2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生しました。報道によると、地震の規模はマグニチュード7.1と推定され、宮崎県内でも震度5弱の揺れが観測されています。発生直後のため、被害状況や交通、ライフラインへの影響などは今後更新される可能性があります。
大きな地震が起きると、「地震で不動産価格は下がるのか」「どのような家なら地震に強いのか」「賃貸でも地盤や耐震性を確認すべきなのか」といった疑問を持つ人が増えます。
日本で住宅を選ぶ以上、地震リスクを完全に避けることは困難です。だからこそ重要なのは、単純に「地震が多い地域を避ける」ことではなく、建物の耐震性、地盤、災害後の復旧力、管理状態などを総合的に確認することでしょう。
この記事では、地震と不動産価格の関係をはじめ、住宅購入や賃貸物件探しで確認したいポイント、マンションと戸建ての違い、地震保険、不動産投資への影響まで詳しく解説します。
熊本県で最大震度7の地震が発生
今回の地震は、2026年7月28日午後4時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源として発生したと報じられています。最大震度は7、震源の深さは約10キロ、地震の規模はマグニチュード7.1と推定されています。
熊本県では、2016年にも最大震度7を観測する熊本地震が発生しました。2016年4月14日の地震に続き、約28時間後にも最大震度7の地震が発生し、同じ観測点で短期間に震度7を2度観測したのは、気象庁の観測史上初めてでした。
過去に大きな地震を経験した地域で再び強い揺れが起きたことは、地震リスクが一度の災害で終わるとは限らないことを示しています。
ただし、地震発生直後は情報が錯綜しやすく、被害の全体像が判明するまでには時間がかかります。余震や津波、土砂災害、建物倒壊などについては、気象庁や自治体が発表する最新情報を確認することが重要です。
地震が起きると不動産価格は下がるのか
大規模な地震が起きると、その地域の不動産価格が必ず下がると考える人もいるかもしれません。
しかし、地震と不動産価格の関係はそれほど単純ではありません。
価格への影響は、建物の損傷状況、地盤被害、ライフラインの復旧、交通機関、商業施設、地域人口、住宅需要などによって変わります。
建物が大きく損傷した場合は、修繕費や建て替え費用が必要になり、売却価格へ直接影響する可能性があります。液状化や地盤沈下、擁壁の崩壊などが発生した地域では、安全性への不安から買い手が慎重になることも考えられます。
一方、建物やインフラへの被害が限定的で、交通や生活環境が早期に回復した地域では、価格への影響が比較的小さいこともあります。
また、災害後には住宅を失った人や建て替え期間中の人による賃貸需要が一時的に高まる場合があります。反対に、地域外への転出が増えたり、企業や店舗の撤退が続いたりすれば、中長期的な住宅需要が弱まる可能性もあります。
つまり、「地震が発生したから価格が下がる」と一律に判断するのではなく、建物ごとの被害と地域全体の復旧状況を分けて見る必要があります。
地震後の不動産価格を左右する5つの要素
地震後の不動産価格を考える際には、主に次の要素が関係します。
第一は、建物そのものの被害です。柱や梁、基礎、外壁、配管などに損傷があれば、修繕費や安全性への不安が価格へ影響します。
第二は、地盤と周辺環境の被害です。液状化、地盤沈下、斜面崩落、道路の寸断などが起きると、建物が無事でも生活上の不便が長引く場合があります。
第三は、交通とライフラインの復旧です。鉄道、道路、水道、電気、ガス、通信がどの程度の期間で回復するかは、地域の住みやすさや事業活動に影響します。
第四は、地域の住宅需要です。災害後も住み続けたい人が多い地域であれば、需要が維持されることがあります。一方、もともと人口減少が進んでいた地域では、災害をきっかけに空き家が増える可能性があります。
第五は、防災対策と復興計画です。自治体による道路整備、河川改修、耐震化支援、再開発などが進めば、長期的に地域の評価が回復することも考えられます。
不動産価格は、地震の震度だけで決まるものではありません。被害の程度と、その後も住みたい人がいるかという需要の両方が重要です。
「築年数が新しいから安全」とは限らない
地震に強い住宅を探す際、多くの人が最初に確認するのが築年数です。
