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建築物の生涯CO2排出を評価へ、国交省が2028年度新制度の具体化に着手

2026/10/03
不動産市場

国土交通省は、建築物のライフサイクルカーボンの算定や評価等を促進する新制度について、2028年度の制度開始を見据えた具体的な制度設計の議論に着手しました。有識者らによる検討会が開催され、実効性のある制度運用の構築に向けた方向性の検討が本格的に進められています。

これまで建築物の環境対策においては、完成後の運用段階における省エネ性能や日常のエネルギー消費削減が中心的な評価軸となってきました。しかし今回の新制度では、建築資材の製造段階から建設工事の現場、さらには将来の解体や処分に至るまでの全過程で生じる生涯CO2(エンボディドカーボン)を把握し評価する仕組みが構築されます。

不動産業界や機関投資家にとっては、環境配慮型建築の基準や情報開示のあり方、さらには不動産開発の計画プロセス全体に大きな変革をもたらす重要な転換点として、今後の制度議論の進展に強い関心が寄せられています。

この記事のポイント

  • 国土交通省が2028年度の建築物ライフサイクルカーボン評価制度開始に向け検討会を開催
  • 資材製造から施工・解体に至る建築物の生涯CO2排出量を統一ルールで算定・評価する枠組み
  • 大規模建築物を対象とした届出義務などの具体的な制度設計の方向性が議論されている
  • オフィスビル等の建材選定や建築コスト、ESG投資の評価軸に影響を与える可能性がある

ニュースの概要と背景

今回の動きは、成立した改正建築物省エネ法において新設された「建築物ライフサイクルカーボン評価制度」の具体化に向けたものです。国土交通省の「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」において、2028年度の制度運用開始を目標に掲げ、詳細な枠組みや実施に向けた方向性が話し合われています。

ライフサイクルカーボンとは、建築物が建設される前段階から廃棄される後段階まで、生涯にわたって発生する温室効果ガスの総排出量を指す概念です。日常の利用に伴う排出だけでなく、原材料の調達や建材の製造・輸送、施工現場での重機使用、さらには建物寿命を迎えた際の解体や部材のリサイクル・廃棄処分に至る全段階の環境負荷が含まれます。

検討会において重要な論点となっているのが、客観的で公平な統一的算定ルールの確立と、一定規模以上の大規模建築物を対象とする届出義務の導入です。これまで事業者ごとに算定手法が異なっていたり、生涯排出量の評価基準が不明瞭であったりした課題を解消し、国全体で共通の物差しを設けることが目指されています。

この新制度により、大規模開発を担う事業者が着工前から建物全体の環境負荷を把握し、国へ届出を行う枠組みが整備されることになります。運用の開始に向けて、どのような建物が届出の対象となるのか、どのような計算手法が指定されるのかといった具体的な制度設計が順次詰められていく段階にあります。

不動産市場・投資家への影響

新制度の創設は、今後のオフィスビルや大規模複合開発の計画立案、そして現場での建材選定のあり方に大きな影響を及ぼす見通しです。算定ルールが統一されることで、運用時の省エネ性能だけでなく、資材製造や施工時のCO2排出量が少ない建材や工法を積極的に選定する動きが現場レベルで加速すると予想されます。

また、建築物の生涯を通じたCO2排出量が明確に可視化されることで、不動産の環境認証や環境格付、さらにはESG投資における評価軸そのものが大きく見直される可能性があります。機関投資家や金融機関が不動産の投資適格性や資産価値を判断する際、エンボディドカーボンの削減度合いが直接的な評価指標として組み込まれる流れが強まります。

一方で、新たな統一算定ルールへの準拠や届出義務への対応は、設計や施工管理の業務負担を増やし、建築コスト全体の水準に影響を与える要因にもなり得ます。脱炭素対応の進展と同時に、コスト増や手続きの複雑化といった実務的な課題にどう対応していくかが開発主体の焦点となります。

不動産事業者や市場関係者、投資家にとっては、2028年度の制度開始までのスケジュールを常に把握し、届出対象となる大規模建築物の具体的な要件や算定基準の進捗状況を丁寧にフォローし続けることが極めて重要になります。

出典:第8回 建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会を開催します~2028年度制度開始に向けて、具体的な制度設計の方向性について議論します~ | 国土交通省

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