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【連載コラム:地震から住まいと暮らしを守る 第2回】地震に強いマンションの見分け方は?物件探しで確認したいポイント

2026/08/23
連載

大きな地震が起きると、「自分が住んでいるマンションは大丈夫だろうか」と不安になる人は多いでしょう。これから賃貸住宅や中古マンションを探す人なら、「地震に強い物件を選びたい」と考えるのも自然です。

しかし、物件情報を見ても「RC造」「新耐震」「免震構造」といった言葉が並び、結局どこを見ればよいのか分かりにくいものです。

地震への強さは、単純に「新しい」「鉄筋コンクリート造」「高級マンション」といった一つの条件だけでは判断できません。

連載第2回では、建築年、耐震基準、構造、耐震・制震・免震、地盤、マンション管理、防災設備など、物件探しの段階で確認しておきたいポイントを整理します。

まず確認したいのは「いつ建てられた物件なのか」

地震に強い住宅を探すとき、最初に確認しやすいのが建築時期です。

特に重要なキーワードが、

「旧耐震基準」と「新耐震基準」

です。

現在「新耐震基準」と呼ばれている基準は1981年6月1日から施行されています。国土交通省も、1981年より前に建設された住宅の中には耐震性が不十分な住宅があるとして、耐震診断や耐震改修を推進しています。 (【国土交通省】住まいの耐震化 家族を思う、強い家 ~大地震に備える耐震改修~)

そのため中古マンションや中古戸建てを探す際には、「築何年か」だけでなく、どの耐震基準が適用された建物なのかを確認することが重要です。

ただし、ここには注意点があります。

物件広告に表示されている「築年月」と、耐震基準を判断する際に重要になる建築確認の時期は同じとは限りません。

例えば1982年完成のマンションだからといって、完成年だけを見て「確実に新耐震」と自己判断するのは避けたいところです。

気になる中古物件では、不動産会社などに耐震基準について確認しましょう。

「新耐震なら絶対安全」という意味ではない

では、新耐震基準のマンションなら大地震が起きても絶対に安全なのでしょうか。

そう単純ではありません。

そもそも建築基準は、地震が起きても建物に一切損傷が生じないことを保証するものではありません。

国土交通省の案内では、新耐震基準について、震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないことを基準として説明しています。 (みんな安心住まいサポートセンター)

ここで重要なのが、「倒壊しない」と「何も壊れない」は違うということです。

大きな地震では、建物が倒壊しなくても内外装や設備などが被害を受ける可能性があります。

さらに、地震の揺れ方は震源からの距離や地盤などによっても異なります。

したがって、

旧耐震=必ず危険
新耐震=絶対安全

という二択で物件を判断するべきではありません。

旧耐震の建物でも耐震診断や耐震改修が実施されている場合があります。

反対に、新耐震基準で建てられた建物でも、建物の状態や地盤、管理状況など、ほかに確認すべき条件があります。

新耐震と旧耐震については、次回の第3回でさらに詳しく解説します。

木造住宅なら「2000年」も確認したい

戸建て住宅を探す場合は、1981年だけでなく2000年も一つの確認ポイントになります。

1995年の阪神・淡路大震災などを経て、2000年には木造住宅に関する規定が強化されました。

実際、2016年の熊本地震を受け、国土交通省は1981年の新耐震基準導入後に建てられた木造住宅でも、接合部などの規定が明確化された2000年以前のものについて倒壊等の被害が見られたとして、耐震性能を検証する方法を公表しています。 (国土交通省)

つまり木造戸建てでは、

「1981年以降だから大丈夫」

だけで判断するのではなく、建築時期や耐震性能、必要に応じて耐震診断・改修履歴まで確認することが大切です。

マンションと木造戸建てでは見るべきポイントが少し違うことも覚えておきましょう。

「RC造だから地震に強い」とは言い切れない

マンションを探していると、

RC造(鉄筋コンクリート造)

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

という表示を目にします。

一般的にRC造は鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造、SRC造はそこに鉄骨を組み合わせた構造です。

「SRCならRCより絶対に地震に強い」と考えたくなるかもしれません。

しかし、構造形式の名称だけで実際の耐震性能を単純比較することはできません。

建物の設計、形状、高さ、築年数、施工状態、劣化状況、地盤など、地震時の性能に関係する要素は複数あります。

したがって物件情報に、

「RC造だから安心」

「SRC造だからもっと安心」

と書かれていたとしても、構造の略称だけを安全性の判断材料にしないことが重要です。

「耐震・制震・免震」は何が違う?

