【地震と不動産 第2回】大地震が起きたらまず何をする?自宅・マンションで地震後に確認したいこと
大きな地震が発生した直後、私たちは冷静に判断できるとは限りません。
「すぐ外へ逃げた方がいいのか」「家の中にいても大丈夫なのか」「ブレーカーは落とすべきなのか」「マンションのエレベーターは使えるのか」など、多くの判断を短時間で迫られます。
地震発生後に最も重要なのは人命です。
そして身の安全を確保したあとには、「その住宅にとどまってよいのか」を確認する必要があります。
今回は、大地震発生直後から自宅の安全確認まで、不動産・住宅という視点から整理します。
地震発生直後は家よりも「自分の安全」が最優先
強い揺れを感じたら、最初に優先すべきなのは自分と家族の安全です。
物が落下してくる場所や、家具が倒れてくる場所から離れ、頭部を守ります。
揺れている最中に無理に外へ飛び出すと、瓦やガラス、看板などの落下物によってけがをする可能性があります。
まず身を守り、揺れが収まってから周囲の状況を確認することが基本です。
海岸や河口付近など津波の危険がある地域では、津波警報・注意報などの情報を確認し、必要な場合には直ちに避難します。
揺れが収まったら出口を確保する
強い揺れによって建物が変形すると、玄関ドアや窓が開きにくくなる場合があります。
そのため揺れが収まったら、可能な範囲で玄関や窓など避難経路を確保します。
特にマンションでは、ドア枠が変形すると玄関ドアが開かなくなるケースがあります。
ただし、割れたガラスや家具が散乱している場合には無理に移動しないことも大切です。
室内を歩くときには靴やスリッパを履き、足を保護しましょう。
火災やガス漏れを確認する
地震後には火災にも注意が必要です。
料理中だった場合には、揺れが収まって安全を確認してから火元を確認します。
ガスの臭いがする場合には、火を使ったり電気のスイッチを操作したりせず、安全な場所へ避難したうえでガス会社などへ連絡します。
電気設備が損傷した住宅では、停電から復旧した際に火災が発生する可能性もあります。
こうした地震時の電気火災対策として、一定以上の揺れを感知して電気を遮断する感震ブレーカーもあります。内閣府も普及促進を進めています。
「家が立っている=安全」とは限らない
大地震のあと、建物が倒壊していなければ「このまま住んでも大丈夫」と思ってしまうかもしれません。
しかし建物には、外から見ただけでは分からない損傷が発生することがあります。
例えば、
・柱や梁の損傷
・基礎のひび割れ
・建物の傾き
・外壁の剥離
・屋根瓦のずれ
・給排水管の損傷
などです。
明らかに建物が傾いている、大きなひび割れがある、柱や壁が変形しているなどの場合には、建物へ入り続けることが危険なケースもあります。
自己判断だけで済ませず、自治体や専門家による確認を待つことが重要です。
マンションでは共用部分も確認する
マンションでは自分の部屋が無事でも、建物全体に問題が起きている可能性があります。
例えば、
・エレベーター停止
・階段や廊下の損傷
・給水設備の故障
・排水管の損傷
・受水槽の被害
・外壁の剥落
・機械式駐車場の故障
などです。
特に排水管が損傷している場合、上階で水を流したことによって下階に漏水する可能性もあります。
大きな地震のあとは、管理会社や管理組合からの案内を確認し、給排水設備の安全が確認されるまでトイレや浴室の使用を控えるよう指示される場合があります。
マンションでは「自分の部屋だけ」を見て判断しないことが重要です。
エレベーターは自己判断で使用しない
地震後にエレベーターが動いていたとしても、自己判断ですぐ利用するのは避けた方がよいでしょう。
余震や設備異常によって停止し、閉じ込められる可能性があります。
高層マンションでは階段移動が大変ですが、設備の安全が確認されるまでエレベーターを使わない方が安全な場合があります。
こうした点からも、高層住宅では普段から水や食料、携帯トイレなどを室内に備えておくことが重要です。
