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大量の土地が出回る!? 2022年「生産緑地問題」とは?

2020/06/19
2023/03/10
不動産投資コラム

大量の土地が出回る!? 2022年「生産緑地問題」で不動産市場はどうなるのか

前回は武蔵小金井の再開発についてご紹介させていただきましたが、予告にもありました「生産緑地問題」について今回は詳しくご紹介していきます。

生産緑地法とは?

生産緑地法をひと言で簡単に言うと「生産緑地の指定を受けて今後30年間営農を続けるなら、引き続き農地課税でいいよ」という仕組みのことです。
この制度が出来た背景には、1954年からの高度経済成長期「ベビーブーム」という時代に突入したことにあります。

人口増による大都市部の深刻な住宅不足を解消するための政策として、都市部の農地が積極的に非農地化されました。
一方で、農地や緑地が持つ環境保全や地盤保持・保水などの働きによる都市災害の防止の機能を維持するため、都市部の農地・緑地も守らなければいけない中、1974年に「生産緑地法」が制定され、農業を続けたい農家にとって税負担がその妨げにならないよう、一般農地並みの課税に抑える政策がとられたのです。

さらに、大都市圏の地価高騰と住宅問題の激化の中、1992年に生産緑地法の改正が行われ、市街化区域内の農地は、農地として保全する「生産緑地」と宅地などに転用される「宅地化農地」に明確に分けられることになりました。

この改正により、大都市圏の農地も特定の条件を満たし、自治体による「生産緑地の指定」を受けた場合は、税制優遇措置が取られることになったのです。

【生産緑地法の主な内容】
・面積が500㎡以上であること
・農林漁業を営むために必要な場合に限り、建築物の新築、改築、増築等が認められる
・生産緑地としての告示日から30年が経過した場合は、自治体に「買取り」の申し出ができる
・主たる従事者が死亡などで従事できなくなった場合は同様に「買取り」の申し出ができる
・自治体が買取らない場合は他の農家などにあっせんする
・買取りを申し出た日から3ヶ月以内に所有権移転されなかった場合は制限が解除される

生産緑地法の「2022年問題」はどんな問題?

1992年の生産緑地の指定から30年が経過し、その優遇と制約の期限が切れる(生産緑地の指定が解除される)のが2022年ということになります。
言い換えれば、理論上2022年以降は、税制優遇を受けられない代わりに営農義務が無くなり、自由に農地を宅地に転用することが可能になるということです。

この30年という期限を迎えたとき、農地所有者が病気・高齢などを理由に農業に従事できなくなった、又は死亡などの場合、所有者は市区町村の農業委員会に土地の買い取り申し出を行うことができます。

この買取り申し出に対し、自治体は、特別の事情がない限り時価で買い取るものとされていますが、市区町村が買い取らない場合や生産緑地として他に買う者がいない場合には、この生産緑地指定が解除されます。ただ実際のところは、自治体による買い取りの実績はほとんど見られないのが実情です。

生産緑地の指定が解除され、固定資産税が従来の100倍以上になると、その税負担に耐え切れず、農地所有者は土地を売却することを検討せざるを得なくなり、そこにハウスメーカーやマンションデベロッパーなどが買主として登場することは容易に想像できます。

その結果、大量の土地が出回り、そこに新しい物件が多く建てられることによって、地価の下落や空き家になるリスクが出てくる可能性があります。

実は「生産緑地法」は2017年に改正されていた

政府は2022年問題に対して、2017年に生産緑地法を改正し「特定生産緑地指定制度」を制定しました。

生産緑地に指定されている農地が新たに「特定生産緑地」に指定されると、固定資産税は引き続き農地としての評価が継続され、また相続税納税猶予制度の適用も継続されます(その分、宅地に転用できない行為制限も10年間延長されます)。

また、10年経過後に再度指定を受ければ、さらに10年間優遇措置が延長されます。
(参照:宮田総合法律事務所、「生産緑地の2022年問題」を分かりやすく解説・検証する【2020年版】)

2022年以降農地は戸建やマンションになるのか

今回は、まだ世間ではあまり認知されていない生産緑地について解説しましたが、2022年には30年の期限が切れ、今までは農地だった場所に戸建てやマンション、アパートが建設される可能性があります。

そのタイミングを目前に、この2022年問題が取り上げられていますが、国としても法改正などで緩和されている部分もあります。

但し、生産緑地地区が指定されている場所というのは最寄り駅から離れた郊外にあることが多いため、今後再開発が進み都市として活発化していくのか、それとも変わらない姿のまま2022年を迎えるのかは見極めがかなり重要になってくるでしょう。

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