「吉祥寺に住みたい」。
東京で部屋探しをする人にとって、吉祥寺は昔から知名度の高い街の一つです。駅前には大型商業施設や飲食店が集まり、少し歩けば井の頭恩賜公園もある。JR中央線・総武線だけでなく京王井の頭線も利用でき、都心へのアクセスにも恵まれています。
しかし、人気があるということは、それだけ住宅需要も集まりやすいということです。
そこで今回の「1駅ずらし」で注目するのが、吉祥寺の隣にある三鷹駅です。
「吉祥寺に住みたいけれど家賃が高い」という人が三鷹まで検索範囲を広げると、どの程度違いがあるのでしょうか。
今回は2026年夏時点の家賃相場を確認しながら、吉祥寺と三鷹の交通アクセス、買い物環境、街の特徴を比較します。
吉祥寺から三鷹まではJR中央線でわずか1駅
吉祥寺と三鷹はJR中央線で隣り合っています。
位置関係は、
西荻窪 → 吉祥寺 → 三鷹 → 武蔵境
です。
「1駅ずらす」と聞くと、通勤時間が長くなるイメージを持つかもしれません。
しかし、吉祥寺と三鷹の距離はそれほど大きくありません。電車を利用すれば数分程度の距離です。
そのため、
「休日は吉祥寺へ行きたい」
「吉祥寺の店や井の頭公園を利用したい」
という人でも、三鷹を生活拠点にする選択肢があります。
今回の企画で重要なのは、単純に「安い街へ移動する」ことではありません。
住みたかった街を生活圏に残しながら、住む駅だけを変えてみる。
三鷹は、その考え方が非常に分かりやすい駅です。
1Kなら吉祥寺9.69万円、三鷹8.83万円
まず家賃を比較してみましょう。
LIFULL HOME’Sが公表している家賃相場では、駅徒歩10分以内の賃貸物件を基準とした1Kの相場は、
吉祥寺駅 9.69万円
三鷹駅 8.83万円
となっています。管理費や駐車場代などを除いたデータです。 (ライフルホームズ)
差は月額約8,600円。
単純計算すれば、1年間で約10万3,000円になります。
ただし、ワンルームを見ると吉祥寺8.69万円、三鷹8.74万円で、ほとんど差がありません。つまり、「三鷹なら何でも安い」とは限らないことも分かります。 (ライフルホームズ)
家賃相場は募集されている物件の築年数や広さなどにも左右されるため、駅名だけで安い・高いを判断するのは禁物です。
それでも1Kでは、三鷹まで検索範囲を広げることで家賃を抑えられる可能性があります。
1LDKになると差はさらに大きくなる
一人暮らしでも広めの部屋が欲しい人や、二人暮らしを考えている人はどうでしょうか。
同じLIFULL HOME’Sの家賃相場では、
1LDK
吉祥寺 19.38万円
三鷹 17.07万円
となっています。 (ライフルホームズ)
差は月額約2万3,100円です。
年間で単純計算すると約27万7,000円になります。
さらに2026年7月24日時点の沿線比較では、1LDK・2K・2DKのカテゴリーで吉祥寺18.83万円、三鷹16.75万円、2LDK・3K・3DKでは吉祥寺24.40万円、三鷹22.90万円となっています。 (ライフルホームズ)
物件の広さを求めるほど、1駅ずらしによる違いが見えやすくなるケースがあります。
例えば同じ18万円の予算なら、
「吉祥寺で狭い部屋」
だけを探すのではなく、
「三鷹で少し広い部屋や駅に近い部屋を探す」
という選択肢も出てきます。
家賃を下げるだけが1駅ずらしの目的ではありません。
同じ予算で住宅条件を上げられないかを考えることも、この探し方のポイントです。
吉祥寺最大の魅力は「駅前でほとんど完結する」こと
もちろん、吉祥寺の家賃が高くなりやすいのには理由があります。
大きな魅力は、駅周辺の商業環境です。
買い物、外食、映画、カフェなど、日常生活から休日までさまざまな用途を駅周辺で済ませられます。
LIFULL HOME’Sが実際の居住者を対象に行った調査でも、吉祥寺は「買い物のしやすさ」が5点満点中4.3、「交通の利便性」が4.4と評価されています。 (ライフルホームズ)
さらに井の頭恩賜公園が近く、商業エリアと自然が近接しているのも吉祥寺らしさです。
