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オリンピック後の不動産投資市場は結局どうなる?当時の予想と開催後の実態とは

2021/08/19
2023/03/14
不動産投資コラム

東京オリンピックの開催が決定したとき、不動産投資の市場は様々な予想で溢れかえりました。開催前の価格の急上昇、開催後の急落…。

2021年8月、東京オリンピック後の今、当時の予想は当たったのでしょうか。実態をまとめました。

オリンピック後の不動産投資:開催前当時にポピュラーだった予想

オリンピック後の不動産投資はどうなるのか。開催前の当時にもっともポピュラーだったのは次のような予想でした。

開催前の不動産価格上昇とオリンピック後の価格急落

オリンピックが開催される都市では、大会前には一般的に不動産価格が上昇トレンドになります。

大規模なインフラ整備が行われると同時に商業施設等の建設が増え、さらに建設ラッシュによって人件費が高騰したりすることも影響します。また、注目や知名度も高まることから外国マネーも流入し、不動産価格は上昇するのです。

東京オリンピックの開催が決まった当時も、このような予想がインターネット上を飛び交いました。

ただし、このように「特需」で上昇した不動産価格は、イベントの終了後には急落する恐れも同時に内包しているともいわれてきました。
例えば、過去にオリンピックの開催があった北京やソウル、バルセロナといった都市では実際に大会後に経済成長率が低下したというデータもあります。

東京オリンピックはロンドン型の経済成長により価格急落が起こらない

一方で、ロンドンでは上述のようなオリンピック後の不動産価格の急落が起こりませんでした。

これは「ロンドン型の経済成長」という状態によるもので、端的にいえば十分に経済が成熟していた都市が直前に金融危機を迎えていることを指します。

この状態にある都市ではオリンピック前後で不動産投資における大きな影響はなく、東京においても新型コロナウイルスによる経済危機を迎えていたことや、経済そのものは十分に成熟していたことから、ロンドンと同じような推移を辿るだろうという見方がありました。

またロンドンに限らず、急落があった都市においても中期的には不動産投資は増加する傾向にあることが分かっています。

過去のオリンピック開催国の実質建設投資

出所:みずほ総合研究所「緊急レポート 不動産市場は転換点にあるのか?

結論としては、東京オリンピックによる不動産投資への影響は限定的であるとの見方が多数派で、オリンピック前の価格の急上昇も、オリンピック後の価格の急落も市場に大きな影響を与えるものではないと見られていました。

オリンピック後の不動産投資:開催後の実態は

不動産投資にまったく変化がないわけではありません。

東京オリンピック後に、特に影響を受けるとされているのは湾岸エリアです。具体的には、オリンピック選手村が設置された「晴海フラッグ」が注目を集めることが予想されています。

晴海フラッグ(HARUMI FLAG)は約18ヘクタールの敷地に、4,145戸の分譲住宅と商業施設が複合開発されるプロジェクトです。超高層マンションを始めとして商業施設、保育施設などを備えた12,000人が暮らせる巨大な街が丸ごと生まれます。

この大型の供給増を受けて、不動産投資に影響があるだろうとされています。

しかし、やはりその影響は限定的である、との見方が一般的です。

湾岸エリアの賃貸需要は東京都内でも元々高く、供給増によって価格が急落することは考えにくいと見られています。
また、売買需要もオリンピックがあったからといって大幅に動くとは考えにくく、オリンピック前の高揚感で高ブレしていた価格が適正値に落ち着くという程度の変化が予想されています。

詳細なデータは事後調査が出そろってからでないと結論付けられませんが、やはり大幅な上昇も下落も起こらないのが実態といえそうです。

オリンピック後よりも新型コロナや2022年問題が注目される

東京オリンピックが不動産投資にもたらす影響はわずかということで甘い話も大きな危機もないとされています。

一方で、時期的には新型コロナウイルスによる経済の動向や2022年問題(生産緑地の指定解除が一斉になされることにより市場に大量の土地が供給され、地価の下落を引き起こすことが懸念されている問題)には引き続き注目が集まっています。

オリンピックに関わらず、国内の不動産投資には懸念が残りそうです。

まとめ:オリンピック後の不動産投資への影響は限定的

オリンピックが開催されたからといって、東京の不動産投資に大きな影響はないと見て間違いなさそうですが、事後調査のデータが揃うまでは注目が続くでしょう。

オリンピックよりも新型コロナウイルスや、2022年問題(生産緑地問題)のほうがインパクトがあるとの予想をしている方も多く、引き続き市場の動向には多角的な観測が必要なようです。

一喜一憂することなく、これまでどおり市場と向き合うべきでしょう。今後も不動産投資に関するトピックをまとめていきますので、引き続きご覧いただければ幸いです。

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