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【連載コラム:東京「陸の孤島」の住みやすさ 第3回】足立区鹿浜は車が必要?駅から遠い街の家賃と交通事情を検証

2026/08/31
連載

東京23区で家賃を抑えながら、ある程度の広さも確保したい。

そんな条件で物件を探していくと、駅から少し離れた住宅地が候補に入ってきます。

今回取り上げるのは、足立区北西部に位置する鹿浜です。

鹿浜には鉄道駅がありません。

そのため「車がないと住めないのでは?」「通勤が大変そう」と感じる人もいるでしょう。

しかし現在は日暮里・舎人ライナーの西新井大師西駅や谷在家駅を利用できる場所もあり、さらに西新井駅や赤羽駅方面へ向かうバスもあります。

では、鹿浜は本当に「車必須」の街なのでしょうか。

今回は交通、家賃、駐車場、買い物、病院、水害リスクまで含めて、鹿浜の住みやすさを検証します。

鹿浜には鉄道駅がない

鹿浜は1丁目から8丁目まである比較的広い地域です。

そして大泉学園町や深沢と同じく、町内には鉄道駅がありません。

ただし、「鹿浜=どこからも駅が遠い」というわけでもありません。

鹿浜の東側では、日暮里・舎人ライナーの西新井大師西駅や谷在家駅が利用しやすい場所があります。

東京都交通局によると、西新井大師西駅の所在地は足立区江北6丁目、谷在家駅は足立区谷在家3丁目です。つまり駅そのものは鹿浜の外にあります。 (東京交通情報)

ここで重要なのが、

鹿浜の何丁目に住むかによって交通事情がかなり変わる

という点です。

鹿浜7丁目・8丁目など東側と、荒川に近い鹿浜1丁目・2丁目周辺では、同じ「鹿浜」でも駅へのアクセス方法が異なります。

物件情報に「鹿浜」と書かれているだけで交通利便性を判断するのは難しい街なのです。

日暮里・舎人ライナーの開業で交通事情は変わった

鹿浜周辺の交通を考えるうえで大きな存在が、日暮里・舎人ライナーです。

日暮里・舎人ライナーは日暮里駅から見沼代親水公園駅までを結び、全13駅、営業距離9.7kmの新交通システムです。東京都交通局によると、全線の所要時間は約20分となっています。 (東京交通情報)

鹿浜から利用しやすいのが、西新井大師西駅や谷在家駅です。

そこから日暮里・西日暮里方面へ移動できるため、JR山手線や京浜東北線、東京メトロ千代田線などへの乗り換えを考えやすくなります。

つまり鹿浜は、

「町内に駅はないものの、東側なら日暮里・舎人ライナーを使える」

という立地です。

これは、鉄道駅から完全に離れた住宅地とは少し事情が異なります。

日暮里・舎人ライナーは朝の本数も多い

通勤で利用するなら気になるのが運行本数です。

東京都交通局が公開している時刻表では、西新井大師西駅・谷在家駅から日暮里方面へ向かう列車は、平日の朝7~8時台には数分間隔で運行されています。 (東京交通情報)

「本数が少なく、一本逃すと長時間待つ」というタイプの路線ではありません。

一方で、鹿浜の自宅から駅までどう移動するかは別問題です。

徒歩なのか。

自転車なのか。

バスなのか。

ここまで含めて通勤時間を考える必要があります。

例えば、

自宅→自転車→西新井大師西駅→日暮里・舎人ライナー→西日暮里→都心

というように、複数の移動を組み合わせるケースも考えられます。

駅徒歩5分の物件と比べれば、当然ながら手間は増えます。

鹿浜では「バス」がかなり重要

鹿浜の交通を考えるなら、鉄道だけを見てはいけません。

実は鹿浜は、バスを使うことで行動範囲が広がる地域です。

足立区の鹿浜区民事務所へのアクセス案内を見ると、西新井駅西口方面からの東武バス、赤羽駅東口と西新井駅を結ぶ国際興業バス、コミュニティバス「はるかぜ」などが利用できます。 (足立区公式ウェブサイト)

さらに鹿浜2丁目にある足立区都市農業公園へのアクセスを見ると、西新井駅、西新井大師西駅、赤羽駅、赤羽岩淵駅、川口駅など複数方面からバスでアクセスできることが案内されています。 (足立区公式ウェブサイト)

