建設業界における各種資材の価格高止まり傾向が依然として続いており、新築建物の供給環境や調達計画に影響を与えています。東日本建設業保証、西日本建設業保証、北海道建設業信用保証の建設業保証会社3社が公表した「2026年度第2回建設業景況調査」によると、足元でも資材関連の調達コストが極めて高い水準にとどまっている実態が明らかになりました。
建設資材の価格水準は、新築マンションや戸建て住宅、商業ビルといったあらゆる建築物の供給コストを直接左右する極めて重要な要素です。直近の調査結果では、価格の上昇ピッチそのものは前期と比較してやや落ち着きを見せているものの、水準そのものは引き下げられておらず、高値圏での推移が継続している状況が浮き彫りとなっています。
こうした資材価格の動向は、建設業者だけでなく不動産開発を手掛けるデベロッパーの採算性や、将来的な不動産の販売価格にも直結します。人手不足などの現場課題とも密接に連動しているため、不動産投資家や業界実務者は今後の推移と調達動向を慎重に見極めていく必要があります。
この記事のポイント
- 建設業保証3社の景況調査で、2026年7〜9月期の資材価格BSIは36.0と高水準を維持しました。
- 前期と比べて上昇の勢いはやや鈍化したものの、資材価格の高止まり傾向そのものは継続しています。
- 生コンやセメント、アスファルト合材、塩ビ管などの基礎的な資材で値上がりが指摘されています。
- 人手不足も重なり、建築や開発コストの先高感がデベロッパーの採算や新築価格に影響する可能性があります。
ニュースの概要と背景
今回の景況調査結果によると、2026年度7〜9月期における建設資材価格BSIは36.0を記録しました。BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス)とは、企業の景況感や事業環境に対する判断を数値化した景気指標であり、ここでは価格が「上昇した」と回答した企業の割合から「下降した」と回答した企業の割合を差し引いて算出されます。
プラス幅が大きいほど価格上昇を実感している企業が多いことを意味しており、今回の36.0という数値は現場での負担感が依然として極めて強いことを如実に物語っています。
前期の調査データと比較すると、価格上昇の勢いやペース自体はやや鈍化の兆しを見せているものの、マイナスへの転換ではなく依然として大幅なプラス水準を維持しています。つまり、資材価格が値下がりへと転じたわけではなく、過去から積み上がってきた高値水準のまま膠着している「高止まり」の状態が続いている点に留意しなければなりません。
個別の品目動向に目を向けると、構造物や建物の基礎を形成する生コンクリートやセメントをはじめ、道路舗装や造成工事に不可欠なアスファルト合材、さらには建物内外の給排水設備などに幅広く活用される塩ビ管といった重要資材で値上がりが指摘されています。これらはあらゆる工事の初期段階から施工全体を通じて必要不可欠な基礎資材であるため、一部の特定工程にとどまらず工事全体の原価を押し上げる直接的な要因となります。
さらに現在の建設現場では、資材そのものの価格上昇に加えて、慢性的な人手不足という構造的な課題が同時に進行しています。現場の労務費や人件費の負担が増加する中で基礎資材の調達費用も高止まりしているため、建築や開発に関わるトータルコストの先高感が強く裏付けられる形となっています。
不動産市場・投資家への影響
建設資材が高水準のまま推移し、建築・開発コストの先高感が続いていることは、不動産市場全体や開発事業者の事業環境に直接的な影響を及ぼします。工事請負契約における建設コストが増大すれば、プロジェクトを推進するデベロッパーにとっては想定以上の支出となり、開発事業全体の採算性が圧迫されるリスクが生じます。
デベロッパーが採算を維持しようとする場合、上昇した建築コストは新築マンションやオフィスビル、商業施設などの最終的な販売価格や分譲価格へと転嫁される流れが生じやすくなります。新築不動産の供給価格が高値水準で推移する背景には、単なる需要動向だけでなく、こうした基礎資材や人件費の高止まりに伴う原価の上昇が強く関与していることを理解しておく必要があります。
不動産投資家や資産運用を担う実務者にとっても、建築コストの動向は将来の利回りを左右する見逃せない指標です。新築案件の取得価格や新規開発プロジェクトの費用が押し上げられると、賃料設定や収益計画に慎重な検証が求められるようになり、投資判断における採算ラインの精査がこれまで以上に厳しくなります。
また、新築物件の取得費用が高止まりすることで、市場では既存ストックの有効活用や割安感のある中古物件への需要シフト、リノベーション需要の拡大といった波及効果が生じる可能性も視野に入ります。今後の資材調達動向や建設業保証会社が四半期ごとにまとめる景況調査などの客観的な公表データを継続して注視し、コスト構造の変化が不動産市場へどのような影響をもたらすか確認し続けることが肝要です。