築年数は重要な判断材料ですが、築浅であれば必ず安全、築古であれば必ず危険というわけではありません。
建物の耐震性を考える際によく使われる区分が、旧耐震基準と新耐震基準です。
新耐震基準は、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物へ適用されています。国土交通省は、1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物について、耐震性が不十分なものが多く存在するとして、耐震診断や改修を促しています。
ただし、1981年以降の建物だから何も確認しなくてよいわけではありません。
耐震性は、設計時の基準だけでなく、施工品質、建物の形状、地盤、経年劣化、増改築、修繕履歴などにも左右されます。
木造住宅では、2000年に地盤調査や接合部、耐力壁の配置などに関する基準が強化されました。そのため、木造戸建てを選ぶ際には、新耐震基準かどうかに加えて、2000年前後の基準改正も確認材料になります。
中古住宅では、建築年月だけを見るのではなく、建築確認済証、検査済証、耐震診断結果、耐震改修履歴などを確認することが大切です。
耐震・制震・免震の違いを知っておく
地震に強い建物を調べると、「耐震」「制震」「免震」という言葉が出てきます。
耐震構造は、柱や梁、壁などの強度によって地震の揺れに耐える構造です。現在の一般的な住宅やマンションで広く採用されています。
制震構造は、建物内部に設置したダンパーなどで揺れのエネルギーを吸収し、建物の変形を抑える仕組みです。
免震構造は、建物と地盤の間に免震装置を設け、地面の揺れを建物へ伝わりにくくする仕組みです。高層マンションや大型建築物などで採用されることがあります。
免震だから被害が起きない、耐震だから劣っているという単純な比較はできません。建物の規模や構造、設計条件、維持管理によって適した方法が異なるためです。
また、免震装置や制震ダンパーも、長期的には点検や交換が必要になる場合があります。中古マンションを購入する際には、設備の有無だけでなく、定期点検が行われているかも確認したいところです。
地震に強い家を探すなら地盤も確認する
同じ耐震性能を持つ建物でも、建っている地盤によって揺れ方や被害の出方が異なることがあります。
一般に、柔らかい地盤では揺れが大きくなりやすく、沿岸部や埋立地、旧河道などでは液状化のリスクが指摘される場合があります。
一方、地盤が比較的良好な地域でも、崖や急傾斜地に近い場所では、地震後の土砂災害や擁壁の損傷に注意が必要です。
住宅を選ぶ際には、自治体のハザードマップや国土地理院の地形図などを確認しましょう。
地震に関するハザードマップには、想定震度、液状化、活断層などが掲載されている場合があります。ただし、ハザードマップの範囲外であれば災害が起きないという意味ではありません。
また、現在は平坦な住宅地に見えても、過去には川や沼、谷だった場所を埋め立てていることがあります。地名、古地図、土地条件図などを組み合わせることで、その土地の成り立ちを確認できます。
土地を購入して戸建てを建てる場合は、地盤調査の結果と、必要な地盤改良工事の内容も確認する必要があります。
マンションでは建物だけでなく管理状態を見る
マンションの地震リスクを考える際には、専有部分の室内だけでなく、共用部分の管理状態が重要です。
地震によって損傷しやすい場所には、外壁、廊下、階段、エレベーター、給排水管、受水槽、機械式駐車場などがあります。
大規模な修繕が必要になった場合、その費用は管理組合が保有する修繕積立金から支出されます。積立金が不足していれば、修繕積立金の値上げや一時金の徴収が行われる可能性があります。
中古マンションを購入する際には、次の資料を確認するとよいでしょう。
- 長期修繕計画
- 修繕積立金の残高
- 管理費や修繕積立金の滞納状況
- 過去の大規模修繕履歴
- 耐震診断や耐震改修の有無
- 管理組合の総会議事録
- 共用部分の地震保険加入状況
特に旧耐震基準のマンションでは、耐震診断を実施しているか、その結果を受けてどのような対応を行ったかが重要です。
また、建物が無事でもエレベーターが停止すれば、高層階では日常生活に大きな影響が出ます。高層マンションを選ぶ際には、非常用電源、防災備蓄、給水対策、エレベーターの復旧体制なども確認しておきましょう。
