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マンションの売り時を見極める5つの判断基準│2022年はマンションの売り時か?

2021/12/02
2023/03/15
不動産投資コラム

「マンションはいずれ売りたい!」
そう考えている方は、やはりベストな「売り時」が気になるのではないでしょうか。

また今この記事をご覧の方は、「2022年は、マンションの売り時なの?」と考えているかもしれません。

ご自身でその判断を下していただけるよう、判断基準となる代表的なポイントを5つ紹介し、さらに2022年の動向についても記載します。

マンションの売り時を考えている方はぜひご一読ください。

マンションの売り時を考える土台「出口戦略」とは?

マンションなどの不動産投資は必ず何らかの形で「終わり」を迎えます。
どのような終わり方を目指すかについて計画することを「出口戦略」といい、基本的には売却することが一般的です。

出口戦略によって最適なマンションの「売り時」の考え方が変わってくるため、まずは出口戦略を固めることが売り時を判断するための最初のステップということになります。

出口戦略について詳しくは別の記事にまとめていますので、よろしければ先にご覧ください。
>『不動産投資の出口戦略を極めるために必要な3つの知識』

マンションの売り時を見極める5つの判断基準

出口戦略が定まったら、次に紹介する5つの判断基準を軸にベストな「売り時」を見極めていきます。

5つの判断基準は以下のとおりです。

・マンション売り時の判断基準1:「マーケット(市況)」
マンション売り時の判断基準2:「築年数」
マンション売り時の判断基準3:「時期」
マンション売り時の判断基準4:「大規模修繕」
マンション売り時の判断基準5:「所有期間」

それぞれの観点から見てより多く「売り時である」という条件に当てはまるほど、タイミングとしては良いと考えることができます。

なお同様のテーマで「高く早く売る」という視点から情報を整理した記事があります。よろしければあわせてご覧ください。
>『マンション売却に最適な5つのタイミングとは?高く早く売るための知識』

マンション売り時の判断基準1:「マーケット(市況)」

マンションのベストな売り時を見極めるならば、まずはじめにマーケット(市況)を確認します。
せっかく売るからにはより高く売れたほうが良いわけですから、市況によってマンションの価格が高騰の傾向にあるタイミングを見計らいます。

なお国土交通省が公表しているデータを参考にすれば、2021年は売り時であったと見られています。

以下は2010年の平均値を100としたときの指数である「不動産価格指数」の推移グラフであり、黄緑色の「マンション(区分所有)」は特に他の物件タイプと比べても顕著な上昇傾向を示していることがわかります。

不動産価格指数(住宅)

2022年もこの傾向が続くかどうかが、マーケットによる売り時の判断軸になりそうです。

マンション売り時の判断基準2:「築年数」

中長期的に保有することが一般的であるマンションは、築年数によっても売り時が変わってきます。当然ながら築年数が浅いほど売却価格は高いわけですが、必ずしも築浅のうちに売ることばかりが正解ではありません。

次は東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表しているデータを見てみましょう。

「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」から抜粋したグラフを2つお見せします。

ひとつめは、中古マンションの築年数別の平均単価のグラフです。上述のとおり、築年数が増えるほど価格が下がる傾向があることがわかります。

中古マンションの築年帯別平均㎡単価

ところが次のグラフを見ると、考慮すべき視点がひとつ増えます。築年数別の中古マンション契約の成約率のグラフです。

中古マンションの対新規登録成約率

「築6~10年」の物件の成約率が特に高く、「築0~5年」よりも「11年~20年」あたりのほうが成約率が高いことが分かります。これには理由があります。

築10年くらいのマンションは適度に価格が落ち着いてくる頃であり、また設備などもまだまだ使える状態であるため、買い手からすると「買いやすい」状態にあるのです。

逆に築浅すぎると価格が高すぎて買い手がつきにくかったり、築年数が経ちすぎると買い手が慎重になってしまったりします。

つまり築年数という判断基準から考えれば、マンションの売り時のひとつの節目は「築10年頃」ということになります。

マンション売り時の判断基準3:「時期」

一年の中でも、売り時といえる時期があります。それが2~3月頃です。

4月の新生活に向けて転居の需要がグッと高まるのが3月頃であるため、そのタイミングに合わせて売却活動を行い、2~3月頃に売却が成立するスケジュールを考えると「売り時」が見えてきます。

