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【金利上昇時代の住宅ローン 第1回】住宅ローン金利が1%上がると返済額はいくら増える?4,000万円・5,000万円で比較

2026/10/01
不動産投資コラム

「住宅ローンの金利が1%上がる」

こう聞いても、実際に毎月の返済額がどのくらい変わるのかイメージしにくい人は多いのではないだろうか。

0.5%が1.5%になると聞けば、数字だけを見ればわずか1%の違いに感じる。

しかし住宅ローンは、数千万円を20年、30年、35年といった長期間にわたって返済していく。

そのためわずか1%の金利差でも、月々の返済額では数万円、総返済額では数百万円から1,000万円前後の差になることがある。

今回は、

4,000万円を35年で借りた場合

5,000万円を35年で借りた場合

について、金利が1%違うと返済額がどの程度変わるのかを具体的に比較する。

なお、この記事では金利上昇の影響を分かりやすくするため、元利均等返済・ボーナス返済なしで、各金利が35年間変わらないものとして試算している。

実際の変動金利型住宅ローンでは、金利や返済額の見直し方法が金融機関や商品によって異なるため、後半でその違いについても説明する。

住宅ローンでは「1%」の差を小さく考えない

住宅ローンを比較していると、

0.5%
1.0%
1.5%
2.0%

といった数字を見る。

日常生活では、

「0.5%と1.5%なら1%しか違わない」

と感じるかもしれない。

しかし、住宅ローンの場合は借入額そのものが大きい。

4,000万円や5,000万円という元金に対して利息が発生し、それを35年間などの長期間にわたって支払うからである。

金利差を見るときには、

「何%違うか」だけでなく「毎月いくら違い、35年間ではいくら違うのか」

を見ることが重要である。

まず4,000万円・35年ローンで比較

最初に、

借入額4,000万円
返済期間35年
元利均等返済
ボーナス返済なし

という条件で比較する。

金利0.5%の場合

毎月返済額は約、

10万3,834円

となる。

35年間の総返済額は約、

4,361万円

である。

金利1.5%の場合

金利が1%上がって1.5%になると、毎月返済額は約、

12万2,474円

となる。

0.5%の場合と比べると、

月々約1万8,640円増加

する。

年間では約22万4,000円の増加である。

さらに35年間の総返済額は約、

5,144万円

となる。

0.5%の場合との差は約、

783万円

である。

4,000万円なら「1%上昇」で月約1.9万円増える

整理すると、

金利 月々返済額 35年間の総返済額
0.5% 約10万3,834円 約4,361万円
1.5% 約12万2,474円 約5,144万円
差 約1万8,640円 約783万円

となる。

つまり、4,000万円を35年間借りる条件では、

0.5% → 1.5%

という1ポイントの金利差によって、毎月約1万9,000円、総返済額では約780万円の差が出る計算になる。

※以下の試算も、金利が返済期間中一定だった場合の単純比較であり、融資手数料、保証料、団体信用生命保険料などは含まない。

5,000万円の場合はさらに影響が大きくなる

次は借入額を5,000万円にする。

条件は、

借入額5,000万円
返済期間35年
元利均等返済
ボーナス返済なし

である。

金利0.5%の場合

月々返済額は約、

12万9,793円

となる。

35年間の総返済額は約、

5,451万円

である。

金利1.5%の場合

月々返済額は約、

15万3,092円

となる。

差額は、

月々約2万3,300円

である。

年間では約28万円の増加となる。

35年間の総返済額は約、

6,430万円

である。

0.5%の場合と比較すると、

約979万円

増える計算になる。

5,000万円なら1%の差が約1,000万円になることも

比較すると次のようになる。

金利 月々返済額 35年間の総返済額
0.5% 約12万9,793円 約5,451万円
1.5% 約15万3,092円 約6,430万円
差 約2万3,300円 約979万円

5,000万円の借入では、わずか1ポイントの金利差でも、35年間では総返済額が約980万円変わる。

ほぼ1,000万円である。

住宅価格が高い地域などで借入額が大きくなればなるほど、金利の影響も大きくなることが分かる。

1.0%から2.0%になった場合は?

