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【マンションは管理で選ぶ 第1回】マンションは「買った後」が重要?資産価値を左右する管理の正体

2026/09/17
連載

マンションを選ぶとき、多くの人が最初に見るのは「立地」ではないでしょうか。

駅から何分か。

どの路線が使えるか。

築何年か。

何階か。

間取りはどうか。

そして価格はいくらか。

もちろん、どれも重要な条件です。

しかし中古マンションを長期的な資産として考えるなら、もう一つ見逃せないものがあります。

それが、

「そのマンションが、これまでどう管理されてきたか」

です。

マンションは完成した瞬間が一番重要なのではありません。

10年、20年、30年と使い続けるなかで、建物をどう維持し、どのように修繕してきたかによって状態は変わります。

新連載「マンションは管理で選ぶ」第1回は、なぜマンション購入で「管理」が重要なのか、その基本から見ていきます。

マンションは買った瞬間から少しずつ古くなる

どれほど高級なマンションでも、建物である以上は時間とともに劣化します。

外壁。

屋上。

廊下。

エレベーター。

給排水設備。

機械式駐車場。

インターホン。

消防設備。

こうした設備や共用部分を永久に使い続けることはできません。

そのためマンションでは、日常的な点検や清掃に加えて、一定の周期で修繕や設備更新を行う必要があります。

つまりマンションの価値を考えるとき、

「新築時にどれだけ良い建物だったか」だけでは不十分

なのです。

完成後にどのようなメンテナンスを続けてきたか。

ここが中古マンションでは特に重要になります。

同じ築30年でも「状態」はまったく同じではない

たとえば、同じ駅から徒歩5分。

どちらも築30年。

広さも70㎡前後。

そんな二つのマンションがあったとします。

数字だけを見ると、かなり似た物件です。

しかし一方は、

定期的に大規模修繕を実施している。

修繕積立金も計画的に確保している。

共用部分がきれいに保たれている。

管理組合が機能している。

長期修繕計画も更新されている。

もう一方は、

修繕工事が先送りされている。

積立金が不足している。

共用部分の劣化が目立つ。

総会への参加者が少ない。

将来の修繕計画も曖昧。

という状態だったらどうでしょうか。

同じ「築30年」という数字でも、購入後の安心感は大きく違います。

中古マンションでは、

築年数よりも「どう年を重ねてきたか」

を見ることが大切なのです。

「管理会社」と「管理組合」は同じではない

マンション管理で意外と混同されやすいのが、

「管理会社」

「管理組合」

です。

管理会社は、清掃、設備点検、会計、管理員業務など、マンション管理の実務を受託する会社です。

一方、管理組合はマンションの区分所有者によって構成される組織です。

国土交通省のマンション標準管理規約でも、区分所有者全員によって管理組合を構成し、建物や敷地、附属施設の管理を行う考え方が示されています。

つまり、

マンション管理の主役は、管理会社ではなく所有者側の管理組合

なのです。

管理会社にすべて任せれば終わり、というものではありません。

どの工事を行うのか。

修繕積立金をどうするのか。

管理規約をどうするのか。

将来どんなマンションにしていくのか。

こうした重要な意思決定には、所有者自身が関わります。

毎月払う「管理費」は何に使われている?

マンションを購入すると、多くの場合、住宅ローンとは別に管理費を毎月支払います。

管理費は主に、マンションを日常的に維持するためのお金です。

たとえば、

共用部分の清掃。

管理員業務。

エレベーターなどの保守点検。

共用部分の電気代や水道代。

植栽管理。

消防設備の点検。

管理会社への委託費。

などに使われます。

つまり管理費は、

「今のマンションを日常的に維持するためのお金」

と考えると分かりやすいでしょう。

豪華な共用施設が多いマンションでは、その分だけ維持管理コストが高くなる可能性もあります。

プールやジム、ラウンジがあるから魅力的。

それだけでなく、

「将来もその設備を維持する費用を負担できるか」

まで考える必要があります。

修繕積立金は「未来のマンション」のためのお金

管理費と似ているようで役割が違うのが、修繕積立金です。

修繕積立金は、将来行う大規模な修繕工事などに備えて、所有者が積み立てていくお金です。

たとえば、

外壁修繕。

屋上防水。

鉄部塗装。

給排水設備。

エレベーター。

機械式駐車場。

など、将来的にまとまった費用が必要になる工事があります。

こうした工事費を突然各所有者から集めるのではなく、長期間かけて準備していくのが修繕積立金です。

国土交通省も「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を公表し、長期修繕計画に基づいて必要な積立額を設定することの重要性を示しています。

ここで覚えておきたいのは、

修繕積立金は「安いほどお得」ではない

ということです。

「管理費・修繕積立金が安い物件」は本当にお得?

