マンション経営の歴史
老後2,000万円が取り沙汰されて以来、将来に対する不安を抱える人が増加する中、近年「投資」という言葉を耳にする機会が多くなってきました。
投資が「珍しい」ものから「当たり前」なものになるその過程には、一体どのような歴史があったのでしょうか。
今回は、投資の中でも主にマンション経営を中心にその歴史を解説していきます。
不動産業の始まりは江戸時代
最近「不動産投資」という言葉を耳にすることが多くなったと思いますが、実は、日本の不動産業の始まりは江戸時代の「長屋」という1Rや2Rの集合住宅にあるといわれており、江戸時代の庶民の住まいとして土地の所有者が家賃収入を得ていました。
日本では元々、土地の所有権は武士にありましたが、武士の力が弱まった江戸時代に商人が土地を買い占め、庶民のための住居を作り貸し出す事業を始めました。
当時の家賃一ヶ月分は、一日の労働で支払える金額だったと言われています。
現代の家賃は、月収の3分の1が目安とされているのでとても安い賃料だったと言えます。
昭和時代はマイホーム需要が高まり住宅地が増加
太平洋戦争後は都市の復興を行うため政府が住宅施策を推進し、国と民間の双方で住宅の供給促進を目指した分譲や賃貸住宅の建設が急速に進んでいきます。
この時期は、高級マンションだけでなく、大阪の千里ニュータウン、関東では筑波研究学園都市、多摩といった住宅ローン付きで低額で購入できる新興住宅地(ニュータウン)が続々と誕生したのです。
その後、経済の復興や東京オリンピックの開催とともに、東京都市圏を中心に住宅需要は右肩上がりとなります。
この頃のマンション経営は、ファミリー向けの不動産物件や利便性の高い都心の高級マンションの単価が高いことから、一般のサラリーマンではなく投資家や資産家などの富裕層に好まれました。
一部では土地を持っていれば儲かるという「土地神話」が生まれるような時代でした。
生活様式が多様化する時代に
昭和50年代になると、就学や転勤による単身世帯が増加し、ワンルームマンションの需要が高まります。
単身者用のワンルームマンションやペット可能なマンション、高齢者向けマンションなど特徴的な物件も増え、マンション1戸当たりの単価も安くなっていきました。
昭和60年代には、多くの不動産業者が「家賃保証制度」「一括借り上げ制度」など、オーナーの空室リスクを軽減する仕組みを取り入れ、一般のサラリーマンでも取り組みやすい資産形成の手段となり、現在のマンション経営の仕組みが確立していきます。
この頃から、全国にワンルームマンションが広がり始め、サラリーマンなどの個人に普及していきます。また、「区分所有法」の成立によりマンションの一室が資産として認められることとなり、区分マンションはバブル期の1980年代後半から1990年代前半にかけて投資対象として人気が出始めました。
しかし、バブル期の新宿のワンルームマンション販売価格1億円の物件は、バブル崩壊後一時期1,000万円まで値下がりするなど異常な事態となりました。
アベノミクスで一気に普及した不動産投資
2016年マイナス金利が導入されたことで、民間の銀行は個人や企業への貸し付けを積極的に行うようになり、全国の金融機関や地銀では、地方の企業や不動産投資家へのアパートローンに注力し始めました。
この頃、サラリーマンの不動産投資は一層身近なものになっていきました。
このように、不動産投資は一部の富裕層しか取り組めないものから、一般的なサラリーマンの方でも無理なく選択できる資産形成の手段として変化していきました。
長い年月を経て、今も昔も不動産投資による資産形成が選ばれてきた理由は、「住」は生きていくうえで欠かせないものだからです。もちろん今後の需要もなくなることはありません。
こうして歴史を辿ってみれば、不動産投資が安心して始められる資産形成であることがお分かりになったと思います。これから資産形成をはじめようとお考えの方は、不動産投資も視野にいれ検討してみてはいかがでしょうか。