こんにちは、株式会社リヴトラストの中山ティーチャーです。
今日は「生産緑地問題」についてお話します。
生産緑地法とは?
「生産緑地法」は、“農業を続ける前提であれば農地用の税金だけを納めれば良い”という制度です。1974年にこの制度が出来てから、住宅分の税金を払わなくても良くなったため、農家は農業を続けやすくなりました。
その18年後となる1992年、生産緑地法が改正されました。
改正内容は、土地を宅地化農地と生産緑地に分け、宅地化農地は宅地用に転用し生産緑地農地として保全するというものです。具体的には、今後も農業を続けるならこの先30年間、引き続き農地課税を納めれば良いという制度に改正されたのです。
都市計画区域:住みやすい街にしていく必要がある地域
私たちが住んでいる地域は「都市計画区域」と定められています。
都市計画地域は、市街地を中心とした周囲を開発して市民が住みやすい街にしていくことに決められた区域を指し、その区域の中に「市街化区域」というものがあります。
市街化区域というのは、すでに市街地を形成している区域でおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域、のことです。
この区域内に農地がある場合、農地分の税金に加えて住宅分の税負担が課せられます。
なぜこういった区域制度を作ったのかというと、高度経済成長期やベビーブームで住みたくても家がないという状況を改善するためです。
本来なら農地分の税金で良いものが、住宅を持っているのと同等とみなされ、約100倍相当の税金を(固定資産税や都市計画税)払わなければならない、という状況が生まれます。
そうなると、余程のお金持ちでないと税金を払えないため、農地は売りに出されます。その売った後の土地に住宅を建てる、というわけです。
しかし、どんどん家が建って街が発展していくと、今度は街から緑がなくなっていくという事態に陥りました。緑は災害の防止に役立ち『やっぱり農地が必要だ』ということになり、制定されたのが「生産緑地法」なのです。
生産緑地の「2022年問題」とは?
最近、この生産緑地が“2022年”という年号と共によく取り上げられています。これは、農地利用を守る生産緑地法の“向こう30年間”の期限が2022年だからです。
これまで農地としてしか利用できなかった土地にも住宅が建てられるようになるため、住宅の数がどんどん増えていくようになります。
しかし、その仕組みによって、空き家が増える可能性や人口に対して住宅の供給過多になる可能性が生まれるのではないか?、と言われています。
そのことを受けて、日本政府は以下の3点が実現できるように2017年に生産緑地法を再改正し、この問題に先手を打ちました。
1.期間を10年間延長する
2.農地面積の条件を500㎡→300㎡へ引き下げる:農地をより持ち続け易くなる
3.建物の規制緩和:畑で栽培した野菜を料理・提供する喫茶店、野菜を販売する販売所など、農地に建築可能な建物を増やす
上記の3点によって、2022年になったら建物の数が爆発的に増える、いきなり人口が分散する、という問題が起きにくくなりました。
いかがでしたか?
日本は農業に支えられている国と言っても過言ではありません。
・日本の農業を守るため
・農業を守りやすくするため
・農業を続けやすくするため
法の改正や政府の取り組みがこれから先も為されることを期待したいですね。
なお、「生産緑地法」については以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。
>『大量の土地が出回る!? 2022年「生産緑地問題」とは?』
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