中古マンションを探していると、

「このマンションは管理費が安い」

「修繕積立金も安い」

という物件があります。

毎月の負担が小さいため、魅力的に見えるかもしれません。

しかし修繕積立金については注意が必要です。

必要な修繕費に対して積立額が不足していれば、将来、

修繕積立金の値上げ。

一時金の徴収。

工事内容の縮小。

修繕時期の延期。

管理組合による借入れ。

などが必要になる可能性があります。

国土交通省も、修繕積立金について、当初の負担を低く設定して段階的に値上げする方式では、計画どおり引き上げられず不足につながる場合があることを指摘しています。

毎月5,000円安いことより、

10年後、20年後に必要なお金が準備できているか

のほうが重要な場合もあります。

この問題は第2回で詳しく取り上げます。

マンションには「長期修繕計画」がある

では、将来どんな修繕が必要になるのでしょうか。

その目安となるのが、

長期修繕計画

です。

マンションでは、

何年後に外壁を修繕するのか。

いつ屋上防水を行うのか。

給排水設備はいつ更新するのか。

エレベーターにはどの程度の費用が必要なのか。

などを長期的に予測します。

そして、

「将来これくらいの修繕費が必要になる」

という見通しから修繕積立金を考えます。

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、将来の工事内容や時期、概算費用などを定め、定期的に見直すことが重要とされています。