交通面でもJR中央線・総武線に加え、京王井の頭線が利用できます。
つまり吉祥寺に住むということは、単に「中央線沿線に住む」のではありません。
吉祥寺という街そのものの便利さを日常的に利用できることに家賃を払う
とも考えられます。
三鷹は吉祥寺ほど派手ではない。でも「住む駅」として強い
一方の三鷹は、吉祥寺ほど「休日に遊びに行く街」というイメージは強くありません。
しかし、それが住む場所としての弱点とは限りません。
駅周辺には日常生活に必要な商業施設や飲食店があり、駅から少し離れれば住宅街が広がります。
そして大きなメリットとなるのが交通です。
三鷹はJR中央線の主要駅で、中央線快速に加えて中央・総武線各駅停車も利用できます。
さらに、中央・総武線各駅停車や東京メトロ東西線へ直通する列車について、三鷹始発を利用できる時間帯があります。
LIFULL HOME’Sの三鷹駅紹介でも、総武線・東西線の始発駅であることが通勤上のメリットとして紹介されています。 (ライフルホームズ)
毎朝都心へ通勤する人にとって、
「人気の街に住むこと」より「始発電車を利用できること」
の方が生活の満足度に影響する場合もあるでしょう。
「吉祥寺より1駅遠い=交通が不便」とは限らない
1駅ずらしで面白いのが、この点です。
通常、都心から離れるほど交通利便性が落ちると考えます。
しかし三鷹の場合、単純にはそういえません。
吉祥寺には京王井の頭線があるため、渋谷方面へのアクセスでは大きな強みがあります。
一方、三鷹はJRを利用した都心方面への移動に強みがあります。
つまり、
渋谷方面への移動が多いなら吉祥寺
新宿・東京方面への通勤を中心に考えるなら三鷹も有力
というように、生活スタイルによって評価が変わります。
「どちらが便利か」ではなく、
「自分が毎日どこへ行くのか」
で判断した方が合理的です。
吉祥寺を「住む街」ではなく「遊ぶ街」にする
三鷹に住んだからといって、吉祥寺を諦める必要はありません。
ここが1駅ずらしの最大のポイントです。
吉祥寺へは電車で1駅です。
場所によっては自転車などで行動範囲を広げることも考えられます。
例えば休日に、
「吉祥寺でランチをする」
「買い物をする」
「井の頭公園を散歩する」
という生活は、三鷹に住んでも可能です。
そこで考えたいのが、
「吉祥寺の便利さを週に何回使うのか」
ということです。
毎日のように駅周辺の飲食店や商業施設を利用するなら、吉祥寺に住む価値は大きいでしょう。
一方、吉祥寺へ行くのは休日が中心なら、その便利さのために毎月高めの家賃を負担する必要があるのか、一度考えてみてもよいかもしれません。
「駅徒歩10分の吉祥寺」と「駅徒歩5分の三鷹」なら?
第1回でも紹介しましたが、1駅ずらしでは駅徒歩との組み合わせが重要です。
例えば同じ予算で、
吉祥寺駅徒歩12分
と
三鷹駅徒歩5分
の物件が見つかったとします。
駅の知名度だけなら吉祥寺を選びたくなるかもしれません。
しかし、毎日の通勤では駅まで歩きます。
片道7分違えば、往復で14分。
週5日通勤なら、単純計算で1週間に70分です。
さらに雨の日、真夏、真冬、荷物の多い日もあります。
そう考えると、
「人気駅から遠い物件」と「隣駅の駅近物件」
を比較する意味が出てきます。
東京の部屋探しでは、「何駅に住むか」だけではなく、玄関から目的地まで何分かかるのかで考えることも大切です。
吉祥寺と三鷹では「街のにぎやかさ」も違う
家賃や交通だけでなく、街の雰囲気も比較したいところです。
吉祥寺駅周辺は商業施設や飲食店が多く、休日には多くの人が訪れます。
これは非常に便利な反面、
「休日の人混みが苦手」
「自宅周辺はもう少し落ち着いていてほしい」
という人にはデメリットになることもあります。
三鷹は吉祥寺と比較すると、駅周辺の商業的な華やかさは控えめです。
しかし、
遊ぶ場所は吉祥寺、住む場所は三鷹
と役割を分ければ、それがむしろメリットになる人もいます。
部屋探しでは「人気のある街=自分にとって住みやすい街」とは限りません。
三鷹でも高いなら「もう1駅」という考え方もある
