この記事では、不動産投資で物件の一棟買いを検討している方が知っておくべき情報をまとめました。
・一棟買いが「儲かる」と言われる理由は?
・どんなデメリットがあるの?
・一棟買い物件はどうやって探せばいいの?
これらのよくある疑問に答えます。
一棟買いとは?特徴や区分マンション投資との違い
不動産投資において購入できる物件のタイプは3つに大別できます。
「区分マンション」「戸建住宅」「一棟アパート・マンション」の3つです。
複数居室を持つアパートやマンションを一棟丸ごと購入することを、一般的に「一棟買い」と言います。区分や戸建てと比べてイニシャルコストがかかりますが、その分大きな見返りが得られる傾向があります。
区分マンション投資と一棟買い投資の主な違いは?
初心者が購入しやすいといわれる区分マンションと一棟買いの不動産投資はどのように異なるのか、以下の4点で比較します。
・利回り
・流動性
・節税効果
・資産拡大
利回りは一棟買いのほうが高い傾向
不動産投資情報サイト「健美家(けんびや)」が同サイトに登録された物件の情報を調査した結果によると、2021年7月~9月期における区分マンションの利回りは7.24%でした。
これに対し、一棟アパートでは8.54%、一棟マンションでは8.00%でした。
記事作成時点では2年前にあたる2019年からのデータ推移を見ても、全体的な傾向として区分マンションよりも一棟買い物件のほうが利回りが高いことがわかります。
◆利回りの計算や相場について詳細な情報は以下の記事にまとまっています。
>『不動産投資の理想の利回りが自分でわかる!初心者向け利回り完全ガイド』
流動性(売りやすさ)の観点では区分マンションがやや有利
不動産投資を行う上では必ず出口戦略を考える必要があり、多くの場合においてこれは不動産を売却することを意味します。
売却しやすさを「流動性」といい、この観点では一棟買いよりも区分マンションのほうが優れています。区分マンションのほうが投資金額が小さく、買い手となり得る人が多いためです。
ただし、利回りの低い区分マンションでは、売却金額がローンの残債を超えるまでにかかる期間が長くなる可能性があるため、「買い手はいるけど売れない」という状態になりがちである点に注意が必要です。
◆出口戦略について詳細な情報は以下の記事にまとまっています。
>『不動産投資の出口戦略を極めるために必要な3つの知識』
節税効果は一棟買い(木造アパート)のほうが高い
節税が目的で不動産投資をする場合は、「減価償却費」を計上できる期間が短いほど有利です。一年間に計上できる減価償却費が多くなるためです。
減価償却期間は物件の構造によって異なり、主な構造ごとの期間は以下のとおりです。
・木造:22年
・鉄骨造:34年
・(鉄骨)鉄筋コンクリート造:47年
区分マンションは一般的に鉄筋コンクリート造であるため減価償却期間が47年間になるのに対し、一棟買いの木造アパートであれば22年間になるため有利であるということです。
◆減価償却の考え方を含めた物件の選び方について詳細な情報は以下の記事にまとまっています。
>『不動産投資用の物件の選び方│種類と目的別の選び方まとめ』
産拡大を考えるなら区分よりも一棟買い
区分マンションの一室を購入してハイリスクを取らず大幅に資産を増やすつもりがない場合は良いのですが、もしも資産拡大を検討しているなら区分マンションよりも一棟買いのほうが進めやすい傾向があります。
先に区分マンションを購入した場合、利回りが低いとキャッシュフローがゼロやマイナスになっていることがあり、この状態では次に物件を購入しようとしても金融機関の審査が通りません。
そうなると、やむを得ず次も同様に区分マンションを買い足すしかなくなってしまい、資産拡大に時間がかかってしまいます。また、先述のとおりこれを売却しようにもローン残債が売却金額を上回っている状態ではそれもできません。
長期的に資産拡大を見据えて不動産投資を始める方は、一棟買いから始めるのが良いかもしれません。
一棟買い不動産投資のメリット6つ
一棟買い不動産投資には多くのメリットがあり、一棟買いが儲かると言われる理由もこれに含まれます。
メリット1.利回りが高い
メリット2.節税効果が高い
メリット3.資産拡大しやすい
メリット4.自分でコントロールできる領域が大きい
メリット5.区分よりも空室リスクに強い
メリット6.土地も所有できて資産評価が高い
メリット1.利回りが高い
上述のとおりですが整理のために再掲します。
ポピュラーな区分マンション投資と比較して利回りが高いことがメリットのひとつです。
メリット2.節税効果が高い
これも上述のとおりです。
木造アパートの一棟買いであればコンクリート造の物件と比較して減価償却期間が短いため、節税効果が高いことになります。
メリット3.資産拡大しやすい
これも上述のとおりです。
補足すると、一棟買い物件は一度の取引で区分マンションよりも大きな規模の資産を動かすことになるため、区分マンションを複数保有することと比較しても資産拡大は容易であることになります。