戸建てでは基礎・屋根・擁壁にも注意する
戸建て住宅では、建物本体の耐震性に加え、基礎、屋根、外構、擁壁なども確認する必要があります。
古い木造住宅では、重い瓦屋根や耐力壁の不足、接合部の弱さ、シロアリ被害、基礎のひび割れなどが耐震性へ影響する場合があります。
増築や間取り変更をしている住宅では、柱や壁を撤去したことで、当初の構造バランスが変わっている可能性もあります。
また、高低差のある土地では、擁壁の安全性が重要です。建物に目立った被害がなくても、擁壁が損傷すれば土地全体の安全性に影響します。
中古戸建てを購入するときは、ホームインスペクションと呼ばれる建物状況調査の利用も選択肢です。
ただし、一般的な建物状況調査だけで耐震性を完全に判断できるとは限りません。必要に応じて、耐震診断や構造に詳しい専門家への相談を検討しましょう。
賃貸住宅でも耐震性を確認した方がよい
地震対策は、住宅を購入する人だけの問題ではありません。
賃貸住宅でも、築年数、構造、地盤、避難経路などを確認することは重要です。
賃貸物件を探す際には、まず建築年月を確認し、新耐震基準の建物かどうかを一つの目安にします。ただし、先述したとおり、新耐震基準だから絶対に安全という意味ではありません。
内見時には、共用廊下や階段に物が置かれていないか、非常口が確保されているか、外壁や基礎に大きなひび割れがないかなども見ておきましょう。
家具を置く室内の壁面や、寝室から玄関までの動線も重要です。地震で家具が倒れた際に避難経路をふさがない間取りかを考える必要があります。
また、家賃の安さだけで地下住戸や半地下住戸を選ぶ場合は、地震だけでなく浸水リスクも確認しておきたいところです。
建物の安全性に加えて、避難場所までの距離、周辺道路の幅、木造住宅の密集度なども、暮らしやすさを左右します。
地震保険は火災保険とは別に考える
地震による建物の損壊や火災は、一般的な火災保険だけでは補償されません。
損害保険料率算出機構の案内では、地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失へ備えるには、地震保険への加入が必要とされています。
地震保険は、単独では契約できず、原則として火災保険とセットで契約します。
保険金額は、火災保険金額の30%から50%の範囲で設定し、上限は建物5,000万円、家財1,000万円です。つまり、地震保険は建物を完全に建て直す費用をすべて補償するものではなく、被災後の生活再建を支える性格の保険です。
マンションの場合、専有部分は各所有者が契約し、廊下や外壁などの共用部分は管理組合が契約するのが一般的です。自分の部屋で地震保険に加入していても、管理組合が共用部分の地震保険へ加入しているとは限りません。
賃貸住宅では、建物の保険は通常、所有者が契約します。入居者は自分の家財に対する地震保険を検討することになります。
保険の必要性は、建物の構造、保有資産、住宅ローン残高、地域のリスクなどによって異なります。補償範囲と保険金額を確認し、自分の家計に合った備えを考えることが大切です。
住宅ローンは建物が被災しても残ることがある
住宅を購入する際に見落としやすいのが、地震で住宅が損壊しても、住宅ローンの返済義務が原則としてなくなるわけではないという点です。
建物が使用できなくなれば、住宅ローンを返済しながら、仮住まいの家賃や建て替え費用を負担する状況も考えられます。
マンションでは、専有部分だけでなく共用部分の復旧状況によって、生活を再開できる時期が変わります。建て替えや大規模修繕には、区分所有者間の合意形成も必要です。
そのため、住宅購入時には「毎月返済できるか」だけでなく、災害時にどの程度の現金を用意できるかも考えておく必要があります。
頭金へ預貯金の大半を使い切るのではなく、生活防衛資金と災害対応資金を残すことが重要です。
地震後に住宅を売買するときの注意点
地震後に不動産を売却する場合、建物や土地の被害状況を正確に確認し、買主へ説明する必要があります。
ひび割れや傾き、配管の損傷、液状化、擁壁の変形などがある場合は、専門家による調査を受け、修繕の必要性や費用を把握した方がよいでしょう。
被害を把握しながら告げずに売却すると、引き渡し後のトラブルにつながる可能性があります。
購入する側も、外観だけで「問題なさそう」と判断せず、罹災証明、修繕履歴、管理組合の記録、建物調査の結果などを確認する必要があります。