つまり長期修繕計画は、

マンションの未来のメンテナンス予定表

ともいえるものです。

長期修繕計画は「作って終わり」ではない

ここも重要です。

30年前に作った長期修繕計画があるから安心、とは限りません。

建設費は変わります。

人件費も変わります。

設備価格も変わります。

実際の建物の劣化状況も、予想と同じとは限りません。

さらに築年数が進めば、

給排水管。

エレベーター。

機械式駐車場。

玄関ドア。

サッシ。

など、大規模修繕とは別の設備更新が必要になる場合もあります。

そのため長期修繕計画は、定期的に見直して現実に合わせていく必要があります。

マンション管理を見るときは、

「長期修繕計画がありますか?」

だけでなく、

「いつ見直しましたか?」

まで確認したいところです。

国も「管理の良いマンション」を評価するようになっている

マンション管理の重要性は、国の制度にも表れています。

現在、日本には「マンション管理計画認定制度」があります。

一定の基準を満たすマンションの管理計画について、地方公共団体が認定する制度です。

認定基準には、

管理組合の運営。

管理規約。

経理。

長期修繕計画。

修繕積立金。

などが含まれています。

さらに国土交通省では、マンション関連法の改正を踏まえ、2027年4月から管理計画認定制度を拡充する予定です。

つまりマンション市場は少しずつ、

「築何年か」だけではなく、「どう管理されているか」を評価する方向

へ動いていると考えられます。

エントランスを見るだけでも管理状態は少し分かる

中古マンションを内見すると、多くの人は室内を重点的に見ます。

キッチン。

浴室。

リビング。

収納。

眺望。

もちろん大切です。

しかし、マンション全体の管理を見るなら、部屋へ入る前からチェックは始まっています。

エントランスはきれいか。

郵便受け周辺にチラシが散乱していないか。

掲示板は整理されているか。

廊下や階段は清掃されているか。

駐輪場は乱れていないか。

ゴミ置き場は管理されているか。

植栽は手入れされているか。

こうした場所には、そのマンションの日常的な管理状態が表れます。

ただし、見た目がきれいだから財務状態も良好とは限りません。

そのため、

現地を見ることと、管理資料を見ることの両方が必要

です。

中古マンションなら「総会議事録」も重要な資料

さらに一歩踏み込むなら、管理組合の総会議事録なども確認したい資料です。

そこには、

修繕積立金の値上げ。

大規模修繕。

設備故障。

漏水。

駐車場問題。

管理会社変更。

住民間のルール。

管理規約変更。

など、マンションが抱えている課題が記録されている場合があります。

中古マンションを買うということは、専有部分だけを買うことではありません。

その建物の管理にも参加することになります。

だからこそ、

「このマンションでは今、何が話し合われているのか」

を知ることは重要です。

管理が悪いと「売るとき」にも影響する

管理状態が重要なのは、自分が住んでいる間だけではありません。

将来売却するときにも関係します。

購入希望者が、

修繕積立金が不足している。

大規模修繕が延期されている。

建物が傷んでいる。

管理組合が機能していない。

近いうちに大きな一時金が必要になる。

と知ったらどうでしょうか。

購入をためらう可能性があります。

反対に、

修繕計画がある。

積立金も計画的に確保している。

共用部分がきれい。

修繕履歴が分かる。

管理組合がきちんと運営されている。

というマンションなら、購入検討者にとって安心材料になります。

つまり管理は、

「住み心地」だけでなく「将来の売りやすさ」にも関係する要素

なのです。

「立地が良ければ管理は関係ない」は本当?

不動産では、

「結局は立地がすべて」

と言われることがあります。

確かに立地は非常に重要です。

駅から近い。

都心へのアクセスが良い。

生活利便性が高い。

人気の住宅地にある。

こうした条件は簡単には変えられません。

しかし、どれほど立地が良くても建物は年を取ります。

築10年。

築20年。

築30年。

築40年。

と時間が経過すれば、

同じエリアのマンション同士で「管理状態の差」が見えやすくなります。

立地は変えられません。

そして過去の管理履歴も、後から簡単に作り直すことはできません。

だから中古マンションでは、

「立地+管理」

という視点が重要になります。

マンションを買うことは「建物の未来」に参加すること

戸建て住宅なら、屋根を修理するか、外壁を塗るかは基本的に所有者自身で決められます。

しかしマンションでは違います。

外壁。

屋上。

廊下。

エレベーター。

エントランス。

給排水設備。

などは多くの所有者で共有しています。

そのため、一人だけで自由に修繕することはできません。

所有者同士で話し合い、費用を負担しながら建物を維持していきます。

つまりマンションを購入するということは、

部屋を買うだけではありません。

そのマンションの未来を、ほかの所有者と一緒に維持していく立場になること

でもあるのです。

ここがマンション購入の面白さであり、難しさでもあります。

まとめ

「マンションは管理で選ぶ」第1回は、マンションの資産価値を考えるうえで重要な「管理」について取り上げました。

マンションは完成した瞬間から少しずつ年を重ねます。

そのため中古マンションでは、

築何年か。

駅から何分か。

価格はいくらか。

だけでなく、

その建物がこれまでどのように管理されてきたか

を見る必要があります。

管理費。

修繕積立金。

長期修繕計画。

大規模修繕。

管理組合。

総会議事録。

共用部分の状態。

こうした情報には、マンションの「現在」と「未来」が表れています。

特に覚えておきたいのは、

修繕積立金が安い=良いマンションではない

ということです。

毎月の負担が少なくても、将来必要な修繕費が不足していれば、値上げや一時金、工事延期などにつながる可能性があります。

そしてマンション管理は、自分が住んでいる間だけの問題でもありません。

将来その部屋を貸す。

売却する。

相続する。

というときにも、建物全体の状態は無視できません。

マンション選びでは、室内を見るだけではなく、

「この建物は10年後、20年後もきちんと維持されているだろうか」

という視点を持つことが重要です。

価格や立地だけでは見えないところに、マンションの本当の差が隠れているのかもしれません。

次回、第2回は、

「修繕積立金が安すぎるマンションは危険?値上げが起きる理由」

をテーマにします。

月5,000円だった修繕積立金が、なぜ1万円、2万円と上がることがあるのか。

そもそも、いくらなら適正なのか。

「段階増額積立方式」と「均等積立方式」の違いは何なのか。

そして中古マンションを購入する前に、修繕積立金の不足をどう見抜けばいいのか。

マンション購入後に「こんなはずではなかった」となりやすい、修繕積立金の仕組みと落とし穴を詳しく見ていきます。

引用元・参考元

  • 国土交通省「マンション標準管理規約」
  • 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・長期修繕計画標準様式」
  • 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
  • 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
  • 国土交通省「令和7年マンション関係法改正について」

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