以下のグラフを見るとその傾向が顕著であることが分かります。

東京都の転入超過数の推移
(出所:総務省統計局「統計Today No.168」

マンションの売却に要する期間は概ね3~6ヶ月程度が一般的ですので、10月頃に売却活動を開始するのが良いということになります。

マンション売り時の判断基準4:「大規模修繕」

マンションの共用部分などにおける大規模な修繕が控えている築10年~15年あたりの物件の場合は、これも売り時を判断する材料になります。

結論としては、「大規模修繕の直後が売り時である」ということになります。

理由は二つです。

一つ目は買い手への印象です。修繕の直後は物件が全体的にキレイであり、しっかりと仮されているイメージも与えられるようになります。

二つ目は修繕積立金の値上がりです。築年数を重ねて大規模修繕を行うと、あとに積立金の金額は上昇する傾向があります。高い積立金を多く支払う前である修繕直後は売り時であるといえるのです。

マンション売り時の判断基準5:「所有期間」

マンションの売り時を判断する5つめの基準は物件を所有している期間です。
「間もなく5年を迎える」という方は、急いで売らずにあえて5年間が経過するのを待ったほうが売り時してベターである場合があります。

理由は税金です。
マンションを売って獲得する利益を「譲渡所得」といい、これには所得税と住民税のふたつが課せられます。これら税金の税率は以下のように定められており、所有5年以下の「短期」と5年を経過した「長期」で2倍近く税率が異なることが表からわかります。

譲渡所得

築浅のマンションを売ろうと考えている方は、所有から5年間が近いのであれば5年経つのを待ってからが売り時になるかもしれません。

最近よく聞く「2022年問題」とは?

マンションの売り時を判断する5つの基準を紹介しましたが、今この記事をご覧の方は直近での売却を考えているかもしれません。

そんな方が知っておくべきキーワードが、最近話題の「2022年問題」です。

先に概要を述べると、2022年問題とは大量の「生産緑地」がいちどきに売り出されることで新築住宅の供給が過剰になり、空室の増加や不動産価格の暴落が予想される問題のことです。

下の写真のような「生産緑地」と書いた看板を見かけたことはないでしょうか?

生産生産緑地地区

1992年に改正された「生産緑地法」の定めにより、生産緑地は農業を辞めた日もしくは指定を受けた日から30年間、売り買いができなくなり、代わりに税制の優遇が受けられることになりました。

その30年間が経過するのが2022年であり、全生産緑地のうち面積ベースで80%の土地が30年を迎えるとされています。

生産緑地地区に関する都市計画決定年の状況

つまり、2022年から指定された生産緑地を手放す人がいちどきに発生することが想定されているのです。

これによって需給バランスに変化が生じ、不動産価格が下落したり新築物件が増えすぎて賃料が下がったり空室率が上がったりするのではないかと懸念されているのです。これが「2022年問題」です。

「それがマンションの売り時に、どのように影響するの?」
という質問に対する答えは「不動産価格の変化」ということになります。

生産緑地を多く抱えるエリアにおいては、上述のとおり土地の供給が増えることが予想されるため、これに伴う不動産価格や賃料相場の変化には敏感になっておく必要があります。

一方で生産緑地が少ない東京23区エリア等においては、特に大きな変化の懸念はないだろうと見られています。

全体の傾向としてはマンションの価格は上昇傾向にありますが、2022年に売却を検討している方は生産緑地の「2022年問題」も視野に入れて売り時を見極めると良いでしょう。

なお、国土交通省も2022年問題には対策を講じようとしており、その動向に注目が集まります。上記のグラフもこの資料から参照しています。

まとめ

マンションの売り時を判断する基準は5つあり、「マーケット(市況)の売却価格相場が高い」、「築年数が10年程度である」、「時期としては2~3月頃」、「大規模修繕の直後」、「所有期間は5年経ってから」、というのが一般的に適切な売り時であるとお伝えしした。

2021年まで中古マンションの売却価格は上昇傾向にあったため、全体的な「売り時」はこの後も継続することが予想されます。

ただし、生産緑地の大量売却が想定されている「2022年問題」によって影響を受ける可能性があるエリアも存在するため、判断にはこの視点も考慮する必要があります。

何よりも大切なのは常に最新の情報にアンテナを張り、学びを続けることです。当サイトが今後もお役に立てれば幸いです。

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