不動産投資を行う上で大切なことは必要な「経費」を正確に把握することです。
中でも、しっかりと理解しておきたいのが毎年の納税の義務がある「固定資産税」です。
このコラムでは固定資産税の仕組みや計算方法、さらに軽減措置について解説します。
所有する不動産によっては税額の軽減措置を受けられる可能性があり、その適用条件なども解説しますので、参考にしてください。
固定資産税とは?
固定資産税とは、所有している固定資産に対して課せられる税金のことです。税の種類としては、地方税に含まれます。
固定資産の代表例は、以下のとおりです。
不動産投資においては、「家屋」や「土地」などが固定資産税の対象となります。固定資産税は不動産を所有しているかぎり毎年課税されます。
そのため、不動産投資においては収益に直結する重要な経費と言えます。
不動産投資における固定資産税の対象者・計算方法
固定資産税の納税義務者は、「1月1日現在、土地、家屋及び償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方」と定められています。
たとえば、年度の途中で不動産を購入した場合、その年の納税義務者はその年1月1日時点での所有者であり、支払いは前の持ち主になります。
この場合、不公平が生じないようにするため、実際は決済日を基準に日割り計算を行い、前の持ち主と購入者との間で清算することがほとんどです。
なお、支払い対象月は4月から翌年3月までの年度計算となっています。
固定資産税は、所有する固定資産の課税標準額に標準税率をかけて、以下のとおり算出されます。
・固定資産税の税額 = 課税標準額(固定資産税評価額) × 標準税率(1.4%)
「課税標準額(固定資産税評価額)」は、土地の公的価格や家屋の時価額をもとに各自治体(都や各市区町村)が算定する固定資産税の基準となる価格をいいます。
この額は、3年に1度のペースで評価替えが行われます。
投資した物件が都市部にある場合には固定資産税の他に都市計画税(0.3%)がかかるため、課税標準額の1.7%の税金が課せられます。
投資用物件によって固定資産税は変わる?
固定資産税の概要や計算方法について説明してきました。
次に、固定資産税をできるだけ抑えるために、どのような投資用物件を選ぶべきかを説明します。
選択のヒントとして中古物件と新築物件、一戸建てとマンションの固定資産税の違いについて解説していきます。
・新築と中古
・1棟マンションと区分マンション
新築と中古
・「土地」:固定資産税は同じ
・「建物」:固定資産税は変わる
新築物件も中古物件も、「土地」に対する固定資産税は同じです。しかし、「建物」に対する固定資産税評価額は3年ごとに見直し(評価替え)が行われます。
特に、中古物件は経年劣化などにより建物の価値が下がり、固定資産税評価額も下がる傾向があります。
このことから、新築物件に比べて中古物件の方が固定資産税が安くなるといえます。しかし、新築物件にはのちほど紹介する固定資産税の軽減措置があるので、物件の条件に応じて考慮する必要があるでしょう。
1棟マンションと区分マンション
・「土地」:所有状態により固定資産税は変わる
・「建物」:所有状態により固定資産税は変わる
マンションを投資用不動産として利用している場合、投資しているマンションの内容によって固定資産税は変動します。
たとえば、1棟マンションを所有している場合、マンション1棟とマンションが建っている土地のすべてにかかる固定資産税を支払う必要があります。
一方、区分マンションの場合、建物は1部屋という単位での所有です。この1部屋は占有しますが、共用部分や土地についてはほかの区分マンションオーナーと分有します。
これにより、1部屋にかかる固定資産税と土地にかかる部分的な固定資産税を支払う形になります。
固定資産税の軽減措置
固定資産税を抑える方法には、軽減措置を利用できる条件にあった物件を選ぶことがひとつの選択肢です。
ここでは、不動産投資に関わる2種類の軽減措置についてお伝えします。
・新築物件の軽減措置
・住宅用地の軽減措置
新築物件の軽減措置
新築物件の場合、以下の条件を満たすことで固定資産税の減額措置を受けられます。
・令和6年3月31日までに新築
・床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下
これらの条件を満たす場合、「課税標準額×1.4%」で算出した税額が2分の1に減額されます。軽減期間は通常3年間、マンションの場合は5年間です。
なお、「3階以上の耐火・準耐火建築物」かつ「認定長期優良住宅」であれば、7年間にわたって軽減されます。
住宅用地の軽減措置
土地の中でも、人が居住するために利用されている土地(住宅用地)には固定資産税が軽減される特例措置があり、それぞれ以下のとおり課税標準額が軽減されます。
・住戸1戸につき200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地):固定資産額の1/6に軽減
・住戸1戸につき200平方メートル超の部分(一般住宅用地):固定資産額の1/3に軽減
まとめ:固定資産税は不動産投資に大きく関わる経費
固定資産税は投資用物件を所有する限り毎年かかる経費です。
不動産投資を行う上では、毎年支払う固定資産税を正確に把握しておくことが大切です。
また、固定資産税にはさまざまな軽減措置があり、条件にあった物件を選ぶことで節税することもできます。上手に利用して賢い不動産投資運用をしていきましょう。
固定資産税を含む「経費」については以下の記事で詳しく紹介しています。併せて参考にしてみてください。
>『不動産投資で節税|経費として計上できる費用とできない費用』
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