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不動産を学ぶにあたり知っておきたい「地価」の違い

2020/05/07
2023/03/10
不動産投資コラム

不動産を学ぶにあたって知っておきたい「地価」の違い

土地に関わる価格には、公示地価、基準地価、路線価等がありますが、聞き覚えはあってもその違いについてはよく知らないという方も多いのでは?

今回は、それぞれの違いについてご紹介していきます。

公示地価・基準地価・路線価 いったい何が違う?

では、早速それぞれの解説をしていきましょう。

公示地価

公示地価とは国土交通省が発表している土地の価格のこと。

目的としては適正な地価の形成に寄与することで土地に関する取引や補助金などの基準を定めるためにあります。全国に約23,000か所の標準地があり、価格は1月1日時点の価格で決まります。
この価格は3月中旬に公表されます。

基準地価

基準地価とは各都道府県が発表している土地の価格のことです。

公示地価と同時に土地取引の基準を定めることが目的です。全国に2万箇所以上の基準値があり、価格は7月1日時点で決まります。
この価格は9月下旬に公表されます。

路線価

路線価とは国税庁が発表している土地の価格のことです。

相続税や贈与税等の税金を計算する時に基準となるものです。土地の価格がその土地に面している道路ごとになっているので「路線価」と呼ばれています。全国に約41万か所を相続税法に基づき調査し、価格は1月1日時点の価格で決まります。
この価格は7月初旬に公表されます。(参照:suumo・オウチーノニュース)

全て発表する機関が違うのです。
何が正しいの?と疑問が出てきますが、それぞれが全く無関係に成り立っている訳ではありません。

公示地価が上がるとその資産価値、固定資産税評価額や路線価も上がっていくため、不動産にかかる各種税金が上がっていきます。逆に公示価値が下がると、資産価値も下がり各種税金も引き下げられる、ということになります。

大都市圏「東京・大阪・福岡」の公示地価を比較!

それでは、2020年に公表された公示地価をエリアごとに比較して見てみましょう。
※平均公示地価(1㎡あたり)

東京:平均 116万0950/㎡
1位 中央区 857万0079、2位 千代田区 627万0573、3位 渋谷区 466万0152

大阪:平均 33万6458/㎡
1位 中央区 362万8977、2位 北区 324万6795、3位 西区 114万0523

福岡:平均 17万2541/㎡
1位 中央区 107万0183、2位 博多区 83万3876、3位 早良区 21万5724
(参照:土地DATA)

上記をご覧の通り、東京は抜き出て公示地価が高い場所です。

中央区・千代田区・渋谷区はそれぞれ商業施設やオフィス街、また現在も再開発が予定されている場所などが含まれているエリアであり、建物が建てられる土地が少なく需要に対して供給が足りていないため、価格が上がり続けています。

大阪は全国で二番目に公示地価が高い場所です。
外国人観光客増加の影響もあり、道頓堀のある中央区や梅田スカイビルのある北区など、買い物や観光など需要の高いエリアの土地の価格が高くなっています。

福岡県は全国で六番目、九州の中では一番公示地価が高い場所です。
中央区、早良区の駅徒歩10分圏内は住宅の需要が高く、博多区は博多駅周辺の商業施設や博多湾ウォーターフロント地区の周辺の開発などで価格が上昇傾向にあります。

三カ所を比較してみると、同じ都市でも公示地価に大きな差があることが分かります。
共通して開発が進んでいるエリアの公示地価が高いことは分かりますが、公示地価は土地の価格であるため、この数値だけで人が住みやすいエリアなのかどうか、賃貸需要があるエリアなのかどうかを判断することはできません。

不動産投資の視点から地価を考えてみると・・・

不動産投資に取り組む場合、特に売却時などは所有しているその土地の地価を知っておくことで、安く買い叩かれずに公平な取引を進めることができます。

ただし、先述の通り、地価の高さと賃貸需要は比例していないため、単身層、ファミリー層など貸借者のターゲットを絞る不動産投資において、地価が高いところを狙えば成功する訳ではありません。

例えば、国内の住宅地公示地価ランキングで最も地価が高いのは、港区の高級住宅エリア「赤坂1-14-11」ですが、ここで人に貸すための不動産投資をしようと思っても物件価格もかなりの高額であり、当然家賃も高額になることから、住めるターゲットも絞られので賃貸需要を安定的に取っていくことは容易ではありません。

こういったことを踏まえると、不動産投資において重要なのは地価だけではなく、安定的に賃貸需要があるエリアかどうか、ということになります。
特に単身者にとっては交通アクセスの良さや駅からの距離が家選びのポイントになってくるので、長期的に見て安定的に賃貸需要がある場所、物件を選ぶことが大切です。

不動産投資は地価だけでなく需要で選ぶ!

今回は路線価・公示地価・基準地価についてお話ししました。

いずれも不動産に関わる重要な数値ですが、不動産投資を取り組む時には地価の高さだけでなく、賃借者のターゲットを絞った上で立地の良いところを選ぶのが一番のリスクヘッジになります。

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