工場であらかじめ部材を生産してから現場で組み立てるプレハブ住宅の供給動向において、構造的な変化が明確になってきました。一般社団法人プレハブ建築協会がまとめた最新の完工実績調査によると、2025年度のプレハブ住宅完工総数は前年度比で1.9%増加し、10万5111戸と2年ぶりのプラスを記録しました。
今回の増加を支えているのは、アパートやマンションなどの共同建て住宅です。長く市場を支えてきた注文住宅などを含む一戸建て住宅が減少傾向を続ける一方で、賃貸住宅を中心とした共同建ての需要が拡大し、プレハブ住宅全体の供給量を押し上げる結果となりました。
新設住宅着工全体に占めるプレハブ住宅の割合も上昇しており、住宅供給のあり方や大手ハウスメーカーの事業戦略の変化を読み解くうえで、見逃せない指標となっています。
この記事のポイント
- 2025年度のプレハブ住宅完工数は前年度比1.9%増の10万5111戸と2年ぶりにプラスへ転じました。
- 新設住宅着工全体に占めるプレハブ比率は14.8%に上昇しています。
- 一戸建ては建築費高騰などの影響で7.5%減の3万1543戸と4年連続の減少になりました。
- 賃貸を含む共同建ては6.6%増の7万3568戸となり、全体の完工数を力強く牽引しました。
- 大手ハウスメーカーの事業軸が戸建て実需から賃貸住宅やストック活用へシフトしている状況が示されています。
ニュースの概要と背景
プレハブ建築協会による最新の調査結果では、2025年度のプレハブ住宅の完工戸数が10万5111戸となり、前年度と比べて1.9%の増加を示しました。また、国全体の住宅着工全体のなかでプレハブ工法が占める割合も14.8%に達し、シェアが拡大しています。
しかし、その内訳を詳しく見ると、住宅のタイプによって明暗が大きく分かれています。一戸建て住宅の完工戸数は前年度比7.5%減の3万1543戸にとどまり、これで4年連続のマイナスとなりました。背景には建築費の高騰などがあり、個人が新築の一戸建てを取得するハードルが高まっている実情がうかがえます。
その一方で、一戸建ての落ち込みを補って余りある伸びを見せたのが共同建て住宅です。賃貸住宅を含む共同建ての完工戸数は前年度比6.6%増の7万3568戸と堅調に推移しました。全体の完工数のうち7割近くを共同建てが占める形となり、市場の牽引役となっています。
住宅業界では、部材の規格化や工場生産により工期短縮や品質安定を図るプレハブ住宅の強みを活かしつつ、需要が後退する持ち家から、底堅い需要が見込める賃貸住宅へのシフトが鮮明に表れた調査結果といえます。
不動産市場・投資家への影響
今回の調査結果は、住宅供給の担い手である大手ハウスメーカーの事業方針が、従来の戸建て実需向けから賃貸住宅やストック活用へ大きく舵を切っている流れを裏付けています。建築コストが上昇を続ける環境下において、個人のマイホーム取得意欲が慎重になる一方、資産運用や相続対策としての賃貸住宅需要が供給を支えている構図です。
賃貸経営や不動産投資を検討する立場からは、新築の賃貸共同住宅の供給が増加している点に留意が必要です。プレハブ工法による高効率な共同住宅が市場に供給され続けることで、地域によっては賃貸物件の供給量が増加し、入居者獲得に向けた競争環境が変化する可能性があります。
また、戸建て需要の減退と賃貸共同住宅の伸長という傾向は、人々の住まいに対する選択肢の変化を反映している側面もあります。住居費の負担感が高まるなかで、持ち家を持たずに賃貸を選び続ける層が一定数存在していることが、共同建て賃貸の需要を下支えしていると考えられます。
投資家や不動産オーナーとしては、単に供給戸数の増減だけを見るのではなく、大手ハウスメーカーがどの分野に注力しているのか、それによって自身が関わるエリアの賃貸需要や競合物件の動向にどのような変化が生じているのかを慎重に見極める姿勢が求められます。





