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【日本のオモシロ不動産 第3回】建物そのものが集客装置?日本の面白い商業ビルから考える不動産の価値

2026/08/08
連載

商業施設にとって重要なのは、駅から近いことや店舗数だけではない。

「あの建物を見てみたい」

という理由そのものが、人を呼び込むことがある。

その代表例として面白いのが、大阪・難波の「なんばHIPS」や東京・世田谷の「M2」である。

今回は、個性的な商業建築から「建物そのものが広告になる」という不動産の考え方を見ていく。

巨大な砂時計のような「なんばHIPS」

大阪・難波にある「なんばHIPS」は2007年に開業した商業施設で、外観デザインには建築家・高松伸氏が関わっている。

最も目を引くのは、建物中央の大きくくびれた部分である。

普通の商業ビルであれば、少しでも多く床面積を確保したいところだ。

それにもかかわらず、外観に強烈な特徴を持たせている。

ここに商業不動産ならではの考え方がある。

商業施設では「目立つ」ことにも価値がある

住宅の場合、奇抜すぎるデザインは必ずしも歓迎されない。

しかし商業施設の場合は違う。

建物そのものが、

「待ち合わせ場所」

「写真を撮る場所」

「街のランドマーク」

になれば、それだけで認知度が高まる。

これは看板広告とは違う。

建物自体が広告になるのである。

M2は自動車施設から別用途へ

第1回でも触れた東京・世田谷のM2も興味深い。

巨大なイオニア式の柱を持つ強烈な外観は、もともと自動車メーカーのデザイン・ラボとして計画されたものだった。

その後、建物はほぼ元のデザインを維持しながら別用途へ転用されている。

これは商業不動産を考えるうえで重要な例である。

建物の用途は永久に固定されるとは限らない。

時代が変われば、求められる施設も変わる。

SNS時代では「撮りたくなる建物」も強い

現在はInstagram、TikTok、YouTubeなどによって、建物の写真や動画が簡単に共有される。

すると、

「何これ?」

「どこにあるの?」

「行ってみたい」

という流れが生まれる。

商業施設にとっては、利用者自身が建物を紹介してくれる状態である。

そのため近年の商業不動産では、商品を売る場所だけでなく、

そこへ行く理由をつくる空間

がより重要になっている。

ただし奇抜なら成功するわけではない

もちろん、変わったデザインにすれば商業施設が成功するわけではない。

維持管理費、修繕費、動線、テナントの使いやすさなども重要である。

建築として評価されても、商業施設として収益が上がらなければ不動産経営は難しい。

面白い建物ほど、

「デザイン」と「使いやすさ」

の両立が求められる。

まとめ

なんばHIPSなどの個性的な商業建築を見ると、建物そのものが街の広告塔になることが分かる。

商業不動産では、駅距離や床面積だけでなく、

「覚えてもらえるか」

「訪れたくなるか」

「街のランドマークになれるか」

という価値も存在する。

SNSによって写真や動画が広がる現在、建築デザインが集客へ与える影響は以前より大きくなっている。

「変わった建物」は、単なる遊びではない。

建物そのものをブランド化する、一つの不動産戦略でもあるのだ。

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