2025年に控えている5年に一度の「年金改革」。
団塊世代が後期高齢者になることで年金への不安が高まっている2025年問題を受け、今回の改革ではどのようなことが実施されるのでしょうか?
正直言って、この改正案を知っておかないと相当ヤバいです!
今回は、2025年に実施される年金改革について、改正案、どんな人に影響があるのか?、対策法、の3つを解説していきます。
2025年の年金改革による改正案4つ
2025年に実施される年金改革によって改正が検討されているのはこちらの4つです。
1.国民年金の加入期間延長
2.厚生年金の被保険者期間の延長
3.厚生年金の対象が拡大
4.厚生年金のマクロ経済スライド延長
では、1つずつ詳しく見ていきましょう。
改正案1.国民年金の加入期間延長
「国民年金」は、20~60歳の全国民が強制的に加入する公的年金制度です。
現在は40年間加入することが義務になっていますが、政府が検討している案では45年間に延長し65歳まで加入させられる方向に…
今までより5年間も長く国民年金保険料を支払う必要があり、生涯で支払う国民年金保険料が増えることになるのです。
では、どれぐらい増えてしまうのでしょうか?
令和5年度での国民年金保険料は月額16,520円で、20~60歳の40年間で支払う総額は単純計算で7,929,600円…約800万円ととても高額です。
65歳から受け取れる年金の金額は1年間で795,000円のため、約10年で元が取れる計算になります。要するに、75歳まで生きれば40年間で支払った保険料の元が取れることになります。
ちなみに、2025年の年金改革で5年延長になった場合、45年間の総支払い額は約900万円(8,920,800円=16,520円×12ヶ月×45年)となり、実に100万円の負担増になるのです。
そうなった時、何歳まで生きれば支払った保険料約900万円の元が取れるのでしょうか?
単純計算で約900万円÷約80万円=約11.25年となるため、76.2歳で元が取れる計算になります。
今後は少子高齢化も加速していきます。それによって年金の財源が減っていくのを防ぐため、その措置として5年間の延長により約100万円の負担が増えるとなると、家計に与える影響は大きいと言わざるを得ません。
改正案2.厚生年金の被保険者期間の延長
2つ目の改正案は、厚生年金の被保険者期間の延長です。
この改正案を説明する前に、年金の基本について簡単に解説します。
年金の加入者を「被保険者」と呼びますが、働き方によって以下の3種類に分かれます。
・第1号被保険者:自営業、フリーランスなど
・第2号被保険者:会社員、公務員
・第3号被保険者:扶養内パート、専業主婦など
第1号・第3号被保険者は国民年金に加入し、第2号被保険者は国民年金と厚生年金に加入することになります。
そのため、会社員の場合は国民年金と厚生年金の2つに加入しているため、65歳以降は2つの年金を受け取れるというわけです。
厚生年金の現在の加入期間は70歳までですが、2025年の年金改革による改正案では納付期間が5年延長し75歳まで加入が必要になるかもしれません。
改正によって加入期間が75歳までになったとしたら、70~75歳までの5年間も厚生年金保険料を支払うことになるというわけです。
要するに、毎月の給料から天引きされる期間も長くなるため、単純に手取り金額が減る可能性が高まります。
しかし、70歳以降も働く人にとっては年金を増やすチャンスが拡大するため、メリットがある改正案とも言えるでしょう。
改正案3.厚生年金の対象拡大
改正案の3つ目は、厚生年金の対象拡大です。
対象拡大は“良い意味”ではなく「厚生年金を支払う対象者の範囲を拡大」するという意味で、扶養内パートや専業主婦などの第3号被保険者も厚生年金に加入することになるかもしれません。
被保険者は3種類に分かれていますが、支払う保険料には違いがあります。
第3号被保険者である扶養内パートで働く人や専業主婦などは保険料の負担はありませんが、受け取れる年金額は自営業やフリーランスなどの第1号被保険者と同額です。
これだと不公平感があるため、「第3号被保険者も厚生年金に加入させ保険料を納付してもらおう」という可能性が高くなります。
現在、厚生年金への加入が必要なのは以下の条件を満たしている場合です。
・勤務先の従業員数が101人以上
・週の労働時間が20時間以上
・月収88,000円以上(年収106万円以上)
・雇用期間が2ヶ月以上を見込んでいる
・学生ではない
しかし、勤務先の従業員数に関しては、2024年10月から51人以上に範囲が広がることが既に決定しています。
改正案4.厚生年金のマクロ経済スライド延長
