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減価償却はなぜ不動産投資で重要なのか|減価償却の仕組みやメリットを学ぶ

2022/05/19
2023/03/17
不動産投資コラム

不動産投資において、確定申告の際に必ず目にする「減価償却(げんかしょうきゃく)」。

減価償却は不動産投資の経費として計上することができ、その結果、節税効果を生む重要な役割を果たしています。

今回は、不動産における減価償却について、不動産投資初心者向けに分かりやすくまとめました。この記事で減価償却について理解を深めましょう。

不動産投資における「減価償却」とは?

「減価償却」とは固定資産の取得費用を法定耐用年数に応じて配分し、その年に相当する分の金額を経費計上することを指します。

減価償却が適用される資産は、年数の経過によって資産価値が低下する資産であり、対象となる資産を「減価償却資産」といいます。年数の経過による資産価値は国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で定められています。

不動産投資においては、建物が減価償却資産にあたります。

不動産投資で減価償却費が節税になると言われる理由2つ

減価償却費が節税に重要な理由は以下の2つです。

1.経費でありながら支出を伴わない
2.
損益通算による節税ができる

理由1.経費でありながら支出を伴わない

減価償却費が他の経費と大きく異なる点は、実際の支出がないことです。

具体的には、実際にお金の支出があるのは最初の年のみで、翌年からはお金は動きません。経費を計上することで、実際にお金を使わなくても節税にすることができる点が減価償却費の特徴です。

経費の中で、お金の支出を伴わない経費は減価償却費のみです。

経費にはたくさんの種類があり、それらは以下の記事で詳しくまとめられています。減価償却の勉強と併せて参考にしてみてください。
>『不動産投資で節税|経費として計上できる費用とできない費用』

理由2.損益通算による節税ができる

不動産投資の場合、物件購入時(購入初年度およびその後数年間くらい)は経費が不動産物件からの収入を上回り、損失が出ることが考えられます。

その場合、「損益通算」を活用することが可能です。「損益通算」とは、ある種類の所得の赤字を、他の種類の所得の黒字から差し引くことを指します。

不動産投資を例にすると、赤字が発生した場合に、給与所得の黒字や事業所得の黒字から控除することです。上記の形で、課税所得を抑えることができると所得税や住民税の節税につなげることができます。

不動産投資:減価償却の計算方法

減価償却費は、基本的に「定額法」もしくは「定率法」の2つの計算方法のいずれかで計算されます。不動産投資の減価償却においては現在、定額法のみが使用可能です。

平成28年3月31日までに取得した建物付属設備であれば定率法を選択することもできますが、それ以降に取得した物件では建物付属設備であっても、定率法を採用することはできません。

そのため、この章では定額法とその計算時における注意点をご紹介します。

・定額法の計算方法
計算時の注意点

定額法の計算方法

毎年同じ額を減価償却費として計上する方法です。

・計算式:建物の取得価格×定額法の償却率=毎年の減価償却費

「取得価格」とは建物の購入にかかる費用を指し、「定額法の償却率」とは、耐用年数に応じて定められた定額法の償却率を指します。

費用として計上される減価償却費は毎年、同額です。定額法の償却率は耐用年数によって区分されます。計算の重要な要素となるため、国税庁HPに記載された情報を参考にしながら算出しましょう。

計算時の注意点

不動産投資物件の購入にあたっては、新築または中古物件という選択肢があります。

新築の場合は法定耐用年数をみることで計算できますが、中古物件を購入した際は、新築から時間が経っているため、購入後で使用可能な「残存耐用年数」を求める必要があります。

■築年数が耐用年数を超えている場合

・計算式:法定耐用年数×20%=残存耐用年数

■築年数が耐用年数の一部を経過している場合

・計算式:(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%=残存耐用年数

経過年数では、丸1年と数えられない端数月を切り上げ、最終的に残存耐用年数で端数が出た際は切り下げて計算します。中古物件を購入する際は計算方法に注意しましょう。

減価償却費を活かした不動産投資物件選びとは

建物価格の割合の多い不動産投資物件

減価償却費を活用するには、減価償却費が関わる建物価格の割合が大きな不動産投資物件を選ぶことがポイントです。なぜなら、減価償却費は建物価格にのみ該当するためです。

では、建物割合が多い物件を探したい場合はどうしたらいいでしょうか?一般的には、土地の価格が安いエリアの物件を狙うことになります。

しかし、単純に安い土地の不動産を探せばいいかというと、そう簡単には判断することはできません。なぜなら、不動産投資は入居者がいて成り立つ投資だからです。

投資しようとする不動産が入居ニーズのあるエリアではなかった場合、入居者が入らないリスクが発生する可能性もあります。そのため、建物価格の割合が多く、入居ニーズのあるエリアの物件を購入する必要があります。

また、人口が密集する都内などのエリアは土地の価格が高い傾向があります。しかし、入居ニーズが高いため、空室率のリスクは少ないといったメリットもあります。

このバランスを見きわめる必要があります。

木造・中古の不動産投資物件

以下の2点の条件にあてはまる物件を選定すると、減価償却費を多く確保することができます。

まず、木造であること。
木造の法定耐用年数は22年と他の構造に比べて短いため、同じ建物価格・同じ減価償却期間だったとしても、より大きな減価償却費をとることができるためです。

次に、中古物件であること。
中古物件の場合は、減価償却期間が短いため、同じ建物価格・同じ構造でもより大きな減価償却費をとることができます。

減価償却費による節税目的で、不動産投資を行う場合はこれらの物件を中心に探してみましょう。

まとめ:不動産投資における減価償却費とは?

今回の記事では減価償却費についてご紹介しました。

所得税・住民税の節税目的で不動産投資を行う場合は、減価償却費を活かした戦略を立てることで、より利益を得ることができるでしょう。

不動産投資は今回のように節税目的に限らず、様々なゴールを達成するために始めるケースがあります。そして、定めた目的によって重視すべき点が異なります。

不動産投資を始める際は、必ず目的を設定した上で始めることをお勧めします。目的については以下の記事で詳しくまとめていまので、参考にしてみてください。
>『不動産投資用の物件の選び方│種類と目的別の選び方まとめ』

また、不動産投資は出口戦略を考えた上で始めることもお勧めします。出口戦略については、以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご一読ください。
>『不動産投資の出口戦略を極めるために必要な3つの知識』

なお、LIV PLUSでは不動産投資に関するコラムを随時アップしています。不動産投資を検討する際にご参考いただけますと幸いです。

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