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これだけは知っておきたい!年収の壁引き上げについて解説

2025/01/16
お金・資産形成

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  • 年収の壁引き上げについて
  • 年収の壁とは?
  • 103万円から123万円への引き上げの概要
  • 103万円の壁引き上げの背景
  • その他の税制改正大綱による変更点
  • まとめ

年収の壁引き上げについて

2024年12月20日、政府・与党は令和7年(2025年)の「税制改正大綱」を決定しました。その中でも「年収103万円の壁」が123万円に引き上げられたことが話題となっています。この決定により、税金が減り、手取りが増加するため、私たちの生活に大きく関わります。

具体的にはどんな変更点があるのでしょうか。本記事では、年収の壁とは何か、今回の税制改正大綱での変更点を詳しく解説していきます。

年収の壁とは?

「年収の壁」とは、一定の年収を超えることで税制上や社会保険上の負担が増える境界のことを指します。この壁を超えると、手取り額が減少し、新たな負担が発生するため、多くの人が働き方を調整する要因となっています。以下に主要な壁について解説します。

種類 概要
103万円の壁 年収103万円を超えると所得税が発生し、手取りが減少するため、超えそうになると「働き控え」が発生する。
106万円の壁 年収106万円を超えると、特定の条件を全て満たす場合に社会保険への加入が必要になり、社会保険料の負担が発生する。
130万円の壁 年収130万円を超えると、条件に関わらず社会保険への加入が必要になり、社会保険料の負担が発生する。
150万円の壁 年収150万円を超えると、配偶者特別控除が満額で受けられなくなり、段階的に控除額が減少する。その結果税負担が増える。
201万円の壁 年収201万円を超えると、配偶者特別控除が適用されず、控除が受けられなくなる。その結果課税所得が増加し、税負担が重くなる。

103万円が123万円に引き上げの概要

2025年1月1日から「年収103万円の壁」が「123万円」に引き上げられました。この変更で何が変わったのか詳しく見ていきましょう。

そもそも103万円というのは、原則収入がある人に適用される基礎控除48万円と給与所得控除のうちの年収が低い層に適用される最低保証額55万円の合計額のことです。この金額を超えると控除が適用されず、課税対象となるため、手取りが減少します。

  • 基礎控除48万円+給与所得控除55万円=103万円
  • ※年収103万円までは非課税

今回の改正では、基礎控除が48万円から58万円に、給与所得控除が55万円から65万円にそれぞれ10万円ずつ引き上げられました。これにより、年収123万円までは非課税となります。

この改正により、手取り額が増えるため、多くの人にとってメリットとなります。

  • 基礎控除58万円+給与所得控除65万円=123万円
  • ※年収123万円までは非課税

123万円へ引き上げの概要

103万円の壁引き上げの背景

年収の壁引き上げの背景には、103万円を超えると所得税の支払いが発生し、手取りが減少することから、扶養に入る学生や主婦が働く時間を制限している現状があります。これにより、企業も人手不足やシフト調整の課題に直面しています。

また、近年では最低賃金の上昇も影響しており、103万円の壁は実態に合わないという声が高まっていました。今回の改正は、こうした課題を解消するための第一歩とされています。

このような課題がある中で、国民民主党が103万円の壁を「178万円」に引き上げることを提案しました。

178万円とは、103万円の壁が定められた1995年からの最低賃金の上昇率を元に算出された額です。

しかし、178万円を実現すると大幅な税収減となることもあり、178万円を目指して引き上げる第一歩として、1995年からの物価上昇率を考えて123万円への引き上げが決定されました。

今後178万円まで引き上げられるのかは注目が集まることが想定されます。

123万円への引き上げ後の手取り額

103万円の壁が123万円になることの影響は、年収103万円以下でアルバイトやパートで働く人だけでなく、フルタイムで働く人の手取り額にも影響があります。

大和総研と第一生命経済研究所の試算によると、社会保険に加入し配偶者控除が適用されないひとり暮らしの働く人の場合、年間の減税額が年収ごとに以下のようになると見込まれています。

年収 年間の減税額
150万円 20,000円
200万円と300万円 5,000円
500万円と600万円 10,000円
800万円と1000万円 20,000円
1200万円 23,000円
1500万円 34,000円

高年収層ほど減税額は大きいものの、物価上昇や税金負担を考えると、手取り増の実感は限定的となる可能性があります。

その他変更点

今回の税制改正大綱の決定で最も大きな話題は123万円の引き上げでしたが、その他にもいくつかの重要な変更点がありました。

特定扶養控除の年収要件の見直し

所得控除の1つに、大学生年代(19歳〜23歳未満)の子を扶養している場合に、所得税63万円・住民税45万円の控除が適用される「特定扶養控除」というものがあります。

ただし、子どもがアルバイトで年収103万円を超えると、特定扶養控除が受けられなくなり、親の税金が上がってしまうため、子どもに103万円を超えないように注意をしているご家庭が多いのではないでしょうか。

しかし、2025年以降は、特定扶養控除の適用対象となる子どもの年収上限が150万円に引き上げられるため、103万円を超えても特定扶養控除を受けられるようになります。

また、今後新たに「特定親族特別控除」という制度が適用され、子どもの年収が150万円を超えた場合でも年収188万円までは段階的に控除が適用されます。/p>
特定扶養控除変更点

106万円の壁撤廃

今後106万円の壁という社会保険への加入を求められる現行の年収要件が撤廃される見込みとなっています。

現行の制度では以下の5つの要件をすべて満たす場合に、社会保険への加入が必要になります。

  • 従業員数が51人以上 → 2027年10月から撤廃予定
  • 賃金が月88,000円以上(残業代、賞与、通勤手当などは除く) → 2026年10月から撤廃予定
  • 労働時間が週20時間以上(残業時間などは除く) → 今後も維持
  • 学生ではない → 今後も維持
  • 2ヵ月を超える雇用が見込まれる → 今後も維持

ちなみに月88,000円×12ヶ月=1,056,000円となるため、106万円の壁と言われています。

今後、この要件のうち、「従業員数51人以上」「賃金が月88,000円以上」という要件が撤廃されることが見込まれていますが、「労働時間が週20時間以上」という要件が残るため、働き控えが完全に解消されるわけではありません。

まとめ

今回は税制改正大綱によって決定された、年収の壁引き上げに関して解説していきました。

今回の「年収103万円の壁」引き上げにより、多くの人が働きやすくなる環境が整備されつつあります。ただし、物価上昇やその他の経済状況を考慮すると、手取り増の実感は人それぞれ異なるでしょう。

今後、「年収178万円の壁」への引き上げが実現するかどうかは、私たちの生活に大きな影響を与えるため、引き続き注目が必要です。家計や働き方について改めて考える良い機会になるのではないでしょうか。

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