メリット4.自分でコントロールできる領域が大きい
・例えば、思うように借り手が付かずに入居率を上げたいとき。
・もしくは、リフォームをかけて賃料をアップさせたいとき。
区分マンションでは自分でコントロールすることができません。
所有者の権利は室内に限られ、大規模な修繕などの建物全体に関する経営的な部分は管理組合の承認が必要であったり、管理会社などが行うことになっているためです。
一棟買いであればリフォームも修繕も入居者募集も賃料も自分でコントロールできます。その分しっかりと勉強する必要がありますが、経営の自由度が高い点は間違いなく一棟買いのメリットのひとつです。
メリット5.区分よりも空室リスクに強い
区分マンションを一室だけ所有している場合、その一室が空室になれば収入はゼロになり、キャッシュフローはマイナスになります。
一棟買いであれば一室が空室になっても他の居室でカバーできるため、収入がゼロになってしまうリスクは明らかに低くなります。
収入の規模も大きくなるため、キャッシュフローが良くなります。
メリット6.土地も所有できて資産評価が高い
敷地権がある場合などをのぞいて区分マンションの購入では土地が付いていないケースが多い一方で、一棟買いの場合は基本的に土地と建物を一緒に購入することになります。
土地は建物と比較して資産価値が下がりにくいため、長期的にも安定した出口戦略を立てやすくなります。
一棟買い不動産投資のデメリット・リスク4つ
良い点ばかりに注目せず、デメリットもしっかりと理解することで一棟買い不動産投資に正しい期待を持てるようにしましょう。大きなデメリットとしては次の4点が挙げられます。
デメリット1.投資金額が大きくなる
デメリット2.維持管理費用も大きくなる
デメリット3.災害のインパクトが大きい
デメリット4.流動性が低い
デメリット1.投資金額が大きくなる
区分マンションが一室の購入であるのに対し、一棟買いでは建物丸ごとに加えて土地を購入することになるため、一般的に投資金額は大きくなりがちです。
金融機関からの融資の審査が通りにくかったり、失敗したときのリスクが大きくなったりする点はデメリットとして挙げるべきでしょう。
デメリット2.維持管理費用も大きくなる
区分マンションでは所有者が直接負担するのは室内のみになりますが、一棟買いでは土地の部分や建物全体のリフォーム、設備の交換まですべて負担することになります。また一室よりも一棟のほうが規模が大きい分、かかるコストも大きくなります。
その分のリターンも大きくなるために一概にデメリットであると断言はできませんが、リスクを考慮すべきであることは間違いありません。
デメリット3. 災害のインパクトが大きい
地震や火事、水害などに見舞われた際に、一棟買い物件は一気に資産を失ってしまう恐れがあります。
ただし、当然ながら保険に加入してこのリスクにはある程度備えることになるため、被災したら一巻の終わりということではありません。
デメリット4.流動性が低い
これは上述したとおりです。
出口戦略として売却を考える場合、金額の大きな一棟買い物件は区分マンションと比べて買い手が限られるため、売りたいときに売れないかもしれないというリスクがあります。
一棟買いの収益物件を探す
ここまで読み進めた上で一棟買い物件の購入を検討しようと考えた方は、不動産情報ポータルサイトから物件を探してみてください。
インターネットで検索すれば複数のサイトが見つかりますが、その中から代表的な3件を紹介します。
楽待
不動産投資情報ポータルサイトとして最も有名なのが楽待(らくまち)でしょう。
豊富な物件数が特徴です。
健美家
メジャーなのが健美家(けんびや)です。
この記事の冒頭でも紹介したように、各種データも豊富に揃っています。
LIFULL HOME’S 不動産投資
収益物件掲載数No.1を謳うLIFULL HOME’S 不動産投資から全国の一棟買い収益物件を探せます。
>「LIFULL HOME’S」で全国の一棟マンションの収益物件を探す。
その他の方法で一棟買い物件を探すなら
一棟買いの不動産投資用物件を探すには不動産情報ポータルサイトが便利ですが、他にも探す方法はあります。
以下の記事に「鉄板の5つの探し方」をまとめていますのでご覧ください。
>『【不動産投資】物件の探し方「鉄板」5選』
まとめ
不動産投資について調べると、投資金額を小さく抑えられてリスクを低減できることから区分マンションが勧められる傾向があります。
しかし、利回りの高さや資産拡大における優位性の観点では一棟買いの物件にも大きな魅力があることをお伝えしました。
どちらのほうが優れている、という絶対的な基準はなく、あくまでも投資目的やゴール設定によって適切な物件は異なります。
不動産投資の選び方についての情報をお求めの方は以下の記事が参考になるかと思いますのでご覧ください。
>『不動産投資用の物件の選び方│種類と目的別の選び方まとめ』