「0.5%から1.5%は少し極端なのでは?」

と感じる人もいるだろう。

そこで、

1.0% → 2.0%

でも比較してみる。

4,000万円・35年の場合

金利1.0%では、

月々約11万2,914円

金利2.0%では、

月々約13万2,505円

となる。

差額は、

月々約1万9,591円

である。

総返済額では、

金利1.0% 約4,742万円
金利2.0% 約5,565万円

となり、差は約、

823万円

である。

5,000万円・35年の場合

金利1.0%では、

月々約14万1,143円

金利2.0%では、

月々約16万5,631円

となる。

差額は、

月々約2万4,489円

である。

総返済額では約、

1,029万円

の差になる。

金利が高いところからさらに1%上がると差も大きくなる

同じ「1%上昇」でも、スタートする金利によって返済額の差は少し変わる。

35年返済の場合を比較すると次のようになる。

4,000万円の場合

金利の変化 上昇前 上昇後 月々の増加
0.5% → 1.5% 約10.4万円 約12.2万円 約1.86万円
1.0% → 2.0% 約11.3万円 約13.3万円 約1.96万円
1.5% → 2.5% 約12.2万円 約14.3万円 約2.05万円
2.0% → 3.0% 約13.3万円 約15.4万円 約2.14万円

5,000万円の場合

金利の変化 上昇前 上昇後 月々の増加
0.5% → 1.5% 約13.0万円 約15.3万円 約2.33万円
1.0% → 2.0% 約14.1万円 約16.6万円 約2.45万円
1.5% → 2.5% 約15.3万円 約17.9万円 約2.57万円
2.0% → 3.0% 約16.6万円 約19.2万円 約2.68万円

このように、借入額が大きくなるほど金利上昇の影響も大きくなる。

「月2万円」なら何とかなる?年間で考えてみる

月々2万円の増加だけを見ると、

「節約すれば何とかなる」

と思うかもしれない。

しかし年間にすると、

2万円 × 12か月

= 24万円

である。

10年間続けば単純計算で240万円になる。

例えば、

毎月の返済 12万円
↓
金利上昇後 14万円

となった場合、住宅費だけで年間24万円増える。

その間にも、

食費
電気代
教育費
保険料
自動車費用
マンションなら管理費・修繕積立金

などが上昇する可能性がある。

住宅ローンだけを単独で考えるのではなく、家計全体で金利上昇に耐えられるかを見る必要がある。

2026年は住宅ローン金利への関心が高まっている

住宅ローンを取り巻く金利環境は、以前の「超低金利が当たり前」という状況から変化している。

住宅金融支援機構が2026年1月に住宅ローン利用予定者1,500人を対象に実施した調査では、希望する金利タイプとして「変動型」を挙げた割合は37.0%だった。

2024年4月調査と比べると3.1ポイント低下しており、変動金利一辺倒ではなく、金利タイプを検討する動きがみられる。

一方、全期間固定金利型である「フラット35」の2026年9月の最頻金利は、返済期間21年以上35年以下の場合、年3.46%となっている。

変動金利と固定金利では仕組みが異なるため、単純に金利の数字だけを比較するのではなく、将来の金利変動リスクまで含めて考える必要がある。

では、変動金利が1%上がったら返済額もすぐ同じだけ増える?

ここは今回の記事でもっとも注意したいポイントである。

先ほどまでの試算は、

「最初からその金利で35年間借りた場合」

を比較したものである。

すでに変動金利型住宅ローンを返済している人の金利が1%上昇した場合、翌月から先ほどの表の返済額へ一気に変わるとは限らない。

金融機関の商品によっては、元利均等返済に、

5年ルール

と

125%ルール

を採用している場合がある。

住宅金融支援機構の金融機関向け調査では、変動型住宅ローンについて「5年間は返済額を変えず、その後の増加も最大125%まで」とする、いわゆる5年・125%ルールを採用している金融機関が多数を占めている。

ただし、すべての住宅ローンにこのルールが適用されるわけではない。

5年ルールとは?

例えば毎月10万円を返済しているとする。

適用金利が上昇したとしても、5年ルールがある元利均等返済では、一定期間は毎月の返済額そのものを変更しない仕組みがある。

ただし、

返済額が変わらない=金利上昇の影響がない

という意味ではない。

返済額10万円の内訳が、

元金7万円+利息3万円

だったものが、金利上昇によって、

元金5万円+利息5万円

のように変化する可能性がある。

つまり毎月支払う金額が同じでも、元金の減るスピードが遅くなるのである。

三井住友銀行でも、変動金利型・元利均等返済の場合、5年間は返済額を一定とし、その間に利率が変化した場合は元金と利息の割合を変更すると説明している。

125%ルールとは?

