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不動産投資のリスク分散の方法:3つの軸とは?

2021/10/15
2023/03/15
不動産投資コラム

不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターンの投資である」とよく言われます。

しかし、ハイリスクではないからといってそのリスクを軽視することはできません。

不動産投資におけるリスク分散の知識を整理してお伝えします。

不動産投資の7つのリスク

ミドルリスクと言われる不動産投資のリスクは主に7つあります。

1.「家賃の下落」のリスク
2.
「物件価格の下落」のリスク
3.
「空室」のリスク
4.
「家賃滞納」のリスク
5.
「ローンの金利上昇」のリスク
6.
「災害」のリスク
7.
「修繕費用」のリスク

これらのリスクの詳細と、それを未然に防ぐ「リスクヘッジ」の方法については以下の記事にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
>『不動産投資のリスクヘッジまとめ|7つのリスクとそのリスクヘッジ』(リンク)

リスク分散の基本「分散投資」とは?

不動産投資におけるリスクを最小限に抑えるためには「リスク分散をする」という考え方をします。

そして、基本的にはリスクを分散するために「分散投資」という方法を用います。分散投資とは文字のとおり、投資する対象を複数に分散させることを指します。

たとえば、区分マンションへの投資であれば、一室しか所有しない場合はその部屋が空室になってしまうと収入はゼロになりますが、複数を所有していれば一方が空室になっても他方では収入を得られる可能性があります。

また、投資対象である不動産の種類やエリアを分散させれば、一方が市場の影響を受けた際にも他方はその影響を免れ、収入減リスクの程度を軽減させることができます。

分散投資は、主に次の3つの軸でリスク分散することが基本になります。

不動産投資のリスクを分散する3つの軸

不動産投資においてリスク分散をする場合、投資対象である物件を次の3つの軸において分散させます。

いずれの分散も「市場に変化が生じた際に影響の受け方が異なる物件に投資する」という点で共通しています。

物件タイプ
・立地/エリア
・購入時期

物件タイプで分散

賃貸住宅でいえば、入居者のターゲット層が異なるタイプの物件を複数所有することがリスク分散になります。

間取りで考えると、たとえば1Kのワンルームマンションを所有している場合は、次の物件はファミリー向けの2DKなどを選択します。市場の変化によってワンルーム需要に翳りが見えた場合でもファミリータイプの需要への影響は限定的である可能性が高いためです。

最近では新型コロナウイルスの影響によって、以前までは「鉄板」だった都心ワンルームタイプのニーズが減速の傾向を見せ、郊外の広めの物件に注目が集まるなどしました。

立地/エリアで分散

特定のエリアに所有する物件が集中している場合、台風や地震などの災害に見舞われたり、需要を支えていた大型商業施設・学校・病院のような周辺施設が移動したりなくなったりすることで、急に不動産の賃貸需要が低下するリスクがあります。

ハザードマップをチェックして同じタイミングで被害を受けにくいエリアを選んだり、同一の施設に需要が依存しない立地を選んだりして、リスク分散しましょう。

購入時期で分散

金利の変動や修繕費用の発生によるリスクを軽減させるためには、物件の購入時期を分散します。

特に築年数が同等の物件を購入すると、一度に多額の修繕費用が発生してキャッシュフローが悪くなるリスクがあるため注意が必要です。

区分マンションなら複数戸所有で空室リスク分散

「上記の3点を分けるのは大変」、という場合は同じ区分マンションでも複数の部屋を購入するだけでリスク分散になります。

マンションの区分所有は初心者も手を出しやすいポピュラーな不動産投資ですが、一室所有ではそこが空室になったとたんに収入がゼロになってしまうという大きなリスクがあります。