避難所へ行くべきか、自宅にいるべきか
大きな地震が起きたら全員が避難所へ行く、というわけではありません。
自宅に倒壊や火災などの危険がなく、周辺も安全であれば、自宅で生活を続ける「在宅避難」が可能なケースもあります。
一方、
・住宅が大きく損傷している
・余震による倒壊のおそれがある
・火災が近づいている
・津波の危険がある
・土砂災害のおそれがある
場合には避難が必要です。
自治体から避難指示などが出ている場合には、その情報に従います。
被害状況は「片付ける前に写真を撮る」
地震後の住宅で非常に重要なのが、被害状況の記録です。
部屋が散乱していれば、すぐ片付けたくなるでしょう。
しかし安全が確保できるのであれば、修理や片付けを始める前に建物や家財の被害を写真や動画で残しておくことが大切です。
例えば、
・建物全体
・外壁
・基礎
・屋根
・室内の壁や床
・壊れた家具や家電
などを撮影します。
後日、罹災証明や保険手続きをする際に役立つ可能性があります。
建物に損傷がある場合は勝手に大規模修理しない
早く元の生活に戻りたいからといって、地震直後に大きな修理工事を進めてしまうのは注意が必要です。
保険会社による確認や自治体による被害認定が必要になる場合があるためです。
まず被害状況を記録し、保険会社や自治体など必要な窓口へ確認します。
また、大規模災害後には住宅修理を巡るトラブルが発生することもあります。
突然訪問してきた業者から、
「今すぐ直さないと危険」
「保険で無料になる」
などと急かされても、その場で高額な契約を結ばず、複数の情報を確認することが大切です。
賃貸住宅の場合は大家・管理会社へ連絡する
賃貸住宅で建物や設備に被害が出た場合、入居者が勝手に修理するのではなく、まず大家や管理会社へ連絡します。
例えば、
・壁に大きなひび割れが入った
・ドアが開かない
・水漏れしている
・給湯器が壊れた
・窓ガラスが割れた
などです。
被害状況を写真に残し、いつ発生したのかも分かるようにしておきましょう。
また、自分の家具や家電が壊れた場合は、加入している家財保険・地震保険などの契約内容を確認します。
SNSだけでなく公的情報を確認する
大規模地震の直後には、SNSで大量の情報が流れます。
現地の状況を知るうえで役立つこともありますが、過去の災害映像が現在のものとして拡散されたり、誤った避難情報が共有されたりする可能性があります。
地震、津波、避難など命に関わる情報は、
・気象庁
・自治体
・消防
・警察
・政府
などの公式情報を確認することが重要です。
地震直後の住宅チェックリスト
大きな揺れがおさまったあとは、安全を確保したうえで次のような項目を確認します。
・家族の安否
・津波や土砂災害情報
・火災の有無
・ガス漏れ
・建物の傾き
・基礎や壁の大きなひび割れ
・屋根や外壁の落下物
・水道、ガス、電気
・マンション共用部分
・避難経路
・管理会社や自治体からの情報
・住宅被害の写真撮影
ただし、危険を感じた場合には確認作業より避難を優先してください。
まとめ
大地震が起きた直後に最優先するのは、不動産や家財ではなく人命です。
そのうえで揺れが収まったあとには、火災、ガス漏れ、建物の損傷、避難経路などを確認します。
特に注意したいのは、「建物が立っているから安全」と判断しないことです。
地震による損傷は、外から分かりにくい場合があります。
マンションでは自室だけでなく共用部分や給排水設備、高層住宅ではエレベーター停止なども考える必要があります。
また住宅に被害があった場合には、片付けや修理を始める前に写真などで記録しておくことが重要です。
災害時は普段なら簡単にできる判断も難しくなります。
だからこそ、「地震が起きたら何をするか」を平常時から家族で確認しておくことが、住宅の防災対策につながります。


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