不動産投資で投資用物件を購入、売却する時に売主と買主の間で交わす書類を「売買契約書」といいます。
この売買契約書を締結すると、原則として解除条件を満たさない契約破棄はできなくなるため、契約の締結前に慎重に確認しておくことが大切です。
このコラムでは、不動産売買における売買契約書の流れや内容について確認しておくべき項目を説明します。これから不動産投資を始める方や、不動産投資用物件の売却を検討している方はぜひご覧ください。
不動産売買契約書作成は誰がするのか
売買契約書は仲介に入っている不動産会社が作成するケースがほとんどです。
売主・買主共に同じ会社であれば問題はありませんが、異なる場合は作成業者を決定する協議を行い決定します。
不動産売買契約書で必ずチェックしておきたい項目6つ
1.契約当事者の特定
2.売買対象物件の表示、面積
3.売買代金の額、支払い時期
4.契約解除に関する定め
5.危険負担
6.瑕疵担保責任
チェック1.契約当事者の特定
不動産売買契約を締結する際は、売主・買主両者の情報を売買契約書に明記する必要があります。
売主・買主の住所、氏名、法人であれば会社名や商号、代表者氏名、事業所住所を売買契約書に記載します。
チェック2.売買対象物件の表示、面積
売買の対象となる不動産の記載が必要です。
物件を特定するために、土地建物とともに不動産登記簿に記載された事項を記載します。
・土地:所在、地番、地目、地積
・建物:所在、家屋番号、種類、構造、床面積
土地や建物ともに登記簿に記載されている所在地・地番は、住居表示(住所)とは異なりますので注意が必要です。
また、土地の面積については不動産登記簿上の面積(公簿面積)と実際に測量をした場合の面積(実測面積)と異なる場合がありますので、公簿面積で契約するか実測面積で契約するかなどを明確にしておくことが望ましいでしょう。
チェック3.売買代金の額、支払い時期
売買代金の内訳と支払い方法についても契約書にて明記します。
売買代金の支払い時期は、一般的に売買契約締結時に手付金を支払い、物件の引渡しおよび所有権移転と同時に売買代金から手付金を差し引いた残額を支払う、というように2回に分けるのが一般的です。
手付金の額に特に定めはありませんが、売買代金の5〜10%前後が平均です。
売買代金の支払いは、現金(または現金振込み)が原則です。
しかし、多額の現金を用意すること、持ち歩くことは危険を伴いますので、金額が大きくなる場合は現金と同じ取り扱いとなる「銀行振り出し小切手」(預金小切手)にて支払います。
また、代金の支払いにおいては、多くのケースで不動産投資ローンが用いられます。不動産投資では現金を手元に残しておくことが鉄則となるため、できる限り自己資金の支出を抑えるべきだからです。
ローンを利用する場合、面談や事前審査を経て本審査を通過し、金融機関と「金銭消費貸借契約」を結びます。契約を締結したら、不動産投資物件の引き渡しの日に融資が実行されます。
不動産投資ローンについては以下のコラムで詳しくまとめています。併せてお読みください。
>『マンション投資向け|今から準備しておきたい不動産投資ローン対策』
チェック4.契約解除に関する定め
不動産の売買契約書では売主・買主のいずれかが契約違反をした場合、その相手方に対して一定の催告期間をおいて契約を解除し、損害賠償または違約金を求める旨が定められています。
不動産取引においては個々の事情により損害の額を算定することが困難であるため、通常は売買代金の20%以内で違約金を定めます。
この場合、仮に相手方の損害が20%を超えるような場合でも、逆に20%を下回る場合でも損害の程度に関係なく、違約金の額は売買代金の20%となります。
不動産の契約には、売主、買主双方の自助努力で約束が果たせるものと、ローン特約のように自助努力だけでは約束を果たせないものがあります。
当然ながら、前者のように自助努力によって約束が果たせるにもかかわらず、約束違反をした場合は違約金の対象になります。
一方、後者のように自助努力だけで約束が果たせない可能性がある場合は、白紙解除できるようにしておくのが、買主にとってのリスク回避の手段であり、一般的な契約解除の条項の考え方となります。
チェック5.危険負担
「危険負担」とは、売買契約締結から売買代金の支払い、物件の引渡しを受けるまでに期間が空く場合の契約から引渡しまでの間の不動産管理、天災などによって建物が焼失・倒壊した場合の責任を、売主・買主のどちらが負担するのかなどを定めた項目をいいます。
一般的には「売主がその危険を負担する」とされていますが、事前に明確にしておかないとトラブルになりかねませんので注意が必要です。
チェック6.瑕疵担保責任(契約不適合責任)
「瑕疵(かし)」とは購入した不動産に欠陥がある場合のことを指します。
購入後に瑕疵が見つかった場合、その責任を誰が負うのか明記する項目が「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」です。
瑕疵担保責任の取り決めを明確にしなければ、欠陥が見つかった場合にトラブルになりかねませんので注意が必要です。
個人間のルールを定めた民法では、買主が瑕疵を発見した日から1年間は売主に対して損害賠償を請求できることとなっております。しかし、不動産の場合、売買契約書によって原則は当事者間で自由に取り決めをすることができます。
まとめ:後悔しない不動産売買契約書締結の鍵は、自分でも内容確認をしっかり行うこと
不動産売買契約書においてチェックすべき6つのポイントを紹介しました。
不動産の売買契約は、常に「万一の場合にどうするか」ということを念頭において入念にチェックする心構えが必要です。
不安な要素がある場合は契約書に明記し、納得するまで修正する必要があるため、信頼できる不動産会社を選ぶことも重要です。
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