つまり鹿浜では、

「最寄り駅を一つ決める」より「目的地によってバスと駅を使い分ける」

という考え方が現実的です。

赤羽方面へ出られるのは意外なメリット

足立区というと、北千住や西新井方面への移動をイメージする人が多いでしょう。

しかし鹿浜の面白いところは、荒川を越えて赤羽方面へ向かう選択肢があることです。

鹿浜五丁目などからは、国際興業バスを利用して赤羽駅方面へ移動できます。足立区の都市農業公園への案内でも、赤羽駅東口から荒川大橋を経由する西新井駅行きのバスが案内されています。 (足立区公式ウェブサイト)

赤羽駅はJRの複数路線が利用できるため、勤務地によっては日暮里・舎人ライナーより赤羽へ出た方が便利なケースも考えられます。

鹿浜で物件を探すなら、

「最寄り駅はどこ?」

だけではなく、

「自分の勤務先なら、どの駅へ出るのが一番楽か?」

まで確認しておくとよいでしょう。

自転車があると生活はかなり変わる

鹿浜で車を持たない場合、自転車は重要な移動手段になります。

徒歩では少し遠く感じる西新井大師西駅や谷在家駅も、物件の場所によっては自転車を利用することで現実的な距離になる可能性があります。

買い物でも同じです。

駅前だけに店舗が集中している街とは違い、鹿浜周辺では幹線道路沿いや住宅地の中にも店舗があります。

そのため、

駅まで自転車。

スーパーまで自転車。

病院まで自転車。

という生活スタイルが考えられます。

ただし毎日の通勤で利用するなら、駅周辺の駐輪場、雨天時の代替手段、実際の道路の走りやすさなども確認しておきたいところです。

「車がないと生活できない」は言い過ぎ

では、鹿浜は車必須なのでしょうか。

結論からいえば、

車がなくても生活は可能だが、車があると便利さが大きく上がる地域

と考えるのがよいでしょう。

日暮里・舎人ライナー。

路線バス。

コミュニティバス。

自転車。

これらを組み合わせれば、車を所有しなくても移動できます。

一方、

子どもの送り迎え。

週末のまとめ買い。

家族での外出。

雨の日の移動。

大きな荷物の買い物。

などでは、車のメリットが大きくなります。

第2回の深沢でも車の便利さを紹介しましたが、鹿浜ではさらに**「車を生活の中心に置く」という選択肢を取りやすい街**といえるでしょう。

月極駐車場は1万円台前半が一つの目安

車を持つなら気になるのが駐車場代です。

2026年8月時点の民間月極駐車場検索サービスを見ると、鹿浜の平均賃料はサイトによって約1万2,000円~1万5,000円程度となっています。

例えばアットパーキングでは掲載48カ所の平均賃料が12,089円、カーパーキングでは平均14,999円とされています。集計対象や掲載物件が異なるため数字には幅がありますが、1万円台前半を中心に探せるケースがあると考える材料にはなります。 (アットパーキング)

もちろん、実際の料金は場所、舗装、屋根、車両サイズなどで変わります。

それでも都心の駅近エリアで車を持つ場合と比較すると、駐車場込みの生活を検討しやすい地域といえるでしょう。

賃貸物件なら、家賃だけでなく、

家賃+駐車場代+交通費

の合計で比較することが重要です。

鹿浜の家賃はどのくらい?

鹿浜を選ぶメリットとして気になるのが家賃です。

CHINTAIが2026年8月26日時点の掲載物件から算出した相場では、築20年以内という条件で、

1Kが6.9万円
1LDKが8.3万円
2LDKが12.05万円

となっています。管理費や駐車場代などは含まれていません。 (賃貸ネット)

