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【AIと投資:4話】AI投資詐欺に注意|偽広告・著名人なりすまし・SNS型投資詐欺の実例から学ぶ

2026/07/18
連載

AIが投資を便利にする一方で、AIを悪用した投資詐欺も増えている。特に注意したいのが、著名人の画像や音声を使った偽広告、AIで作られたように見える投資診断、SNSやLINEグループへ誘導する投資勧誘である。

「有名人がすすめている」「AIが診断してくれる」「短期間で高利回りが狙える」といった言葉は、投資初心者にとって魅力的に見える。しかし、こうした広告の中には、実際には著名人と無関係で、架空の投資アプリや偽の取引画面を使って資金をだまし取るものがある。本稿では、実際に報じられた事例や公的機関の注意喚起をもとに、AI時代の投資詐欺の見分け方を整理する。

AI偽広告は「本物らしさ」が危険である

従来の投資詐欺は、文章や電話による勧誘が中心だった。しかし、生成AIやディープフェイク技術が広がることで、詐欺広告はより本物らしくなっている。著名人の顔、声、話し方をまねた動画や音声が作られると、見た人は本人が投資をすすめていると誤解しやすい。

この「本物らしさ」がAI投資詐欺の怖さである。広告に出ている人物が有名であるほど、安心感を持ってしまう。さらに、LINEやSNSでやり取りが始まり、「先生」「アシスタント」「投資仲間」のような人物が登場すると、投資コミュニティに参加しているような錯覚が生まれる。

だが、投資判断で見るべきなのは、著名人の顔や声ではない。金融商品取引業者として登録されているか、運営会社は実在するか、契約内容は明確か、出金条件は不自然ではないか。こうした基本確認こそが重要である。

堀江貴文氏をかたるAI音声・偽広告の被害

日本でも、著名人をかたるAI偽広告による被害が報じられている。関西テレビは、2024年2月に神戸市長田区の女性がSNSに表示された投資講座の広告をきっかけに、5,265万円をだまし取られた事例を報じている。女性は「ほりえ投資教室」という広告からLINEに誘導され、「堀江たかふみ」を名乗る人物から送られてきた音声メッセージを聞き、本人だと信じ込んでしまったとされる。

この事例で注目すべきなのは、AIを使ったフェイク動画や音声によって本人らしさを演出していた点である。詐欺師は、単に有名人の名前を使うだけではなく、動画や音声、LINEでのやり取りを組み合わせて、信頼感を作り出す。

投資詐欺では、最初から大金を要求しないことも多い。少額で始めさせ、偽の利益画面を見せ、出金できるように見せかけ、さらに大きな資金を入れさせる。AIによって広告や音声が精巧になるほど、疑う力が必要になる。

前澤友作氏やカブアンドをかたる偽動画広告

著名人をかたる偽広告は、個人名だけでなく、企業名やサービス名にも広がっている。前澤友作氏の関連サービスであるカブアンドは、2025年8月、前澤氏やカブアンドをかたる偽の動画広告がSNS上で急増しているとして注意喚起を行った。一部の広告では、前澤氏の顔や音声をAIで合成したような動画が使われ、存在しない投資案件や高額リターンをうたい、個人情報や金銭をだまし取ろうとするものが確認されている。

このような偽広告は、投資に関心がある人ほど注意が必要である。日ごろから資産形成や投資情報を検索していると、SNSや動画サイトで投資広告に接触する機会が増える。そこに著名人の名前や顔が使われていると、つい信頼してしまうことがある。

しかし、著名人本人や関連企業が公式に注意喚起している場合、その広告は詐欺である可能性が高い。広告を見たら、まず公式サイトや公式SNSで確認する。LINE登録や個人情報入力、送金を急がせる広告には近づかないことが大切である。

金融庁もAI診断をうたう投資勧誘に注意喚起している

金融庁は、SNS上の投資勧誘について具体的な手口を紹介して注意を促している。その中には、AI診断をうたい文句にウェブサイトへ誘導し、分析レポートを配信すると偽ってSNSへ誘導し、投資話を持ちかける事例が含まれている。

