リスクの確認は欠かせません。

江戸川区は2025年7月に水害ハザードマップ第2版を公表しており、鹿骨地区についても浸水想定を確認できます。

家賃や部屋の広さだけではなく、

交通+住宅費+生活施設+災害リスク

をまとめて判断することが大切です。

今回の連載では、

第1回・練馬区大泉学園町。

第2回・世田谷区深沢。

第3回・足立区鹿浜。

第4回・世田谷区宇奈根/鎌田。

第5回・江戸川区鹿骨/新堀。

と、東京23区の「駅から遠い街」を見てきました。

5つの街に共通していたのは、

「駅から遠い=住みにくい」とは限らない

ということです。

一方で、

「駅から遠い=家賃が安くてお得」とも限りません。

バス代がかかる。

車が必要になる。

通勤時間が増える。

雨の日が不便になる。

災害リスクを確認する必要がある。

こうした条件まで含めて考える必要があります。

東京の物件探しでは、「駅徒歩10分以内」という検索条件が非常に便利です。

しかし、そのチェックを一度外してみると、

同じ家賃で広い家。

静かな住宅環境。

駐車場付き物件。

公園や自然に近い暮らし。

など、それまで見えていなかった選択肢が出てくることがあります。

これからの東京の住まい探しでは、

「何分で駅に着くか」だけではなく、「自分は本当に毎日駅を使うのか」

を考えてみてもよいでしょう。

駅近を選ぶことにも価値があります。

駅遠を選ぶことにも価値があります。

大切なのは、人気やイメージだけで決めるのではなく、自分の働き方、家族構成、移動手段、予算に合った街を選ぶことです。

「駅徒歩」という条件を外したとき、東京の住まい選びは思っている以上に広がるかもしれません。

引用元・参考元

  • 江戸川区「鹿骨事務所」
  • 江戸川区「鹿骨区民館・施設概要」
  • 江戸川区「鹿骨健康サポートセンター」
  • 江戸川区「鹿骨地区の施設紹介」
  • 江戸川区「江戸川区水害ハザードマップ第2版」
  • 江戸川区「江戸川区水害ハザードマップ概要版」
  • 京成電鉄バスグループ「京成バス東京・江戸川営業所 ダイヤ改正」
  • CHINTAI「江戸川区鹿骨の家賃相場」

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