もちろん、掲載物件の数や築年数、面積などによって相場は変動します。

それでも鹿浜を検討する人にとって重要なのは、

「駅から遠い代わりに、住宅費と広さのバランスを取りやすいか」

という点です。

例えば都心寄りの人気駅周辺で1LDKを探していた予算でも、鹿浜まで候補を広げれば、より広い間取りを検討できる可能性があります。

「安い家賃」だけで選ぶと失敗する

ただし、

「鹿浜は駅から遠いから家賃が安い。だからお得」

と単純に考えるのはおすすめできません。

駅遠物件には、別のコストが発生することがあります。

例えば車を所有すれば、

駐車場代。

ガソリン代。

自動車保険。

税金。

車検・メンテナンス費。

などがかかります。

バス通勤ならバス代が追加される場合もあります。

駅まで自転車なら駐輪場代も考える必要があります。

つまり比較すべきなのは家賃だけではありません。

毎月の「移動費+住居費」で比較する

ことが重要です。

家賃が月2万円安くなっても、そのために車を新たに所有するのであれば、家計全体では安くならない可能性もあります。

日常の買い物は駅まで行かなくてもできる

鹿浜は駅前商業地ではありませんが、地域内や周辺には日常の買い物に使える店舗があります。

例えば鹿浜2丁目にはスーパーベルクス 足立鹿浜店、鹿浜7丁目にはコモディイイダ鹿浜店、鹿浜8丁目にはビッグ・エー 足立鹿浜店があります。

つまり、

「電車に乗って駅前まで行かなければ食料品を買えない」

という地域ではありません。

むしろ車や自転車を使う生活では、駅前より自宅周辺の店舗の方が重要になることがあります。

物件を内見するときは、最寄り駅だけでなく、

「普段使うスーパーはどこか」

「徒歩で行けるか」

「自転車なら何分か」

まで確認すると、実際の生活をイメージしやすくなります。

医療機関があることもファミリーには重要

鹿浜には医療機関もあります。

例えば鹿浜5丁目には博慈会記念総合病院があります。

また鹿浜3丁目には鹿浜会 足立鹿浜病院があり、周辺の江北には東京女子医科大学附属足立医療センターもあります。

子育て世帯や高齢の家族と暮らす場合、

「駅まで何分か」

だけでなく、

「病院までどう行くか」

も重要です。

駅遠住宅地ほど、生活に必要な施設が自宅周辺にあるかどうかが住みやすさを左右します。

鹿浜ならではの魅力「都市農業公園」

鹿浜には、駅近住宅地とは違った魅力もあります。

鹿浜2丁目にある足立区都市農業公園です。

足立区によると、所在地は鹿浜2丁目44番1号。公共交通では西新井駅、西新井大師西駅、赤羽駅、赤羽岩淵駅、川口駅など複数方面からアクセスできます。 (足立区公式ウェブサイト)

こうした自然に触れられる場所が身近にあることは、特に子育て世帯にとって魅力になるでしょう。

駅徒歩を最優先にすると見落としがちですが、

「休日をどこで過ごすか」

も住宅地選びの重要なポイントです。

鹿浜では「水害リスク」を必ず確認したい

一方、鹿浜の物件選びで外せないのが防災面です。

鹿浜は荒川に近い地域です。

足立区は「洪水・内水・高潮ハザードマップ」を公開しており、荒川をはじめ複数河川の氾濫、内水氾濫、高潮などについて浸水想定や浸水継続時間を確認できるようにしています。 (足立区公式ウェブサイト)

足立区のハザードマップは、想定最大規模の降雨などを前提として作成されています。 (足立区公式ウェブサイト)

鹿浜で物件を借りる・購入する場合には、

「足立区だから危険」
「鹿浜だから危険」

と地域名だけで判断するのではなく、実際の物件所在地をハザードマップで確認することが重要です。

1階と上階では考え方が変わる

水害リスクのある地域では、同じ住所でも建物によって条件が変わります。

例えばマンションなら、

何階の部屋なのか。

電気設備はどこにあるのか。

エレベーターが停止した場合どうするのか。

避難先はどこか。

浸水が長期化した場合に生活を続けられるか。

なども確認したいところです。

戸建ての場合も、浸水深の想定や避難経路を確認しておく必要があります。

重要なのは、

「ハザードマップに色が付いているから住まない」

と機械的に決めることではありません。

どの程度のリスクが想定され、そのリスクを自分が許容できるか、どのような備えが必要なのかを理解して選ぶことです。

駅から遠い物件ほど「夜の帰宅」を試してみたい

鹿浜のような地域で物件を探すなら、昼間の内見だけでは判断しない方がよいでしょう。

おすすめなのは、実際の通勤時間帯に移動してみることです。

例えば会社員なら、

自宅候補からバス停まで歩く。

バスで駅へ向かう。

日暮里・舎人ライナーに乗る。

帰宅時間にも同じルートを使ってみる。

これだけでも、物件情報から受ける印象はかなり変わります。

特に確認したいのは、

夜のバス本数
駅から自宅までの道
街灯
交通量
雨の日の移動方法

です。

駅徒歩5分なら多少の雨でも歩けます。

しかし徒歩20分以上になると、雨の日の負担は一気に大きくなります。

駅遠物件では「晴れた日の便利さ」ではなく、条件の悪い日にどう移動するかまで考える必要があります。

鹿浜が向いているのはどんな人?