今回の企画をさらに発展させると面白いことが分かります。
三鷹でも予算に合わなければ、さらに1駅先の武蔵境があります。
2026年7月24日時点のLIFULL HOME’Sの沿線比較では、ワンルーム・1K・1DKカテゴリーの相場は、
吉祥寺 9.52万円
三鷹 9.24万円
武蔵境 8.45万円
東小金井 7.72万円
となっています。 (ライフルホームズ)
1LDK・2K・2DKでは、
吉祥寺 18.83万円
三鷹 16.75万円
武蔵境 15.05万円
東小金井 12.81万円
です。 (ライフルホームズ)
都心から離れるほど必ず一定額ずつ下がるわけではありませんが、検索範囲を広げることで選択肢が変わることは分かります。
つまり、
「吉祥寺が高いから諦める」
ではなく、
吉祥寺→三鷹→武蔵境
と検索範囲を少しずつ動かしてみる方法があります。
どこまで行けば、自分が求める家賃と利便性のバランスになるのか。
これを探すのが「1駅ずらし」です。
家賃差が小さいなら、無理にずらす必要はない
ただし、三鷹を無条件におすすめするわけではありません。
実際、ワンルームの相場では吉祥寺と三鷹にほとんど差がありません。
物件によっては、
「これなら吉祥寺でいい」
というケースも当然あります。
だからこそ部屋探しでは、
同じ条件で両駅を検索する
ことが重要です。
家賃上限。
駅徒歩。
築年数。
専有面積。
バス・トイレ別。
オートロック。
2階以上。
自分に必要な条件をそろえて、吉祥寺と三鷹の両方で検索します。
駅単位の平均家賃より重要なのは、自分が求めている条件の物件が実際にいくらで募集されているかだからです。
「家賃の安さ」ではなく「何を残せるか」で考える
1駅ずらしで失敗しないためには、安さだけを見ないことです。
吉祥寺から三鷹へ移れば、京王井の頭線を駅から直接利用できなくなります。
吉祥寺駅前の商業施設も玄関を出てすぐ、というわけにはいきません。
その代わり、条件によっては家賃を抑えたり、同じ予算で広い部屋を探したりできる可能性があります。
さらにJR中心の通勤なら、三鷹始発を利用できるという別のメリットもあります。
つまり比較するべきなのは、
「吉祥寺と三鷹のどちらが上か」ではありません。
自分にとって必要な吉祥寺のメリットを残しながら、三鷹へ移ることで何が改善するのか。
そこを見ることが重要です。
まとめ
吉祥寺に住みたいものの、希望条件で探すと家賃が高い。
そんなときは、1駅隣の三鷹まで検索範囲を広げてみる価値があります。
現在のLIFULL HOME’Sの家賃相場では、1Kが吉祥寺9.69万円に対して三鷹8.83万円、1LDKでは吉祥寺19.38万円に対して三鷹17.07万円となっています。 (ライフルホームズ)
ただし、ワンルームでは両駅の相場がほぼ同じです。
つまり今回も、
「1駅ずらせば必ず安くなる」という話ではありません。
重要なのは、吉祥寺だけで物件検索を終わらせないことです。
三鷹まで候補に入れる。
人気駅徒歩10分以上と、隣駅の駅近物件を比べる。
同じ家賃なら、どちらの方が広いかを見る。
通勤先によっては、三鷹始発というメリットも考える。
そして吉祥寺は「住む街」ではなく、必要なときに1駅移動して「楽しむ街」にする。
こうした考え方ができれば、部屋探しの選択肢はかなり広がります。
東京で家賃を抑えたいとき、最初から遠い郊外まで探す必要はありません。
まずは、
「希望している駅から1駅だけずらしたらどうなる?」
と検索してみる。
それだけで、家賃、広さ、駅距離のバランスが良い物件が見つかる可能性があります。
次回は中央線から少し都心側へ移り、**「中野」と「東中野」**を比較します。
一見すると「中野より東中野の方が安そう」と思うかもしれません。
しかし、家賃相場を実際に調べると、必ずしも単純な結果にはなりません。
「中野に住みたいなら東中野へずらせば本当にお得なのか?」
第3回では家賃だけでなく、中央線快速と総武線各駅停車、都営大江戸線という交通条件の違いまで含めて検証します。




