国土交通省は2026年11月4日、建築物のライフサイクル全体で排出される二酸化炭素などの温室効果ガスを算定・評価する制度の創設に向け、第9回となる検討会を11月9日に開催すると発表しました。2028年度の制度開始を見据え、具体的な制度設計の方向性について本格的な議論が進められます。
今回の取り組みは、改正建築物省エネ法に基づくもので、大規模事務所に対する届出制度などの導入が予定されています。建築物の建設時から運用、解体に至るまでの環境負荷を統一基準で評価する枠組みづくりが進むことで、不動産業界の実務に大きな変化をもたらす節目となりそうです。
近年は脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しており、不動産の環境性能に対する関心も一段と高まっています。今回の検討会でどのような算定ルールや方針が議論されるのか、開発や投資に関わる関係者から広く注目が集まっています。
この記事のポイント
- 国交省が2026年11月4日、ライフサイクルカーボン評価の第9回検討会開催を発表しました。
- 2028年度の制度開始を見据え、具体的な制度設計の方向性や統一算定ルールが議論されます。
- 改正建築物省エネ法に基づき、大規模事務所に対する届出制度の導入などが予定されています。
- 建材製造から運用、解体までの排出量評価が進み、オフィス開発やESG投資に影響する可能性があります。
ニュースの概要と背景
国土交通省が発表した「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」は、建築分野における脱炭素化を実効性のある形で進めるための専門的な協議の場です。ライフサイクルカーボン(LCA)とは、建材の製造や建築工事、建物の使用期間中のエネルギー消費、そして最終的な解体・廃棄に至るまで、建物の一生を通じて発生する温室効果ガスの総排出量を指します。
これまでの省エネ施策では、主に建物を使用している期間の消費エネルギーを削減することが重視されてきました。しかし、カーボンニュートラルの実現に向けては、建物を建てる際や解体する際に発生する二酸化炭素の排出削減も避けて通れない課題となっています。こうした背景から、改正建築物省エネ法において新たな評価枠組みが位置づけられました。
2028年度の本格的な運用開始に向けては、大規模な事務所ビルを対象とした届出制度の整備などが計画されています。そのためには、どのような計算方法で排出量を把握するのかという統一的なルールの策定が不可欠です。第9回となる今回の検討会では、現場での実務負担や実効性を踏まえた、具体的な制度設計の骨子や方向性が話し合われる予定です。
不動産市場・投資家への影響
この制度設計の進展は、今後の不動産開発やビル運営の実務に直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に大規模事務所を開発するデベロッパーや建設会社にとっては、計画段階から建材の調達、施工、将来の解体計画に至るまで、環境負荷を客観的な数値として把握・管理する体制づくりが求められるようになる見通しです。
また、不動産投資市場においても、建物の環境性能に対する評価のあり方が大きく変わる契機となる可能性があります。近年はESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する投資家が増加しており、運用時だけでなく建設時を含めた総排出量の情報開示が、物件の資産価値や資金調達条件に影響を与えるケースが考えられます。
2028年度の制度開始までは一定の準備期間があるものの、大規模なオフィス開発は計画から竣工までに長い年月を要します。そのため、事業関係者は検討会で示される算定基準の議論を早い段階から把握し、今後のプロジェクトにどう反映すべきかを注視していく姿勢が大切です。
出典:第9回 建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会を開催します~2028年度制度開始に向けて、具体的な制度設計の方向性について議論します~ | 国土交通省





