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【地震と不動産 第1回】地震に備えて家でできることは?住宅の震災対策と防災チェックリスト

2026/08/03
連載

2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする大きな地震が発生しました。

日本で暮らしている以上、地震を完全に避けることはできません。しかし、同じ規模の地震でも、建物の耐震性や地盤、家具の配置、防災設備、日頃の備えによって被害の大きさが変わる可能性があります。

地震対策というと、水や非常食などの防災グッズを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし不動産という視点では、「家そのものが地震に耐えられるか」「地震後も生活を続けられるか」を考えることも重要です。

今回は、住宅購入者だけでなく、マンションや賃貸住宅に住んでいる人にも役立つ「住まいの地震対策」を解説します。

熊本県で発生した大きな地震から改めて考えたい住宅の安全性

気象庁によると、2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1、深さ約10kmの地震が発生しました。

熊本県熊本では長周期地震動階級4も観測されており、大きな揺れが建物や暮らしへ及ぼす影響を改めて考えさせられる出来事となりました。

大規模な地震が発生した直後には、防災用品への関心が高まります。

もちろん非常食や飲料水の備蓄も重要ですが、不動産の観点ではその前に確認したいことがあります。

それが、「住んでいる建物は地震に対してどの程度備えられているか」という点です。

まず確認したい「旧耐震」と「新耐震」の違い

住宅の耐震性を確認するとき、最初の目安になるのが建築された時期です。

特に重要なのが、1981年6月1日から適用された「新耐震基準」です。

国土交通省は、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた建物の多くが、現在の耐震基準を満たしていない1981年以前の建築物だったことなどを踏まえ、住宅や建築物の耐震化を進めています。