鹿浜と相性が良いのは、

住居費を抑えながら広さも欲しい人
車を所有している、または所有予定の人
自転車移動が苦にならない人
バス通勤を許容できる人
在宅勤務が多い人
子育て世帯
駅徒歩より住宅の広さを重視する人

などでしょう。

特に毎日駅を利用しない人なら、駅から遠いというデメリットは小さくなります。

反対に、

駅徒歩10分以内が絶対条件
毎日都心へ電車通勤する
深夜帰宅が多い
バスや自転車を使いたくない
車も持たない

という人には、鹿浜は不便に感じる可能性があります。

「東京23区なら駅近」という条件を外すと選択肢が増える

東京の物件探しでは、SUUMOなどの検索サイトで最初に、

「駅徒歩10分以内」

と設定する人も多いでしょう。

しかし、この条件を設定すると鹿浜の多くの物件は候補から外れます。

そこで一度、

「駅徒歩20分以上・バス利用可」

まで検索条件を広げてみる。

すると同じ家賃でも、

広い部屋。

駐車場付き物件。

ファミリー向け間取り。

などが見つかる可能性があります。

もちろん駅遠には明確なデメリットがあります。

しかし、駅徒歩という条件に毎月どのくらいのお金を払うのかを考えると、住まい選びの見方が変わってきます。

まとめ

足立区鹿浜は、町内に鉄道駅がない「駅遠住宅地」です。

しかし、

日暮里・舎人ライナー
路線バス
コミュニティバス
自転車

という複数の移動手段があります。

特に鹿浜の東側では西新井大師西駅や谷在家駅を利用しやすく、日暮里・西日暮里方面へ移動できます。 (東京交通情報)

また西新井駅だけでなく、赤羽駅方面へ向かうバスがあることも鹿浜の特徴です。 (足立区公式ウェブサイト)

家賃についても、2026年8月時点のCHINTAI掲載物件から算出された相場では、築20年以内で1LDKが8.3万円、2LDKが12.05万円となっています。 (賃貸ネット)

駅近だけにこだわらず、

「同じ予算でどのくらい広い家に住めるか」

という視点では検討する価値があります。

一方で注意したいのが、

交通費と車の維持費、そして水害リスク

です。

家賃が安くても車を所有することで支出が増える場合があります。

また鹿浜は荒川に近いため、足立区の洪水・内水・高潮ハザードマップを確認し、検討している住所の浸水想定や避難方法を把握しておくことも欠かせません。 (足立区公式ウェブサイト)

つまり鹿浜は、

「駅から遠いから安い街」

という一言だけでは評価できません。

大切なのは、

家賃+交通費+車+通勤時間+災害リスク

をまとめて考えることです。

駅徒歩5分の1LDKに住むのか。

駅から離れた2LDKに住み、自転車や車を使うのか。

どちらが正解というわけではありません。

自分の働き方や家族構成によって答えは変わります。

鹿浜は、東京23区の住まい探しで「駅徒歩」という条件を一度外してみると、選択肢がどこまで広がるのかを考えるには面白い街です。

次回、第4回は世田谷区・宇奈根/鎌田です。

二子玉川からそれほど遠くない場所にありながら、鉄道駅から距離がある住宅地です。

そこで次回は、

「二子玉川の近くなのに、なぜ駅が遠い?」

をテーマに、バス、自転車、車、家賃、買い物事情を検証します。

「二子玉川に住みたいけれど家賃が高い」という人にとって、宇奈根・鎌田は代替候補になるのでしょうか。

人気エリアのすぐ近くにある「駅遠住宅地」の実力を見ていきます。

引用元・参考元

  • 東京都交通局「日暮里・舎人ライナー」
  • 東京都交通局「西新井大師西駅・谷在家駅」
  • 足立区「鹿浜区民事務所」
  • 足立区「足立区都市農業公園」
  • 足立区「洪水・内水・高潮ハザードマップ」
  • CHINTAI「足立区鹿浜の家賃相場」
  • 月極駐車場検索各社「足立区鹿浜の月極駐車場相場」

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