地震直後は市場価格の判断が難しく、売り出し事例や成約事例が少ないこともあります。売却を急ぐ必要がない場合は、地域の復旧状況や取引動向を見ながら慎重に判断することも選択肢です。
災害に強い街は「揺れにくさ」だけで決まらない
災害に強い街というと、地盤が良い場所だけを想像しがちです。
しかし、実際の暮らしやすさを左右するのは、地震発生後に生活を続けられるかどうかです。
例えば、次のような要素が地域の復旧力に関係します。
- 道路が広く、緊急車両が入りやすい
- 木造住宅の密集度が低い
- 避難所や公園が近い
- 病院や行政施設へ移動しやすい
- 複数の交通手段がある
- スーパーや生活施設が分散している
- 水害や土砂災害のリスクが重なっていない
駅から近い、商業施設が多いといった通常時の利便性だけでなく、災害時に徒歩で移動できる範囲も確認することが大切です。
特に都心部では、帰宅困難者やエレベーター停止、断水なども想定する必要があります。
「地震に強い家」を選ぶだけではなく、「地震後も暮らしを維持しやすい地域」を選ぶ視点が求められます。
不動産投資では地震リスクを収支へ組み込む
不動産投資でも、地震リスクは無視できません。
建物が損傷すれば修繕費がかかり、入居者が退去すれば家賃収入が減少します。地域全体が被災した場合は、管理会社や工事会社もすぐに対応できない可能性があります。
一方で、災害後に賃貸需要が一時的に増えることもありますが、それを前提に投資判断を行うべきではありません。
投資物件を選ぶ際には、耐震基準、地盤、保険、修繕積立金、管理体制などを確認し、災害発生時にもローン返済を続けられる手元資金を確保する必要があります。
複数の物件を所有する場合は、同じ地域へ集中させることで、同時に被害を受けるリスクも考えられます。
利回りや駅からの距離だけでなく、災害後も住みたい人がいる地域か、修繕費を負担できる計画かという視点が重要です。
住宅購入・賃貸契約前に確認したいチェック項目
住宅を購入または借りる前には、少なくとも次の項目を確認しましょう。
- 建物の建築年月と耐震基準
- 構造が木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のどれか
- 耐震診断や耐震改修の実施状況
- 自治体の地震・液状化・土砂災害ハザードマップ
- 土地の過去の利用状況や地形
- 建築確認済証や検査済証の有無
- マンションの長期修繕計画と積立金
- 共用部分の地震保険加入状況
- 避難所や広域避難場所までの経路
- 家具の転倒防止や備蓄を行いやすい間取り
- 地震発生時に使える手元資金
- 火災保険と地震保険の補償内容
すべてのリスクが低い住宅を探すのは簡単ではありません。
大切なのは、価格、利便性、安全性の優先順位を整理し、どのリスクを受け入れ、どのリスクへ備えるかを自分で判断することです。
まとめ
2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生しました。発生直後のため、被害状況や不動産市場への影響を現時点で断定することはできません。
地震が起きたからといって、地域の不動産価格が一律に下落するわけではありません。
価格への影響は、建物の損傷、地盤被害、交通やライフラインの復旧、地域人口、住宅需要などによって異なります。
住宅を購入するときは、築年数だけでなく、耐震基準、施工状態、修繕履歴、地盤、ハザードマップを確認することが重要です。
マンションでは、管理組合の運営状況や修繕積立金、共用部分の保険も確認する必要があります。戸建てでは、建物本体に加えて、基礎や擁壁、土地の成り立ちにも注意が必要です。
また、地震による火災や損壊は、通常の火災保険だけでは補償されません。地震保険の役割と限度額を理解し、住宅ローンや手元資金を含めた備えを考えることが大切です。
地震の発生を正確に予測することはできません。
だからこそ住宅選びでは、「地震が起きない場所」を探すのではなく、「地震が起きたときに被害を抑え、生活を立て直しやすい住宅と地域か」を確認する視点が求められます。
不動産の価値は、駅からの距離や築年数、内装の新しさだけで決まるものではありません。
災害への備えと、災害後も安心して暮らせる環境があるかどうかも、これからの住宅選びにおける重要な判断材料となるでしょう。