ただし、「1981年以降だから絶対に安全」という意味ではありません。

建物の耐震性は、

・構造
・施工状態
・地盤
・経年劣化
・修繕状況
・増改築の有無

などによっても変わります。

中古住宅を購入する場合には、築年数だけで判断せず、耐震診断や耐震改修の履歴なども確認したいところです。

特に木造住宅では、2000年にも地盤や接合部、耐力壁の配置などに関する基準が強化されています。

「築浅か築古か」だけではなく、「どの基準で建てられ、どのように維持されてきた住宅なのか」を見ることが大切です。

地震に強い家を考えるなら「地盤」も忘れない

建物が丈夫でも、その下にある地盤によって揺れ方や被害の出方は変わります。

例えば、液状化の可能性がある地域、かつて川や沼だった土地、盛土された土地、急傾斜地の近くなどでは、それぞれ異なるリスクがあります。

住宅購入前には自治体のハザードマップを確認しましょう。

確認したいのは地震だけではありません。

・液状化
・洪水
・津波
・土砂災害
・高潮

など、複数の災害リスクを重ねて見ることが重要です。

ただし、ハザードマップで色が付いていないから「安全」と断定できるわけではありません。

自然災害には想定を超えるケースがあります。

ハザードマップは「危険か安全かを二択で判断するもの」ではなく、「どのような災害を想定し、どう備えるかを考える資料」と捉える方がよいでしょう。

家具の固定は最も身近な「住宅の耐震対策」

建物が倒壊しなくても、室内では家具や家電が転倒することがあります。

内閣府も、地震への備えとして家具の固定や配置の工夫を挙げています。

特に注意したいのは寝室です。

寝ている場所の近くに、

・背の高い本棚
・タンス
・大型テレビ
・食器棚

などがある場合、転倒方向を確認しておく必要があります。

また、玄関や廊下の前に大型家具を置いていると、転倒した家具によって避難経路がふさがれる可能性があります。

家具を固定することに加えて、「倒れても人や避難経路を直撃しない配置」にすることも重要です。

地震による火災を防ぐ「感震ブレーカー」

大規模地震では、建物の倒壊だけでなく火災にも注意が必要です。

地震によって電気機器や配線が損傷した状態で電気が復旧すると、火災につながるケースがあります。

こうした電気火災への対策として注目されているのが「感震ブレーカー」です。

感震ブレーカーは、一定以上の揺れを感知すると自動的に電気を遮断する装置です。

内閣府も大規模地震時の電気火災対策として普及を進めています。

特に木造住宅が密集している地域では、一戸の火災が周囲へ広がるリスクも考える必要があります。

住宅を購入するときには、建物そのものだけでなく、周囲の住宅密度や道路幅も確認しておくとよいでしょう。

マンションでは「断水」と「エレベーター停止」も想定する

マンション、とりわけ高層マンションでは、建物が大きく損傷していなくても生活に支障が出る場合があります。

代表的なのがエレベーターと水道です。

地震を感知するとエレベーターが停止する場合があります。復旧まで時間がかかれば、高層階では階段移動が必要です。

また、停電や給水設備の被害によって断水する可能性もあります。

高層階に住んでいる場合、飲料水だけでなく生活用水を運ぶこと自体が大きな負担になります。

そのためマンションでは、

・飲料水
・携帯トイレ
・モバイルバッテリー
・懐中電灯
・カセットコンロ

などをある程度備えておくことが重要です。

さらに中古マンションを購入する場合は、防災備蓄だけでなく、管理組合による防災計画や非常用電源の有無なども確認材料になります。

マンション購入では修繕積立金も「防災力」の一部

マンションの地震対策で見落としやすいのが、お金の問題です。

大規模地震で、

・外壁
・廊下
・配管
・エレベーター
・駐車場設備

などの共用部分が損傷すれば、修繕費用が必要になります。

そこで重要になるのが修繕積立金です。

十分な積立金がなければ、大規模な災害が起きた際、所有者から一時金を徴収したり、修繕積立金を値上げしたりする必要が出てくる可能性があります。

中古マンション選びでは、

「駅近か」
「内装がきれいか」
「眺望がよいか」

だけではなく、

「管理組合は機能しているか」
「長期修繕計画があるか」
「積立金は不足していないか」

という点も重要です。

マンションの防災力は、建物の構造だけでは決まりません。

地震保険も住宅の備えの一つ

建物が地震で損傷した場合、修理や生活再建にはまとまった資金が必要になることがあります。

そこで検討したいのが地震保険です。

地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする火災や損壊などに備える制度です。

ただし、住宅を新築時と同じ状態に戻す費用をすべて補償するための保険ではありません。

住宅ローンを抱えている場合には特に、

「建物が被災した場合でも返済を続けられるか」
「修繕費をどこから出すのか」
「一時的な住居費を負担できるか」

まで考えておく必要があります。

防災は設備だけではなく、家計の備えでもあります。

賃貸だから地震対策をしなくてよいわけではない

賃貸住宅では建物そのものを所有していないため、「地震対策は大家さんの問題」と考えてしまうことがあります。

しかし、室内の家具固定や備蓄、避難経路の確認は入居者自身が行う必要があります。

物件を探す際にも、

・建築時期
・建物構造
・ハザードマップ
・避難所までの距離
・周囲の道路幅

などは確認できます。

家賃や駅徒歩だけでなく、防災という視点を一つ加えることで物件の見え方は変わります。

住宅購入前に確認したい地震対策チェックリスト

住宅を購入する場合には、次のような項目を確認してみましょう。

・建築年月
・耐震基準
・構造
・耐震診断の有無
・耐震改修履歴
・地盤や土地の成り立ち
・液状化リスク
・洪水・津波・土砂災害リスク
・避難場所
・周辺道路
・マンションの長期修繕計画
・修繕積立金
・防災設備
・地震保険
・災害時にも確保できる手元資金

すべての条件が完璧な住宅を探すことは難しいでしょう。

重要なのは「リスクがあるか、ないか」ではなく、「どんなリスクがあり、それに対してどう備えるか」を理解したうえで選ぶことです。

まとめ

地震対策というと、防災バッグや非常食に目が向きがちです。

しかし住宅という視点では、建物の耐震性、地盤、家具の配置、火災対策、マンション管理、保険、手元資金まで幅広く考える必要があります。

日本で暮らす以上、「地震が絶対に起きない場所」を探すことは現実的ではありません。

だからこそ大切なのは、地震が起きたときに被害をできるだけ抑え、その後の生活を立て直しやすい住宅を選ぶことです。

これから住宅を購入する人も、現在の家に住み続ける人も、一度「自宅の地震対策」を見直してみることが大切でしょう。

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