不動産投資では金融機関から融資(不動産投資ローン)を受けられます。
しかし、近年は金融機関の不正融資問題や新型コロナウィルスの流行もあり、「審査基準が厳しくなった」「融資の審査に時間がかかる」といった傾向が見られるようになりました。
そのような状況下で不動産投資の融資の審査に通るために、どんなことができるでしょうか。
この記事では、不動産投資をする方が融資を受けるメリット、知っておくべき情報、審査の流れまでをご紹介しますので、ご参考にしていただけますと幸いです。
不動産投資における融資とは?
不動産投資の融資とは、銀行などの金融機関から不動産投資に必要な資金を借りることを指します。主な金融商品として「不動産投資ローン」があります。
同じく不動産を購入するためのローンとして「住宅ローン」がありますが、不動産投資ローンとは大きな違いがあります。
それは住宅ローンは自分が居住するための家を購入する際に申請するローンである一方で、不動産投資ローンは第三者に貸し出す不動産に対して申請するローンであるという点です。
投資方法は複数ありますが、不動産投資は投資目的の不動産(物件や土地など)を担保にすることを条件に、銀行をはじめとする金融機関より融資を受けることができます。
これは不動産投資ローンのみの特徴です。
不動産投資の融資を受けるメリット3つ
不動産投資をする方が融資を受けるメリットを3つご説明します。
1.早く資産を増やすことができる
2.少ない自己資金で不動産投資をはじめることができる
3.家賃収入でローン返済ができる
メリット1.早く資産を増やすことができる
不動産投資で利益を出すための一番の方法は、複数の物件を購入し、規模を拡大していくことです。不動産投資を始めたばかりの頃は、所有物件は1つだけというケースがほとんどです。
そのため、まずは最初の物件で利益を出し、資金が貯まってから次の物件を検討する…という流れが一般的です。しかし、これでは資産を増やすまでに大変な時間がかかります。
そこで、より早期に複数物件を展開できるよう、融資を活用することになります。購入できる物件の選択肢が広がり、結果として早く資産を増やすことができます。また、エリアや広さ・階数などの異なる複数の物件を持つことで、投資リスクの分散にもつながります。
不動産投資で想定されるリスクの分散方法はその他にもあります。併せて下記の記事をご一読ください。
>『不動産投資のリスク分散の方法:3つの軸とは?』
メリット2.少ない自己資金で不動産投資をはじめることができる
不動産投資を始めたいと思っても、十分な自己資金がないことで悩んでいる方は少なくありません。
十分な自己資金ができてから物件を購入したい方もいるでしょうが、その場合は自己資金を貯める時間がかかり、その間に狙っていた物件や時期を逃してしまうことも考えられます。
しかし、融資を利用すれば、自己資金が少なくても不動産投資を始めることができます。
融資を利用すれば、自己資金以上の金額で納得のいく良い物件を購入でき、利益を得ることが可能です。
上記のように、融資を活用し、少ない自己資金で大きなリターンを得ることを「レバレッジ効果」といいます。レバレッジ効果については以下の記事で詳しくご紹介しています。併せてご一読ください。
>『レバレッジ効果を活かした不動産投資~知っておくべきメリット・デメリット~』
メリット3.家賃収入でローン返済をすることができる
融資を受ける3つ目のメリットは、不動産投資物件から得られる家賃収入で、毎月のローン返済ができる点です。
住宅ローンは自分の給与から返済する必要がありますが、不動産投資ローンは家賃収入でローン返済できるため、個人の収入を上回る金額でローンを利用することができます。
もちろん、家賃収入がないとこの状態は実現できないため、空室率対策を日頃から行う必要があります。
空室率対策について以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
>『マンション投資で空室率を下げるための対策5選』
不動産投資の融資の審査のポイント
融資の審査時のポイントは「個人属性」と「物件属性」の2点です。
「個人属性」とは、借りる本人の返済能力や、信用度にかかわる要素である年齢や勤め先、勤続年数、年収、金融事故歴、その他借入れ状況などを指します。
簡単に言うと、返済能力がある人か確認するためにチェックする項目です。
個人属性について、下記の記事からもでも詳しく紹介しています。併せてご一読ください。
>『不動産投資をしたいサラリーマンにおすすめ|年収別の物件価格と参考物件』
一方、「物件属性」は物件に収益性があるか確認するためにチェックする項目です。
収益性は家賃収入だけでなく、販売したときに想定される利益も併せて見ます。その理由は、金融機関はローンの返済が滞ってしまった場合を想定して、融資対象の不動産に抵当権を付けるためです。
抵当権とは、投資用不動産を担保に設定して、返済が滞った場合に不動産を差し押さえ競売にかけられる権利のことを指します。そのため、収益性のある物件を探すことが非常に重要になってきます。
物件探しについては以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご一読ください。
>『不動産投資成功の鍵は物件探し!コツと注意事項を伝授』
融資の審査に通りやすい人の特徴
ここでは融資の審査に通りやすい人の特徴を3点ご紹介いたします。