マンション探しでもう一つ目にするのが、

耐震
制震
免震

という言葉です。

名前が似ていますが、考え方が異なります。

「耐震」は、柱や梁、壁など建物そのものの強度によって地震の揺れに耐える考え方です。

「制震」は、建物内部にダンパーなどの装置を設け、揺れのエネルギーを吸収して建物の揺れを抑える考え方です。

「免震」は、建物と地盤の間などに免震装置を設置し、地面から建物へ揺れが直接伝わりにくくする考え方です。

特にタワーマンションなどを探していると、「免震構造」を大きくアピールしている物件もあります。

ただし、

「免震だから地震の心配はない」

という意味ではありません。

地震にはさまざまな揺れ方がありますし、建物だけでなく設備や家具、ライフラインへの影響も考える必要があります。

さらに免震・制震設備には維持管理も必要です。

物件を購入する場合は、「どの方式なのか」だけでなく、設備の点検・維持管理についても確認しておきたいところです。

地震に強いマンション選びでは「建物の高さ」だけを見ない

「低層マンションとタワーマンションなら、どちらが地震に強いのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。

しかし、これも単純には比較できません。

低層だから安全、高層だから危険というわけではありません。

重要なのは、建物の高さによって地震時に困ることが違うという点です。

例えば高層マンションでは、建物そのものが大きな被害を受けなくても、エレベーターが停止する可能性があります。

30階に住んでいてエレベーターが止まれば、階段で上り下りしなければならないこともあります。

停電や断水が重なれば、水や食料を高層階まで運ぶ必要が出るかもしれません。

また、高層建築物では長周期地震動による大きな揺れにも注意が必要です。

つまりマンションの地震対策では、

「建物が倒れるか」だけでなく「地震後に生活を続けられるか」

を見ることも重要です。

この「マンションは何階が地震に強いのか」という問題は、第4回で詳しく取り上げます。

建物だけでなく「地盤」を見る

地震に強い物件選びで忘れられやすいのが、建物が立っている土地です。

どれだけ建物の耐震性能を調べても、土地側のリスクを確認しなければ十分とはいえません。

例えば地震時に問題となるものの一つが液状化です。

国土交通省は、土地の成り立ちや地盤情報、過去の液状化発生履歴などを液状化リスクを検討するための情報として挙げています。 (国土交通省)

東日本大震災では9都県で約2万7,000件の液状化による宅地被害が発生したと国土交通省が報告しています。熊本地震や北海道胆振東部地震でも液状化被害が確認されています。 (国土交通省)

「新築マンションだから大丈夫」

ではなく、

その建物がどのような土地に建っているのか

まで見る必要があります。

ハザードマップは「水害」だけを見るものではない

物件探しではハザードマップを確認する習慣を付けておきたいところです。

ハザードマップというと、

「川が氾濫したらどこまで浸水するか」

を見るものだと思っている人も多いかもしれません。

しかし、地震関連の情報もあります。

国土交通省のハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」では、地形区分に基づく液状化の発生傾向図などを確認できます。 (国土交通省)

また、自治体が独自に地震ハザードマップや地域危険度などを公開している場合もあります。

物件を借りたり購入したりする前には、

洪水
土砂災害
津波
液状化
地震火災

など、自分が検討している地域にどのようなリスクがあるのかを確認しておくことが重要です。

ただし、ハザードマップで色が付いているから「住んではいけない」、色が付いていないから「安全」というものでもありません。

ハザードマップは、その地域にどのようなリスクが想定されているかを知り、備えるための資料として活用しましょう。

マンションなら「管理状態」も地震対策の一部

中古マンションを購入するとき、建築年と同じくらい確認したいのが管理状態です。

マンションは建てた瞬間の性能だけで数十年間維持されるものではありません。

外壁、防水、給排水設備、エレベーターなど、さまざまな部分を点検・修繕していく必要があります。

そこで確認したいのが、

長期修繕計画
修繕積立金
大規模修繕履歴
管理組合の運営状況

などです。

国土交通省の「マンション管理計画認定制度」でも、管理組合の運営、管理規約、管理費と修繕積立金の区分経理、長期修繕計画などが主な認定基準に含まれています。 (国土交通省)

もちろん管理計画の認定を受けていないマンションが直ちに管理不良という意味ではありません。

しかし、中古マンションを購入するなら、

「建物が地震に強いか」と「建物が適切に維持されているか」をセットで見る

という考え方が大切です。

防災設備は内見時に確認できる

賃貸・購入を問わず、実際にマンションを内見するときには室内だけでなく共用部分も見てみましょう。

例えば、

非常階段はどこにあるか。

避難経路に物が置かれていないか。

防災備蓄倉庫があるか。

非常用電源はあるか。

エレベーターに地震対策があるか。

マンション独自の防災マニュアルがあるか。

こうした情報を確認します。

特に高層マンションでは、エレベーターが停止した場合の対応や、断水・停電時にどこまで設備が使用できるのかも重要です。

「非常用発電機あり」と書いてあっても、マンション全体の電気を普段通り使えるとは限りません。

何の設備に、どの程度の時間、電力を供給できるのかまで確認できれば理想的です。

家具の置き方まで考えて物件を見る

建物の耐震性能が高くても、室内で家具が倒れればけがをする可能性があります。

そこで内見の段階から、

「大型家具をどこに置くか」

を想像してみるのもおすすめです。

寝室のベッド横に大型の本棚を置くしかない間取り。

玄関へ向かう通路に背の高い家具を置く必要がある間取り。

窓の近くにベッドを置かなければならない間取り。

こうした部屋では、家具の配置や転倒防止策を工夫する必要があります。

地震に強い住宅とは、建物だけで決まるものではありません。

「地震が起きたとき、室内で安全を確保できるか」

という視点も物件選びに取り入れたいところです。

賃貸ならどこまで調べればいい?

