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【日本のオモシロ不動産 第1回】なぜこんな形に?日本に実在する変わったビル・マンション5選

2026/08/06
連載

街を歩いていると、ときどき「なぜこんな建物をつくったのだろう」と思わず足を止めてしまう建築に出会う。

軍艦のようなマンション、カラフルな球体が組み合わされた集合住宅、巨大な柱が突き出したビル――。日本には、一般的なマンションやオフィスビルとは大きく異なる建物が実在する。

しかし、こうした建物を不動産という視点で見ると、面白いのは外観だけではない。長い年月を経ても使われ続けたり、用途を変えて再生されたりする物件もある。

今回は、日本各地に実在する「オモシロ不動産」の中から、特に個性的な5つの建物を紹介する。

まるで軍艦?東京・東新宿の「軍艦マンション」

最初に紹介したいのが、東京・東新宿にある通称「軍艦マンション」である。

1970年に完成した旧「第3スカイビル」で、現在は「GUNKAN東新宿ビル」と呼ばれる。設計したのは建築家・渡邊洋治氏だ。

地上14階・地下1階の建物で、無骨な外観や小さな窓、屋上部分の設備などが軍艦の艦橋を思わせることから、「軍艦マンション」と呼ばれるようになった。

興味深いのは、単なる「昔の変わった建物」として残っているわけではない点である。

築40年を超えた2011年にはリノベーションが行われ、住居だけでなくオフィスなどにも活用された。

通常、築年数が古くなるほど不動産は新築と比較されやすくなる。しかし、この建物の場合は「ここにしかない外観」そのものが特徴となった。

不動産では築年数だけでなく、建物の認知度やストーリーが価値につながるケースもあることを示す興味深い例である。

色が多すぎる?「三鷹天命反転住宅」

東京都三鷹市には、住宅とは思えないほど鮮やかな集合住宅がある。

「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」である。

芸術家・建築家の荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏によってつくられ、2005年に完成した。

全部で9戸の集合住宅には14色もの色彩が使われ、円筒形や直方体などの形が複雑に組み合わされている。

オモシロ不動産1 オモシロ不動産1

一般的な住宅では、段差を減らしたり、床を平らにしたりすることで暮らしやすさを追求する。

しかし三鷹天命反転住宅は、その発想とは大きく異なる。

身体感覚を刺激する空間そのものが建築コンセプトとなっており、「便利であることだけが住宅の価値なのか」と考えさせられる建物である。

現在も住宅として利用されているため、自由に敷地内へ入れる施設ではない。公式の見学会などを利用する必要がある点には注意したい。

建物全部がアート?「ドラード早稲田」

東京・早稲田にも、ひと目見ただけではマンションと思えない建物がある。

「ドラード早稲田(和世陀)」だ。

1983年に完成した集合住宅で、設計を手掛けたのは建築家・梵寿綱氏である。建物全体には彫刻やモザイク、曲線的な装飾が施されている。

マンションと聞くと、一般的には同じ形の窓やバルコニーが規則的に並ぶ姿を想像するだろう。

しかしドラード早稲田は、建物そのものが巨大な作品のように見える。

こうした個性的な建築は万人に好まれるとは限らない。

一方で、他のマンションでは代替できない「唯一性」が生まれる。

これは不動産でも重要な考え方である。

すべての物件が最大多数に好かれる必要はなく、「この物件だから住みたい」という人を生み出すことも一つの価値なのである。

巨大な柱が建物を占領?世田谷の「M2」

東京・世田谷区砧には、巨大な古代ギリシャ風の柱が強烈な存在感を放つ「M2」がある。

設計したのは隈研吾氏で、1991年に完成した。

もともとは自動車メーカーのデザイン・ラボとして計画された建物で、巨大なイオニア式の柱やアンテナ、高速道路の遮音板を思わせる要素など、さまざまな様式を意図的に混在させたデザインになっている。

さらに面白いのが、その後の使われ方である。

隈研吾建築都市設計事務所によれば、建物はほぼオリジナルの外観を保ちながら、後に葬祭施設へと用途転換された。

これこそ不動産として非常に興味深いポイントだ。

建物は、一度建てた用途のまま永久に使われるとは限らない。

オフィスがホテルになったり、倉庫が住宅になったり、学校が商業施設へ転用されたりすることもある。

個性的な建築であっても、用途を変えながら使い続けられる可能性があるのだ。

名前まで面白い「ロケットビル」

埼玉県さいたま市、大宮駅近くには「ロケットビル」という建物がある。

1989年竣工、地上9階建ての鉄骨造で、大宮駅から徒歩約5分の場所に立つ。

名前だけでも十分に印象的だが、個性的な外観も含め、一度見たら覚えやすい。

不動産において「覚えられる」ということは意外に重要である。

商業ビルやオフィスでは、

「あの交差点にある変わったビル」

「あのロケットみたいな建物」

という認識自体がランドマークとして機能するからだ。

普通の建物なら住所を説明しなければ分からない場所でも、特徴的な建築なら建物自体が案内板になる。

変わった建物には「不動産としての個性」がある

今回紹介した建物には共通点がある。

効率性だけを追求してつくられた建物ではないことである。

一般的な不動産では、広さ、駅距離、築年数、設備などが比較される。

もちろんそれらは重要だ。

しかし、世の中には数字だけでは説明できない不動産も存在する。

「この建物に住みたい」

「この場所で働いてみたい」

「この建物を一度見てみたい」

と思わせること自体が価値になるケースもある。

まとめ

軍艦マンション、三鷹天命反転住宅、ドラード早稲田、M2、ロケットビル。

日本には、一般的なマンションやビルとはまったく違う個性的な建物が存在する。

こうした建築は、単に「変わった建物」として見るだけでも面白い。

しかし不動産という視点を加えると、さらに興味深くなる。

建物の個性が認知度につながったり、築年数を重ねながら用途変更によって使われ続けたりするからだ。

不動産の価値は、広さや新しさだけでは決まらない。

「ほかにはない」という特徴も、建物の価値を考える一つの要素なのである。

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