1.本業で安定した収入を得ている人
2.貯金などの保有資産が多い人
3.他に大きな借入れがない人
特徴1.本業で安定した収入を得ている人
不動産投資ローンは毎月、しかも長期間に渡って支払うため、安定した収入がある職業の方は返済停滞のリスクが少ないと判断されます。
主に公務員や士業、医者や看護師・薬剤師、大手企業のサラリーマンは、安定した収入があるため、融資が受けやすい傾向にあります。
特徴2.貯金などの保有資産が多い人
地主や資産家は、不動産も貯金も多く所有しており、金銭的な心配もないので審査に通りやすい属性といえます。また、地主や資産家でなくとも、貯金が多い人は銀行側に高く評価されます。
その理由は、不動産投資で利益が出ず、返済が滞るような事態となった場合でも、返済が可能な人物とみなされるためです。
併せて、貯金できる人は「無駄遣いをしない・堅実」という印象があり、支払い停滞リスクが少ない人と見られます。
特徴3.他に大きな借入れがない人
住宅ローンや車のローンなど大きな借入がある場合、既にあるそのローンの返済をしなければならないため、不動産投資ローンの滞納リスクがある人と判断される傾向があります。
一方、借金がほとんど無い人は返済能力が高いとみなされ、金融機関への心象が良くなります。支払い能力に関しては大きなローンに限らず、クレジットカードの支払い状況も見られるため、日頃から注意しておきましょう。
融資を申請する際に必要な書類
不動産投資の融資を受けるためには主に以下の書類が必要です(金融機関によって一部異なります)。
書類の数は多く、不動産会社が用意してくれる書類、自分で作成する書類、オンラインから請求できる書類などに分かれます。取り寄せに時間がかかるものも想定されるため、早めに書類を用意するようにしましょう。
・物件概要書
・レントロール
・売買契約書
・重要事項説明書
・登記簿謄本
・公図
・建築確認済証
・身分証明書
・印鑑登録証明書
・住民票
・所得証明書類
・納税証明書
・資格証明書
・賃貸借契約書
・支払通帳
・ローン返済予定表
融資の審査の流れ
融資の審査の流れは、主に以下の6つのステップで行われます。申請をするときの参考にしてみてください。
1.融資申請する金融機関を決める
2.必要書類を準備する
3.審査の申込
4.審査の開始
5.融資審査の可否通知
6.契約後の手続き
ステップ1.融資申請する金融機関を決める
金融機関を決める方法は、主に「他者から紹介してもらう」「自分で新規開拓する」の2点があります。
前者は、不動産会社、大家仲間、友人知人から紹介してもらう方法です。紹介者の信用力を借りることで、スムーズに接触することができます。
後者は、自分で金融機関を開拓する方法です。金融機関に応じて融資を受けられる金額や審査の条件も異なるため、各金融機関のHPで融資条件を確認してから、アポイントを取るようにしましょう。
基本的にどの金融機関も融資相談から始まるケースがほとんどです。
ステップ2.必要書類を準備する
面談にあたり、前述の必要な書類を揃えておく必要があります。
物件に関する書類は不動産会社が用意してくれる場合が多いですが、自分で用意しなければならない書類もあるため、忘れずに事前に準備しておきましょう。
また、審査には個人属性も重要視されるため、自分がどのような人物かを理解してもらえるよう、これまでの経歴や家族構成などを記した自己紹介用の資料も用意しておくことをお勧めします。
併せて不動産投資をはじめる動機や、資産の状況、どのように経営していきたいかなど、金融機関側からの質問に全て答えられるようシミュレーションしていきましょう。
ステップ3.審査の申込
審査前の申請では、金融機関の担当者に「不動産投資を始めてから5年後・10年後をどう見据えているか」「事業計画をしっかり考えているか」を伝える点が重要になります。
また、借主の属性や物件の情報も確認します。
審査に申し込むことができると判断されると、数日から数週間程度で連絡があるのが一般的なスケジュール感です。
ステップ4.審査の開始
相談した案件が検討の土台に乗れば、次は融資審査です。銀行内では何段階もの手続きを踏むため、時間がかかります。審査機関は数週間から1ヶ月はかかるとみておきましょう。
ステップ5.融資審査の可否通知
融資を受けられることが確定した場合、融資の上限額・融資の期間・金利の条件などについて説明を受けます。
ステップ6.契約後の手続き
正式に金銭消費貸借契約を締結し、その際に団体信用生命保険の加入や、抵当権の設定も行うケースがほとんどです。その後、設定した融資実行日に融資金が銀行口座に振り込まれます。
まとめ:不動産投資の融資を受けるために日頃から対策を
今回は、不動産投資の融資についてポイントと流れについて説明してきました。
融資の審査に通るためには、ポイントである「個人属性」と「物件属性」を高めておく必要があります。また、審査にあたっても書類も多くあるため、審査前の準備は入念に行いましょう。
不動産投資にサラリーマンをお勧めする理由、個人属性の詳細、対策については以下の記事をご参考ください。
>『不動産投資をしたいサラリーマンにおすすめ|年収別の物件価格と参考物件』
物件属性に関わる物件探しについては以下の記事をご参考ください。
>『不動産投資成功の鍵は物件探し!コツと注意事項を伝授』
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