タイプ・エリア・時期での分散が難しいときは複数戸の所有を検討してみましょう。

不動産投資におけるリスク分散で想定されるメリット・デメリット

不動産投資においてリスク分散をすれば良いことばかりか、というと、そうではありません。何事もそうであるようにメリットがあればデメリットもあります。

「とりあえず分散投資しておこう!」と動き出す前に、以下の点をチェックして慎重に判断してください。

リスク分散のメリット

メリットはこれまで述べてきたとおり、万一のリスクが生じた際に損失を抑制できる点です。

リスク分散のデメリット

一方のデメリットとしては、主に3点挙げられます。

1.管理が煩雑
2.
投資費用がかさむ
3.
大きなチャンスを得にくい

物件を複数所有すれば当然ながら管理のコストは膨らみます。
場合によっては異なる管理会社に委託することになり、コミュニケーションコストも増大するかもしれません。

また、複数の物件を購入・維持するわけですから、当然ながら取得・運用費用は大きくなります。

かといって分散投資を主目的として安価な物件を購入しようとすれば、その分チャンスも限定的になってしまいます。
また、最悪のケースでは、複数物件がたまたま同時に異なるリスクに見舞われて大きな損失が出てしまう、ということも考えられます。

「集中投資」のメリット・デメリット

分散投資のメリット・デメリットは、裏返せばそのまま「集中投資」のデメリットとメリットになります。集中投資とは物件数・タイプ・エリア・時期などをあえて集中させて不動産投資をすることです。

これまで述べてきたリスクを分散することができないという大きなデメリットはありますが、その分チャンスが到来したときには、分散投資では得られないようなリターンが期待できるかもしれません。

分散投資と集中投資はどちらが良いか、という絶対的な答えはなく、あくまでも投資家の資金力や嗜好など個別の特性によって判断されるべき事項であると考えておいてください。

リスク分散の選択肢:不動産投資信託「J-REIT」って何?

不動産投資というと一般的には区分マンションや一棟アパートを取得して運用することを指しますが、「不動産小口化商品」を購入するという選択肢も不動産投資の一種です。

J-REIT(ジェイリート)は複数の投資家から資金を集めて複数の不動産を購入・運用し、そこから得られた収益で投資家に分配金をバックするという投資商品です。不動産投資の一種であると述べましたが、正確には投資信託のひとつということになります。

米国で生まれた「REIT=Real Estate Investment Trust」をベースにしており、日本ではJAPANの「J」を頭に付けてJ-REITとして始まりました。

不動産小口化商品の最大の特徴は、丸ごとひとつの物件を取得するほどの資金がない人手も少額から不動産投資を始められるという点です。
また、証券取引所に上場しているため、株式と同じように証券会社の窓口やインターネット取引で売買できます。

物件の運用はプロが実施するため管理の手間がかからないという点もメリットとして挙げられるでしょう。

一方で、その仕組み上、相場の変動が激しいことがデメリットです。
不動産投資のように安定した収益を期待するというよりは、高い流動性をもって株式投資のように相場をチェックしながら運用していくことになります。

たとえば、新型コロナウイルスのショックが始まった2020年初頭においては、取引価格は半値にまで急落しました。

分散投資のひとつの選択肢ではありますが、通常の不動産投資とは大きく特徴が異なるものであると理解する必要があります。

不動産投資型クラウドファンディング

複数の投資家から資金を集めるという点でJ-REITと共通していますが、投資信託というよりは単純な共同出資のような形で不動産投資を行う方法に「不動産投資型クラウドファンディング」と呼ばれるものも登場してきました。

J-REITよりもさらに小口から投資できたり、変動リスクが小さいなどのメリットがありますので、不動産小口化商品を検討する際はJ-REITだけでなくクラウドファンディングにも目を向けると選択肢が広がります。

まとめ

ミドルリスク・ミドルリターンの投資である不動産投資には主に7つのリスクがあり、損失を低減させるためにはリスク分散が有効であると述べてきました。

リスクを分散させる軸には3種類あり、不動産物件のタイプ・立地とエリア・購入時期を分散させることが基本的な考え方です。

リスク分散をすれば万が一のリスクに備えられる一方で、管理が煩雑になったり費用がかさんだりするデメリットもあることには留意しなければなりません。

一般的な不動産投資とは異なりますが、不動産小口化商品を購入することもリスクに配慮した一種の不動産投資ですので、自身の趣向によっては検討すると良いでしょう。

リスクに備えることは重要であり、不動産投資におけるリスク分散はその点で有効ではありますが、必ずしも「分散投資をすれば良い」というわけではありません。正しい知識をもって慎重かつ適切な判断が求められます。

当サイトがご参考になれば幸いです。

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