5年後など返済額を見直すタイミングで金利が大きく上昇していた場合でも、

新しい返済額を以前の返済額の125%までに抑える

という仕組みである。

例えばそれまで毎月10万円だった場合、

10万円 × 125%

= 12万5,000円

が上限となる。

急に10万円から15万円、20万円になることを防ぐ仕組みである。

ただし、これも「増えた利息が消える」という制度ではない。

金利が大きく上昇すると、元金の返済が遅れたり、条件によっては未払利息が発生したりする可能性もある。

「返済額が変わっていないから大丈夫」とは限らない

変動金利型を利用している場合、

「銀行から引き落とされる金額は以前と同じだから問題ない」

と考えるのは注意が必要である。

確認したいのは、

現在の適用金利

毎月の返済額

返済額のうち元金はいくらか

利息はいくらか

現在のローン残高はいくらか

である。

特に5年ルールがある場合、金利が上がっても返済額がすぐには変化しないため、家計上の影響が見えにくい。

住宅ローンの返済予定表や金融機関のWebサイト・アプリなどで、元金と利息の内訳も確認しておきたい。

住宅ローンは「借りられる金額」より「返せる金額」

住宅を購入するときは、

「銀行はいくらまで貸してくれるのか」

が気になりやすい。

しかし住宅ローンは35年など非常に長い期間返済する可能性がある。

その間には、

金利上昇
収入の変化
子どもの教育費
自動車の買い替え
住宅の修繕
病気や介護

など、さまざまな変化が起こる。

そのため、

現在の低い金利でギリギリ返済できる金額

ではなく、

金利が1%、2%上がったとしても家計を維持できる金額

を考えることが重要である。

借りる前に「金利上昇シミュレーション」をしておく

住宅ローンを検討するときには、現在提示されている金利だけで返済額を計算するのではなく、

現在の金利

+0.5%

+1.0%

+2.0%

と金利を変えて試算してみるとよい。

例えば5,000万円を借りようとしている人なら、

「金利0.5%なら約13万円だから払える」

だけで判断せず、

金利1.5%なら約15.3万円
金利2.0%なら約16.6万円
金利3.0%なら約19.2万円

という返済額も確認する。

そのうえで、

月19万円になっても生活できるか

まで考えておけば、金利上昇リスクをより具体的に判断できる。

固定金利なら金利上昇を気にしなくていい?

全期間固定金利型の場合、借入時に将来の金利と返済額が確定する。

住宅金融支援機構の「フラット35」も、資金受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定する商品である。

そのため、借入後に市場金利が上昇しても、基本的に住宅ローンの適用金利は変わらない。

一方で、一般的には借入時点の固定金利は変動金利より高く設定されることが多い。

つまり、

現在の返済額を低く抑えやすい代わりに将来の金利上昇リスクを負う変動金利

と、

借入時の金利は比較的高くても将来の返済額を確定できる固定金利

という違いがある。

この違いについては、次回詳しく解説する。

「1%上がったら破綻する」住宅ローンは避けたい

住宅ローンを組む際に重要なのは、

「今払えるか」

だけではない。

35年間の間に環境が変化しても返済を続けられるかが重要である。

例えば5,000万円を35年間借りた場合、

0.5%なら月約13万円

1.5%なら月約15.3万円

2.5%なら月約17.9万円

となる。

家計に毎月5万円程度の余裕がある家庭と、毎月ほとんど余裕がない家庭では、同じ住宅ローンでも金利上昇への耐久力はまったく異なる。

住宅価格や借入可能額だけではなく、金利上昇後の家計まで想定して借入額を決めることが重要である。

まとめ

住宅ローンでは、金利1%の違いを小さく考えない方がよい。

4,000万円を35年間借りる場合、

0.5% → 1.5%

では、月々の返済額が約1万8,600円増え、総返済額では約783万円の差となる。

5,000万円の場合には、

月々約2万3,300円増え、総返済額の差は約979万円となる。

つまり金利1%の差が、35年間では約1,000万円の違いになることもある。

ただし、これは同じ金利が35年間続くものとして比較した試算である。

実際の変動金利型住宅ローンでは、金利見直しのタイミングや5年ルール、125%ルールなど、金融機関や商品によって返済額の変わり方が異なる。

重要なのは、

現在の金利だけで住宅ローンを考えないこと

である。

住宅ローンを検討するときには、

「金利が1%上がったら?」

「2%上がったら?」

というシミュレーションも行い、その返済額でも家計を維持できるかを確認しておきたい。

次回は、

「変動金利と固定金利は何が違う?住宅ローンの仕組みをわかりやすく解説」

をテーマに、変動金利・固定期間選択型・全期間固定金利の違いと、それぞれどのようなリスクがあるのかを詳しく解説する。

引用元・参考元

  • 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」
  • 住宅金融支援機構「フラット35 金利情報(2026年9月)」
  • 住宅金融支援機構「変動型住宅ローン・返済額の見直しルールに関する調査」
  • 三井住友銀行「変動金利が上昇した場合の返済額への影響」
  • 三井住友銀行「金利上昇時の住宅ローン返済プランの見直し方法」

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