4つ目はマクロ経済スライドの延長です。
そもそも「マクロ経済スライドって何?」といった感じですが、簡単に言うと、賃金や物価の上昇より実際の給付額を抑え込むという仕組みです。
年金は物価の変動によって支給額が変わる仕組みになっているため、現役世代の賃金が増えれば引退した世代の年金受給額も増えます。
物価が上がれば引退した世代の年金受給額も増えるようになっていますが、どこまでも増やせるわけではありません。
当然ながら、上げすぎると年金制度の破綻にも繋がってしまいます。
2025年までは厚生年金が実質的に目減りするという見通しを立てていましたが、政府が検討している案ではこのマクロ経済スライドを2033年まで延長するということです。
つまり、年金の目減り期間が実質8年延長するということになります。
2025年の年金改革によって影響を受ける人&対策法
2025年の年金改革による改正案を4つ前述しましたが、すべてが決定になったわけではありません。
2024年に最終決定し、2025年に国会で法案が提出される予定です。
1.国民年金の加入期間延長
2.厚生年金の被保険者期間の延長
3.厚生年金の適応対象が拡大
4.厚生年金のマクロ経済スライド延長
2025年の年金改革による改正案は上記の4つでした。
では、どのような人に影響を及ぼすのか?という点について、改正案ごとに見ていきましょう。
「国民年金の加入期間延長」で影響を受ける人
国民年金の加入期間延長によって影響を受けるのは以下に該当する人です。
・60~65歳までの自営業の人
・60歳で退職した元会社員
近年は60歳で定年退職した後、65歳まで再雇用契約を結び働く人が増えています。
※引用元:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
内閣府が発表している「令和4年版高齢社会白書」の2011年と2021年で比較してみても、60~64歳の就業率が57.1%から71.5%に上昇していることがわかります。
しかも、どの年代においても就業率は上昇しているのです。
日本の平均寿命は年々延びていることもあり、今や60~64歳もほぼ現役世代と言えます。
よって、自営業の人や60歳以降は悠々自適に暮らしたいと思っていた人は負担が増えるという点を頭に入れておきましょう。
■【国民年金の加入期間延長で影響を受ける人】への対策法
国民年金の加入期間延長で影響を受ける人への対策法は、主に以下の3つです。
1)働き続ける
2)資金繰りをしておく
3)保険料の免除制度を活用する
まずは「働き続ける」というのが一番シンプルな方法です。
“生涯現役”を目指しているなら、そもそも老後問題を心配する必要がなくなります。特に日本は平均寿命が年々延びているため、高齢者になっても仕事ができる人は働き続けることが何よりもの対策法です。
2つ目は「資金繰りをしておく」ことです。
60~65歳の間で100万円の負担が増えますが、その後11年ちょっとで取り返せることがわかりました。先に100万円を用意しておければ保険料の納付分は資産運用として捉えることができます。
60歳で現役を退いた後は悠々自適に暮らしたいと考えているのであれば、現役中に預貯金を増やしておくことでこの問題は解決します。
60~65歳の間に納付すべき100万円を用意できない人は、3つ目の対策法である「保険料の免除制度を活用する」と良いでしょう。
国民年金には、所得が少ない人は所得水準に従い保険料を免除してもらえる仕組みがあります。免除額は「全額」「4分の3」「2分の1」「4分の1」の4パターンです。
全額免除された場合でも、全額納付した場合の2分の1は支給されます。全く納付していなくても本来の2分の1が支給されるため、万が一の時でもこういった制度が利用できると知っておくだけでも安心ですね。
「厚生年金の被保険者期間の延長」で影響を受ける人
厚生年金の被保険者期間の延長で影響を受けるのは、70歳以降も厚生年金に加入して働く人です。
年金を納める期間が長くなれば受給額が増えるといったメリットはありますが、老後何歳まで生きられるかはわからないため支払った分を必ずしも受け取れるという保証がないのがデメリットになります。
例えば、70~75歳まで月30万円のお給料で厚生年金に加入し在職老齢年金を受け取り続けた場合、厚生年金保険料の自己負担額は月額約2.7万円で年間にすると約32万円。
それに対し、支払った保険料に応じて71歳からの年金でプラスされるのは年間で約2万円です。
この場合、支払った分の元を取るには75歳から16年間年金を受け取る必要があるため…
つまり、91歳まで生きなければいけないというわけです。