また、投資関連の投稿をフォローした人にDMが届き、クローズドチャットへ誘導される事例もある。誘導先では、「先生」「講師」「アシスタント」などが登場し、サクラが利益が出ているような投稿を行う。最終的には、偽の投資アプリや登録のない海外FX業者などへ資金を入れさせる流れである。

このような手口は、昔からある投資詐欺の構造にAIやSNSを組み合わせたものだ。新しい技術が使われていても、基本構造は変わらない。高利回りをうたい、信頼できそうな人物を使い、閉じた空間に誘導し、冷静な判断を奪う。これが典型的な流れである。

SNS型投資詐欺の被害は大きく拡大している

警察庁の2026年2月公表資料によると、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9,538件、被害額は1,274.7億円とされ、前年より認知件数・被害額ともに増加している。

この数字は、SNS型投資詐欺が一部の人だけの問題ではなく、社会的に大きな被害を生んでいることを示している。投資詐欺は、必ずしも投資初心者だけが狙われるわけではない。資産形成に関心があり、情報収集をしている人も標的になりやすい。

特に、NISAや株式投資、不動産投資への関心が高まる中で、「今すぐ始めないと損をする」「AIが利益の出る銘柄を教える」「不動産のプロだけが知る案件」といった広告には注意が必要である。焦りや欲を刺激する広告ほど、冷静に距離を置くべきである。

海外でもディープフェイク投資詐欺が問題化している

AI偽広告やディープフェイク投資詐欺は、日本だけの問題ではない。オーストラリア証券投資委員会、ASICは2024年、詐欺師が偽ニュース記事やディープフェイク動画を作り、著名人や公人が投資プラットフォームで大きな利益を得ているように見せかける手口を注意喚起した。

ASICは、イーロン・マスク氏のディープフェイク動画を見た男性が暗号資産で8万豪ドルを失った事例も紹介している。著名人が投資をすすめているように見える動画であっても、それが本人の発信とは限らない。AI時代には、映像や音声を見ただけでは本物かどうか判断しにくくなっている。

これは、不動産投資にも関係する。今後、「AIが選んだ不動産案件」「著名人も参加するマンション投資」「限定の不動産小口投資」といった形で、AIや有名人を組み合わせた勧誘が増える可能性がある。投資対象が株式でも不動産でも、確認すべき基本は変わらない。

不動産投資でも「実物資産だから安心」は禁物

不動産投資は、株式や暗号資産と違い、土地や建物という実物資産がある。このため、「不動産だから安全」と感じる人もいる。しかし、実物資産があることと、投資家の資金が守られることは別問題である。

不動産投資では、物件が実在しているかだけでなく、誰が所有しているのか、収益の原資は何か、賃料収入から分配されているのか、契約上の権利はどうなっているのか、出金や解約条件は明確かを確認する必要がある。

AIを使った広告では、物件写真、収益シミュレーション、説明資料が本物らしく作られる可能性がある。だからこそ、リヴトラスト・リヴグループの読者が不動産投資を検討する際にも、広告の印象だけで判断せず、運営会社、契約内容、重要事項、リスク説明を確認する姿勢が大切である。

まとめ

AI投資詐欺は、従来の投資詐欺に比べて「本物らしく見える」点が危険である。著名人の顔や声、AI診断、偽の投資アプリ、LINEグループ、サクラの投稿などが組み合わさることで、投資家は冷静な判断を失いやすくなる。

実際に、堀江貴文氏をかたるAI音声・偽広告による高額被害や、前澤友作氏・カブアンドをかたる偽動画広告への注意喚起が行われている。警察庁の統計でも、SNS型投資詐欺の被害は大きく拡大している。

AI時代の投資では、便利な技術を使う一方で、偽情報を見抜く力が必要である。投資話を見たら、著名人の顔や声ではなく、登録業者か、運営会社は実在するか、契約内容は明確か、出金条件に不自然さはないかを確認する。不動産投資でも、実物資産という言葉だけで安心せず、資金の流れと収益の根拠を確認することが重要である。

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