「そこまで調べるのは、マンションを買う人だけでは?」と思うかもしれません。

しかし賃貸でも、最低限確認したいことがあります。

まずは、

建築時期
建物構造
ハザードマップ
避難経路

です。

高層マンションなら、エレベーター停止時の対応や防災設備も確認できると安心です。

一方、中古マンションを購入する場合には、これに加えて、

耐震診断・耐震改修履歴。

長期修繕計画。

修繕積立金。

大規模修繕履歴。

管理組合の状況。

など、長期的な建物管理についても確認します。

賃貸と購入では必要な調査の深さが違いますが、**「家賃や間取りだけで物件を決めない」**という考え方は共通しています。

不動産会社に聞いておきたい質問

物件を検討するとき、耐震性について不動産会社へ質問するのも一つの方法です。

例えば、

「この建物は新耐震基準ですか?」

「耐震診断を実施していますか?」

「耐震改修をしたことがありますか?」

「耐震・制震・免震のどれですか?」

「大規模修繕はいつ行われましたか?」

「防災備蓄はありますか?」

「非常用電源はどの設備に使われますか?」

「過去の地震で建物に被害はありましたか?」

などです。

すべての質問にその場で回答できるとは限りません。

むしろ分からない場合に、資料や管理会社などへ確認してもらえるかを見ることも大切でしょう。

中古マンション購入なら、重要事項調査報告書や長期修繕計画など、確認できる資料について相談する方法もあります。

「地震に強い物件ランキング」だけで選ばない

インターネットでは、

「地震に強い街ランキング」

「災害に強いマンション」

「安全な地域ランキング」

といった情報も見つかります。

入口として見るのはよいでしょう。

しかし、不動産は同じ駅、同じ町内でも条件が異なります。

地盤が違う。

建物の築年数が違う。

構造が違う。

管理状態が違う。

道路状況が違う。

周囲の建物密度も違う。

そのため、

「○○区だから地震に強い」

といった大きなくくりだけで判断するのは避けたいところです。

最終的には「エリア」と「建物」の両方を見る必要があります。

地震対策は「建物+土地+管理+備え」で考える

ここまで見てくると、地震に強い物件を一つの数字だけで判断することが難しい理由が分かります。

例えば新耐震基準のマンションでも、地盤や管理状態を確認する必要があります。

反対に築年数が古くても、耐震診断や耐震改修が行われ、適切に管理されている建物もあります。

そのため物件選びでは、

建物の耐震性

土地・地盤

維持管理

被災後の生活への備え

という4つの視点で考えると分かりやすくなります。

地震そのものを防ぐことはできません。

だからこそ「絶対安全な物件」を探すのではなく、どんなリスクがあり、それに対してどんな対策が取られているのかを確認することが現実的な地震対策になります。

まとめ

地震に強いマンションや住宅を探すとき、「築浅だから安心」「RC造だから安心」と一つの条件だけで判断するのは避けたいところです。

まず確認したいのは建築時期と耐震基準です。新耐震基準は1981年6月から適用されており、国土交通省も旧耐震基準で建てられた住宅の耐震化を進めています。 (【国土交通省】住まいの耐震化 家族を思う、強い家 ~大地震に備える耐震改修~)

木造戸建てなら2000年前後も確認したいポイントです。熊本地震では、新耐震基準導入後でも2000年以前に建てられた木造住宅の一部で倒壊等が確認されました。 (国土交通省)

しかし、建築年だけでも十分ではありません。

耐震・制震・免震の違い。

土地や地盤。

液状化などの地域リスク。

マンションの管理状態。

非常用電源や備蓄。

避難経路。

こうした条件を総合的に確認することが大切です。

物件探しというと、どうしても、

「駅徒歩何分」

「家賃はいくら」

「何LDKか」

「築浅か」

といった条件から見てしまいます。

もちろん、それらも重要です。

しかし、その家に何年も暮らすのであれば、

「大きな地震が起きたとき、この建物でどうなるのか」

という視点も物件選びに加えておきたいところです。

そして今回何度も登場したのが「新耐震基準」です。

では、1981年より前のマンションは避けた方がよいのでしょうか。

築古マンションでも耐震改修されていればどうなのか。そして、よく耳にする「耐震等級」とは何を意味するのでしょうか。

次回、第3回では、**「旧耐震・新耐震・耐震等級」**を取り上げます。

「1981年以前のマンションは危険なのか?」という疑問も含め、中古住宅を選ぶ際に知っておきたい耐震基準の見方を詳しく解説します。

引用元・参考元

国土交通省「住まいの耐震化」

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」

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