■【厚生年金の被保険者期間の延長で影響を受ける人】への対策法
厚生年金の被保険者期間の延長で影響を受ける人への対策法としてですが、70歳以降も働いて収入をいくら得るかによっても考え方は変わってきます。
そのため、70歳以降の働き方に応じて支払う年金額をシミュレーションしておくことが大事です。
「厚生年金の適応対象拡大」で影響を受ける人
厚生年金の適応対象が拡大することで影響を受ける人は、配偶者の扶養に入り労働時間や年収を調整している第3号被保険者の「扶養内パート」です。
2025年の年金改革によって第3号被保険者も厚生年金への加入が必須となれば、これまで支払わなくて済んでいた厚生年金を支払う必要が出てきます。
厚生年金への加入が必須になることで給料から天引きされるため、手取り額が減ってしまうというデメリットが発生します。
一方、厚生年金に加入することで将来もらえる年金が国民年金と厚生年金の2種類になるため、受け取れる金額が増えるというメリットもあるのです。
しかも、厚生年金には「障害厚生年金」や「遺族厚生年金」などがあり、国民年金よりも好待遇というメリットもあるため、そういった面で見ても安心感は大きくなるでしょう。
■【厚生年金の適応対象拡大で影響を受ける人】への対策法
厚生年金の適応対象拡大で影響を受ける人への対策法としては、パートで働く場合でも厚生年金への加入を前提にして、収入と支出のバランスを見直しておくことです。
・扶養内パートは今後どう変化していく?
・年収の壁が崩壊するとどうなるの?
など、常にアンテナを張ってニュースや新聞をチェックしておくことも大事になってきます。
「厚生年金のマクロ経済スライド延長」で影響を受ける人
最後は、厚生年金のマクロ経済スライド延長によって影響を受ける人ですが、それはすでに老齢厚生年金を受け取っている人です。
政府の試算によると、単身で現役時代の年収が1,000万円以上、または、夫婦での年収が2,000万円以上を超えている高所得者(高所得世帯)は、老齢厚生年金が目減りする影響が大きいと言われています。
ただ、この厚生年金のマクロ経済スライドが延長することによって、国民年金が守られるという莫大なメリットがあるのです。
その理由は、2019年に実施された調査によって、国民年金のマクロ経済スライドは2047年まで実質目減りが続くという見通しがされているからです。
しかし、法改正によって国民年金と厚生年金のマクロ経済スライドの調整期間をどちらも2033年にした場合、老齢厚生年金が目減りする期間は長くなります。一方で、老齢基礎年金の価値が目減りする期間は早まります。
実際、国民年金の目減り期間が14年間短縮することになり、全員が受け取る国民年金が2025年の年金改革によって守られることになるのです。
■【厚生年金のマクロ経済スライド延長で影響を受ける人】への対策法
厚生年金のマクロ経済スライド延長で影響を受ける人への対策法は、自分が受け取れる年金額を知ることです。
実際、将来自分がいくら年金を受け取れるかご存知でしょうか?
厚生年金のマクロ経済スライドが延長された場合、自分の年金はいくら減るのか?、その場合、老後の生活水準はどう変化するのか?など、イメージしておくことが重要になります。
ご自身の年金額がわからないという人は、日本年金機構の公式サイトに掲載されている「ねんきんネット」で最新の年金記録が確認できたり、将来の年金額も試算できますのでチェックしてみてください。
2025年の年金改革に不動産投資はおすすめ
ここまでは2025年の年金改革による改正案や対策法を解説してきましたが、いつまで元気で働けるかわかりませんし、どこまで長生きできて支払った保険料全額分を受け取れるかは定かではありませんよね?
そんな不安を抱いている人には「不動産投資」がおすすめです。
投資には株式やFXなど様々な種類がありますが、中でも不動産投資は長期的かつ安定して利益を得られる投資方法です。
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まとめ
今回は、2025年に実施される年金改革について、改正案や影響を受ける人、そして対策法を解説してきました。
年金改革によって「私にはどんな影響があるの?」と不安な人もいると思いますが、この記事で、どんな人に影響があるか?や対策法は何か?がお分かりいただけたことでしょう。
年金問題は私たちの老後に直結しますので、今から行える対策があれば先手を打っておくことが大きなアドバンテージになります。
「2025年の年金改革とは?」という疑問を抱いている人にとって、今回ご紹介した内容が参考になったら嬉しいです。